『Slay the Spire』開発者いわく、『2』を作ったのは「コイントスで表が出たから」。裏なら完全新作だった
『Slay the Spire 2』の制作は、“コイントス”で決まったという。

デベロッパーのMega Crit Gamesはデッキ構築ローグライクゲーム『Slay the Spire 2』を、2026年3月に早期アクセス配信開始予定。大人気を博した『Slay the Spire』の続編だ。今回は海外メディアPC GamerがMega Crit Gamesへおこなったインタビューにて、そんな続編の制作が“コイントス”で決まったことが明らかにされた。
『Slay the Spire 2』は、傑作ローグライクカードゲーム『Slay the Spire』の続編だ。舞台は前作から1000年を経た塔「スパイア」。プレイヤーは再び塔に挑むが、新しい敵やイベント、ゲームエンジン「Godot」が導入されるなど、ビジュアル・システムともに大幅にブラッシュアップ。旧来のキャラクターに加えて、新クラスとして「Necrobinder」が参戦し、独自のカードやメカニクス、戦略性を持つほか、新システム「Alternate Acts」により、新章に入るたびに2つのアクトのうちどちらかがランダムで選ばれ、リプレイの度に異なる体験が楽しめる。

PC Gamerが開発元Mega Crit Gamesの共同設立者Anthony Giovannetti氏に実施したインタビューによれば、『Slay the Spire 2』の開発が決まったのはコロナ禍のこと。当時は『Slay the Spire』がリリースされ、すでに100万本以上を売り上げていたにもかかわらず、すぐに続編の制作には移らなかった。Giovannetti氏は続編制作にあたって「ゲームデザイン上の興味深い課題(interesting design challenges)」がいくつか存在していたと語っており、人気作の続編として乗り越えなければならない壁と、そうした課題に取り組む興味の間で揺れていたことがうかがえる。
あわせてMega Crit Gamesでは小さなプロトタイプを数多く制作するなど、新たな可能性を模索していたそうで、最終的には完全新作と『Slay the Spire』の続編のどちらを手がけるかを決断することに。そしてこの際には“コイントス”という運任せの手段がとられたという。スタジオのもうひとりの共同設立者であるCasey Yano氏がDiscordの通話越しにコインを投げ、表が出れば『Slay the Spire』の続編、裏なら「まったく新しいゲーム」を作るという賭けに身を任せたそうだ。結果、表が出たことで『Slay the Spire 2』の制作が正式に動き出した。なおコインを投げたYano氏は開発者としてカードゲームではなくアクションゲーム派だそうで、Giovannetti氏は実際にコインを見たわけではないが、正しく出目を伝えてくれたと信じているとのこと。

なおコインを投げたYano氏は新たなプロジェクトに惹かれつつも、『Slay the Spire』が「未完の仕事」であり、続編を制作する意味があるとも感じていたようだ。というのも、はじめにSteamで発売し、のちにPS4やXbox One、iOSなどに移植した『Slay the Spire』は、アップデートごとに多数のプラットフォームと同期させる作業が煩雑になってしまっていたとのこと。続編として最新の技術で一から制作を始めることで、デッキ構築ゲームとしてまだ残っていたアイデアをより実現しやすくなることも期待されるだろ。

その決断から約4年半、『Slay the Spire 2』は、2026年3月にPC向け早期アクセスを開始予定だ。前述の新クラス「Necrobinder」や新システム「Alternate Acts」、未発表の“新たなプレイスタイル”だけでなく敵やイベントの種類も大量で、Yano氏によれば早期アクセス開始時点でも前作よりボリュームが多いとのこと。さらにゲームエンジンもGodotに刷新され、前作を上回る品質を目指して開発されている(関連記事)。

前作『Slay the Spire』は大成功を収め、ローグライク×デッキ構築カードゲームというジャンルにおける金字塔となった。とはいえ成功したからといって開発チームは続編開発だけを考えていたわけではないようだ。完全新作のアイデアもあり、その決断方法として“コイントス”が選ばれた点にはどちらを作るかにかなり迷いもあったことがうかがえる。“2分の1の確率”で一旦保留になったという完全新作も、気になるところかもしれない。とはいえまずは待望の続編となる『Slay the Spire 2』がどのような仕上がりとなるのか、期待したい。
『Slay the Spire 2』はPC(Steam)向けに2026年3月に早期アクセス配信開始予定だ。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。




