精神科医なりすましゲーム『Sanatorium – A Mental Asylum Simulator』大好評。“トンデモ治療”は当たり前、はったりで乗り切るニセ医者生活
パブリッシャーのShoreline Gamesは11月7日、Zeitglasが手がける『Sanatorium - A Mental Asylum Simulator』をリリースした。

パブリッシャーのShoreline Gamesは11月7日、Zeitglasが手がける『Sanatorium – A Mental Asylum Simulator』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は日本語表示に対応している。本作はリリース直後から多くの好評を集めている。
『Sanatorium – A Mental Asylum Simulator』は、精神科病棟で医師になりすますシミュレーションゲームである。時は1923年、プレイヤーは借金に追われるジャーナリストだが、経歴をごまかして精神科病棟の医師に就任する。当時の精神科病棟は、治療というよりも社会からの隔離や管理をおこなうといった色合いが強い。そんな場所に大切な親類であるパティおばさんが入れられることになってしまった。観察眼と口八丁を駆使して医師としての信頼を勝ち取り、パティおばさんを救い出すのが目的のひとつとなる。また、医師の給料は高いためお金を稼ぐのも良い。プレイヤーのおさななじみからの謎めいた連絡では、精神科病棟には何か秘密もありそうな様子である。もしも驚くべき真実を暴くことができればジャーナリストとして、一大スクープを掴むことにもなる。こうしてさまざまな思惑を胸に、プレイヤーは偽者の医師を演じるのだ。

ゲームプレイはノベルゲームとカードゲームを合わせたようなシステムとなっている。患者に見られる症状や、診断により決定される病気はカード形式で表現されており、プレイヤーは手持ちの検査カードや治療カードを使って、患者の治療を進めていくのだ。ただしカードの使用に際しては行動力を表すコストを支払う必要がある。有効な検査や治療カードを適切に選ぶ必要があるだろう。
なお、本作の舞台は1923年である。当時の精神科治療は科学的でないものも多く、大量の水を浴びせ続けたり、ガスで深い睡眠状態にしたりといったものも存在していたと言われている。本作にもそうしたニセ科学的な治療法が登場し、ほかの医師の間でも通説となっているのだ。現代の感覚で判断して治療を進めると、他の医師からは疑いの眼差しを向けられてしまうかもしれない。
また、プレイヤーの行動や治療は院長によって監視されており、もしも偽者の医師だとバレてしまえば警察に突き出されることにもなってしまう。さらに、プレイヤーが働く精神科病棟では、治療費を獲得するためにあえて治療を長引かせるといったことも横行している。上司のご機嫌をうかがうために、時には金払いの良い患者を長く滞在させるといった判断も下さなければならない。そんな秘密や闇だらけの精神科病棟で、疑われないよううまく立ち回り、目的を達成するのだ。


そんな本作はリリース直後から多くの好評を集めている。本稿執筆時点でSteamユーザーレビューは64件寄せられ、そのうち92%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。本作では治療も医師の考えも、すべて1923年当時の感覚に基づいて展開される。そんな時代のギャップを感じながら、医師になりすまして治療するというスリルと目的達成のための立ち回りを考える作品だ。レビューではそうした当時らしい治療を楽しんでいるプレイヤーが多い様子で、なかにはお金のために決して患者を解放しないというプレイヤーまで見受けられる。今では考えられないような治療のほかにも、陰鬱さの漂うアートスタイルも好評だ。
本作を手がけるZeitglasは、スイス・チューリッヒを拠点とする新興のインディーゲームデベロッパーである。スタッフの多くはチューリッヒ芸術大学で知り合ったとのことで、本作が初のゲーム作品となる。アート面で好評を受けているのもスタッフの持ち味が発揮された結果だろう。ちなみにスタジオ名のZeitglasは「砂時計」という意味で、ひっくり返せば何度でも使えることから、繰り返し遊べるリプレイ性の高いゲームを作りたいという思いが込められているようだ。
『Sanatorium – A Mental Asylum Simulator』はPC(Steam)向けに配信中。現在はリリース記念セールが開催されており、11月19日までの期間限定で定価の25%オフとなる税込1125円で購入可能だ。




