『サイレントヒル2』リメイク版開発元CEO、シリーズファンの不安を「言葉ではなく作品で払拭したい」とアピール。まずは実際にプレイしてほしい


コナミデジタルエンタテインメントから、今年10月8日にリリースされる予定のリメイク版『SILENT HILL 2(サイレントヒル2)』。本作プロデューサーを務めるPiotr Babieno氏は、作品のクオリティーを不安視する声を把握しつつも、期待を煽らず行動で示したいとして、実際のプレイでファンを喜ばせたいと語った。海外メディアRolling Stoneが報じている。

『SILENT HILL 2』は、2001年にPlayStation 2向けタイトルとして発売された同名のサイコロジカルホラーゲームのリメイク作品である。3年前に妻を亡くした主人公ジェイムスの元に、ある日死んだはずの妻から手紙が届く。ジェイムスは死んだ妻に会いたい一心で、思い出の街サイレントヒルを訪問。しかしそこは霧が満ち、異形のクリーチャーが徘徊するゴーストタウンと化していた。またなぜか亡き妻と同じ顔・声の女性マリアや過去のトラウマと戦う人物たちなども登場。妻の手がかりを求めて街を探索する男の物語が描かれていく。


本作の開発を手がけるのはポーランドに拠点を置くBloober Team。同スタジオはこれまでに『Layers of Fear』や『The Medium』などのホラーゲームを開発してきたことで知られる。高い評価を得ている作品もある一方で、賛否が分かれていたり、ホラー要素の単調さなどが課題として指摘されたりする作品もある。

このほか開発元は異なるものの、今年1月に無料でリリースされた『SILENT HILL: The Short Message』がレビュー集積サイトMetacriticにてメタスコア53点を記録するなど、直近のシリーズ関連作品の評判も芳しいとは言えなかった。こうした事情もあり、『SILENT HILL 2』のリメイクについても、一部シリーズファンからは不安や懸念の声が寄せられている。


Bloober TeamのCEOであり、リメイク版『SILENT HILL 2』のCEOを務めるPiotr Babieno氏も、そうしたファンの反応を把握しているという。オリジナル版の『SILENT HILL 2』は23年前にリリースされたゲームではあるものの、傑作としてファンからの人気も未だ根強い。そのリメイクを手がけるにあたって、ファンの求めるハードルが高いことは織り込み済みなのだろう。

続けてBabieno氏は、かつてオリジナル版『SILENT HILL 2』をプレイしたときに「人生を変えられた」とまでコメント。当時さまざまな本や映画に触れていた同氏を、本作の象徴的な表現の数々が魅了したのだそうだ。そんなファンの目線も持ち合わせる同氏として、リメイク版の開発は「保守と革新のバランスを取る困難な旅」のようであったという。つまりオリジナル版を尊重しつつ新しく作り直すバランス面に、開発の難しさがあったようだ。

とはいえBabieno氏によれば、パートナー(our partner)、つまりコナミなどとのクリエイティブな議論と、多大な努力の結果、素晴らしいバランスに行きついたとのこと。また同氏は、プレイヤーからは言葉ではなく行動によって信頼を得たいとコメント。実際のプレイを通して開発元の意欲を感じてほしいとして、「“チャンスをください(give us a chance)”としか言えない」とも伝えている。懸念もさまざま寄せられているものの、あえて弁明はせず、実際にプレイして確かめてほしいというアピールだろう。


ちなみに2016年リリースのオリジナル版『Layers of Fear』を手がけていた当時10名ほどだったというBloober Teamには現在250名以上のスタッフが在籍しているそうだ。Babieno氏は同スタジオではホラーゲームを重点的に手がけており、ホラーはもはやスタジオの「DNA」のようなものだとしている。

一方で同スタジオではアクションを通じてプレイヤーにゲームを表現する、という新たな方針も取り入れているという。リメイク版『SILENT HILL 2』に盛り込まれた現代的なTPSアクションも、この方針の表れのようだ。そうした点も踏まえて同氏はリメイク版『SILENT HILL 2』をBloober Teamの集大成、かつ新たな船出として位置づけているとのこと。スタジオにとって、かなり気合の入った作品となるのだろう。

Babieno氏が率いるBloober Teamによって開発中のリメイク版『SILENT HILL 2』。実績のある同スタジオが手がけているものの、公開された一部トレイラーやキャラのデザインなど、これまでには一部ファンが懸念を示す様子も見られた。そうした不安の声への返答として、今回のインタビューでは「実際にプレイして意気込みを感じ取ってほしい」といったアピールがおこなわれたかたち。リメイク版ではオリジナル版のファンでもあるという同氏が苦慮しながら手がけたという、“保守と革新のバランス”も注目されるところだ。

『SILENT HILL 2』リメイク版はPC(Steam)/PlayStation 5向けに、10月8日発売予定だ。