RTA in Japanにて、リズム医療ゲーム『Rhythm Doctor』走者が一躍脚光を浴びる。“目隠し&キーボード分解走法”など、離れ業炸裂
「RTA in Japan Summer 2025」にて8月13日、『Rhythm Doctor』のRTAがおこなわれ、注目を浴びていた。

「RTA in Japan Summer 2025」(以下、RiJ Summer 2025)にて8月13日、『Rhythm Doctor』のRTAがおこなわれた。「Any%,r30+,Blindfolded,No Samurai,Normal」というレギュレーションのもと、RTAプレイヤーの緑蛙氏がプレイ。本RTAは「Blindfolded」とあるとおり、目隠し状態でプレイするレギュレーションとなっており、緑蛙氏の超人的なプレイがSNSなどで話題になっている。
『Rhythm Doctor』は、研修医がさまざまな患者の心拍に合わせて治療をおこなうリズムゲームだ。Steamにて2021年2月より早期アクセス配信中。本作はタイミング良くスペースキーを押すという基本的ルールのもと、いろいろな病状に悩まされる患者たちを治療していく。しかし、多くの患者の心拍のテンポは一定ではなく、ポリリズムや変拍子など、さまざまなリズムでの治療が必要となっている。そうした多彩なギミックや譜面の複雑さ、そしてゲームプレイに見事に絡み合うストーリー・演出が持ち味の作品だ。Steamユーザーレビューでは約2万件中98%が好評とする「圧倒的に好評」ステータスを得ている。

本作のRTAのレギュレーション「Any%,r30+,Blindfolded,No Samurai,Normal」とは、r30以降のバージョンの本作を、目隠しをしながらエンディングまでプレイするレギュレーションで、さらにメッセージ量を少なくするコマンドを使用してはいけないというもの。そして、今回RiJ Summer 2025にてRTAをおこなった緑蛙氏は、同レギュレーションにて1時間1分14秒の世界記録を保持しているプレイヤーだ。
RiJ Summer 2025において目隠し状態でRTAをスタートした緑蛙氏は、左手をキーボードに添え、右手はリズムを刻みつつ、次々と治療という名のリズムゲームを攻略していく。序盤はシンプルなリズムの患者だったが、ステージが進むごとにその難度がどんどん上昇。治療する患者以外のリズムが紛れてきたり、視覚的に惑わせてきたりと、多彩なギミックによって本来であれば難度が高まっていく。なお、目隠しプレイのため視覚ギミックは緑蛙氏には影響がない。
そんな今回のRTAでは、本作の元RTAプレイヤーで現在は実生活でも医療従事者だという闘導スケ氏が解説を担当していた。プレイ中は闘導スケ氏が時折雑談を挟みつつ解説をおこなっているものの、なんと緑蛙氏がゲームをしながらちょっとした掛け合いをおこなう場面も。そんな余裕を見せつつ、ミスなしの「パーフェクト」を連発するスーパープレイが、会場であるnote placeとTwitchのコメント欄をにぎわせていた。なお、緑蛙氏は最終的に1時間1分19秒と好調なタイムを記録。しかも、1ステージを除いてすべてS+という見事なプレイでRTAを終えた。

ちなみに、本作のRTAは目隠しなし状態でのレギュレーションがもちろん存在する。RTAの記録を収集しているwebサイト「Speedrun.com」では、目隠しありの場合は、先に述べたとおり緑蛙氏のLRT(Load Remove Time)で1時間1分14秒が世界記録だ。一方、目隠しなしの場合、オーストラリアのMayhemG氏のLRTで59分36秒が世界記録となっている。つまり、目隠しありの緑蛙氏の記録との差は約1分40秒。目隠し状態で通常RTAに遠からず迫るすさまじい記録といえる。
なお緑蛙氏は自身のプレイングを磨く以外に、プレイをするデバイスにも工夫を凝らしている。緑蛙氏がプレイに使用しているキーボードの左半分はほぼすべてのキーキャップが抜かれ、残っているのはQ、S、Rのみとなっているそうだ。目隠しで使用するキーを手探りで探すのに時間を取られるタイムロスを嫌ってのアイデアなのだろう。今回のRiJ Summer 2025でも“分解”されたキーボードが使用されていた。
そして、RTA終了後、本作の寄付額投票で目標の10万円を突破し、ミニゲームである「Beans Hopper」にも挑戦。Beans Hopperは、サムライが左右に行き来する箱を飛び越えるというものだが、そのシンプルな見た目に反して意外と難しいという。
そんなミニゲームでも緑蛙氏は138回という好成績を記録。元々飛んだ回数×40円の5520円を緑蛙氏が寄付するという寄付額投票の企画だったが、ここで闘導スケ氏が男気を見せ、緑蛙氏と同額の自身の分となる1万1040円を、自分の懐から寄付すると話して「RTA in Japan Summer 2025」における『Rhythm Doctor』のRTAは幕を閉じた。
なお、緑蛙氏は昨年末に開催された「RTA in Japan Winter 2024」のバックアップ枠として、『Rhythm Doctor』の同カテゴリで採用。しかし、イベントの時間的な兼ね合いもあり、実際にプレイを披露することは叶わなかった。そして今回本採用されたことで、かねてから自身の最大の目標と定めていた「RTA in Japan」の大舞台でスーパープレイを披露できたかたちだ。
同氏は今後控えている就職活動に集中するため、今回の「RTA in Japan Summer 2025」をもって一度、RTAおよび配信活動を休止すると発表していた。活動休止前の土壇場で大舞台への出場を果たした緑蛙氏の就職活動がうまくいくことを祈りつつ、再び配信やRTAイベントの場で活躍を見せてくれることを期待したい。
『Rhythm Doctor』は、PC(Steam)向けに早期アクセス配信中。「RTA in Japan Summer 2025」は、8月15日まで開催中だ。