インディーデベロッパーのScott Cawthon氏は、先日Steamにてリリースしたばかりの『Five Nights at Freddy’s』シリーズ最新作『FNaF World』の販売を停止することを発表した。通常Steamでは2時間以上プレイしたゲームの返金は認められていないが、プレイ時間などに関係なく返金も受け付ける予定だという。理由についてCawthon氏は、プレイヤーたちが同作へ下した評価に満足できないためとしている。
『Five Nights at Freddy’s』は、2014年8月からPCおよびiOS/Android向けにリリースされてきたホラーゲームシリーズだ。プレイヤーはピザレストラン「Freddy Fazbear’s Pizza」の夜間警備員となり、電力が限られた警備室に篭もりつつ、夜な夜な人間たちを襲う電気じかけのマスコットキャラクターたちの襲来に備えなければならない。グラフィックやサウンドはリッチでは無いものの、低価格で楽しめるホラーゲームとしてLet’s Play(実況動画)を通じてファンが増え、後にハリウッド映画化も決定するなどインディーホラーゲームとしては異例のヒットを遂げた。
そして今年7月にはナンバリング最終章となる『Five Nights at Freddy’s 4』がリリース。同年9月には今回販売が停止された『FNaF World』が発表され、シリーズ従来の作品とは異なる「パーティー型RPG」になることが明らかにされていた。海外の著名なインディーゲームデータベース「IndieDB」では、読者が期待する新作ランキング3位にも輝いたが、リリース後の製品版では残念ながらプレイヤーから満足できる評価を得られなかったようだ。
アンチレビューに限らず
『FNaF World』が1月21日にリリースされてから、同作には多数の賞賛と批判が寄せられることとなった。一見すると、信者的なファンボーイとアンチが互いの主張をぶつけ合う”レビュー爆撃”が続いていたように見えたかもしれないが、なかには数時間や10時間以上プレイした上で、本作が退屈でつまらないRPGだと丁寧な批判を投げかけるレビューもあった。1月22日に入るとCawthon氏は、「シリーズの初代から多くの批判にさらされてきたけど、僕自身がリリースが早すぎたと思ったことは一度も無かった……今まではね」とコメント。戦闘中に戦闘コマンドを選択しても説明が出ないなど不便な点が存在すると説明し、これらを後のアップデートにて追加すると約束していた。
昨年7月、Cawthon氏は『Five Nights at Freddy’s』シリーズが発売されてから多くの”ヘイト(妬み)”が自身に向けられてきたと語っている。見た目がとてもチープなホラーゲームが実況プレイを通じて大ヒットし、ハリウッド映画化も決定するとなれば、こころよく思わないユーザーや同業者も多く居るだろう。ただ今回の『FNaF World』においては、従来の作品へ向けられたヘイトとは異なる真意な批判を感じ取ったのかもしれない。
1月26日、Cawthon氏は『FNaF World』の発売を停止することを『Five Nights at Freddy’s 4』のSteamニュースセクションにて宣言。87パーセントのユーザーから好評を受けたが、それでも自身は満足できないと伝えた。今後は『FNaF World』の開発をあらためて続け、世界マップを2Dから完全3Dへと作り変える予定だという。先日までリリースしていたバージョンは、「GameJolt」にてデモ版として無料公開する予定と伝えている。