バンナム傘下スタジオの野心作『Unknown 9』シリーズ続編、制作発表から2か月でマッハ中止。前作『Unknown 9: Awakening』の不振が中止に直結

Reflector Entertainmentは1月21日、同社が手がける『Unknown 9』シリーズについて、『Unknown 9: Awakening』の不振を理由として、新作開発を決定した。あわせてレイオフもおこなわれるようだ。

デベロッパーのReflector Entertainmentは1月21日、同社が手がける『Unknown 9』シリーズについて、新作の開発中止を決定したと発表した。『Unknown 9: Awakening』の失敗が主たる原因となっているようだ。

『Unknown 9: Awakening』は三人称視点で繰り広げられるアクションアドベンチャーだ。プレイヤーは神秘の次元である「フォールド」に入る能力を持って生まれたクエスターのハルーナとなって冒険することとなる。ハルーナはフォールドの力をマスターすることを目指すのだが、その力を歴史改変に用いようとする「アセンダント」なる組織に狙われることになる。モーリタニアの砂漠やインドのジャングル、19世紀のポルトガルなど、さまざまなロケーションを旅するゲームプレイも特徴だ。

『Unknown 9: Awakening』は2020年に発表され、2024年10月18日にPC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けにバンダイナムコエンターテインメント(以下、バンダイナムコ)から発売された。開発はReflector Entertainmentが務めている。Reflector Entertainmentはカナダ・モントリオールに拠点を置くゲームスタジオで、2020年9月にはバンダイナムコエンターテインメント・ヨーロッパにより買収。バンダイナムコ傘下のスタジオとして、同作の開発をおこなっていたわけだ。また『Unkown 9』はゲームだけでなく、小説・コミカライズなども交えたトランスメディアプロジェクトとして構想されていた。

今回Reflector Entertainmentは自社で手がけていた『Unknown 9: Awakening』の続編の開発中止を発表した。なお同社の公式リリースによれば、かつて2024年11月18日に2つの主要な製作ラインが開発の初期段階に入ったと明かされていた。今回の発表を見るに、この「2つの主要な製作ライン」のうちのひとつが『Unknown 9』シリーズの新作ゲームであったとみられ、わずか2か月での中止決定となる。

なおもう一方の主要な製作ラインについてはバンダイナムコの既存IPに関するプロジェクトであり、開発が継続予定。『Unknown 9』プロジェクトの開発中止の影響を受ける人員は可能な限り残ったプロジェクトに合流予定とされているが、一部はレイオフも実施されるとのこと。レイオフの規模は明かされていないが、レイオフ対象となる社員には、その後のケアやサポートを十分に提供するとしている。

『Unknown 9: Awakening』のゲームプレイでは、スキルにより相手に憑依しギミックを起動させたり、敵を引き寄せて倒したりできる要素などが一定の評価を獲得していた。しかしながらステルス性が押し出されつつも、AIが賢くなく、ステルスアクションのやりがいがないという指摘や、マップが狭くてそもそもステルスができないとの指摘が寄せられている。ほかにもキャラクターの表情が希薄といったグラフィックの問題、ストーリーが難解すぎるとの意見も寄せられていた。

レビュー集積サイトMetacriticでは、すべてのプラットフォームにおいてメタスコアが100点満点中65点未満、ユーザーレビューでは10点満点中1.7点という厳しい評価を下されている。Steamユーザーレビューでも、107件中49%の好評率で「賛否両論」ステータスと伸び悩んでいる。

そんな『Unknown 9: Awakening』について、Reflector Entertainmentは、スケジュールをたびたび調整し、資金面やそのほかのリソースについても投資をおこなったものの、パフォーマンスは会社の期待に遠く及ばなかったと述べている。『Unknown 9: Awakening』の不振が、『Unknown 9』シリーズ続編の開発中止に直結したそうだ。

なお、Reflector Entertainmentは昨年11月の発表時点で全従業員の約18%にあたる人員をレイオフしており、短期間での連続レイオフとなる恰好だ。一方で『Unknown 9』シリーズ開発中止にともない、人員が合流する先であるバンダイナムコの既存IP関連プロジェクトについては、今回非常に順調に進行している(shaping up very well)と発表されており、スタジオおよびプロジェクトの動向は引き続き注目されるところだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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