2016年の「Steamサマーセール」でオススメしたいタイトル14選、AUTOMATONライター陣が厳選
Valveは現在、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて「サマーピクニックセール」を実施中だ。期日は太平洋夏時間の7月4日午前10時(日本標準時の7月5日午前2時)まで。すでに慣れた読者も多いとは思うが、昨年からSteamではフラッシュやデイリータイプのセールを廃止しており、最初からほぼすべてのタイトルが値引きされた状態で販売されている。今回もAUTOMATONライター陣オススメのタイトルを紹介するので、ぜひ購入の参考にしていただきたい。
Umise Minoruのオススメタイトル
Sunset
「Tale of tales」というスタジオを耳にしたことがある読者もいるだろう。彼らは『The Graveyards』など二癖もあるタイトルを世に送り出し、昨年の多大な広告費をかけて『Sunset』をリリースしたが、セールスが芳しくないあまり業界から撤退してしまった。彼らの最終作である『Sunset』は、Tale of talesらしく個性的ではあるが、決して奇抜で難解ではない、いたって真面目なアドベンチャーゲームだ。
主人公となる女性は家政婦の仕事に就いており、毎日17時に高層マンションの一室へ掃除をしにやってくる。17時からの1時間、掃除をしながら部屋の持ち主の嗜好から人間性を想像したり、時には直接メッセージをやりとりする。乱暴に言えば、毎回17時から掃除するだけのゲームなのだが、なかなか工夫が凝らされている。指定される掃除ミッションや部屋の様子は毎回異なっているし、景観も変わる。シナリオに合わせて新たな家具や手紙が置かれ、もしくは取り除かれる。主人公と雇い主の奇妙な関係性も話が進むごとに変化していくが、彼らは直接話し合うことはなく、どこか噛み合わないすれ違いが良い意味で歯がゆい。ゲームの基本は3D空間を歩きまわり、指定したオブジェクトに近づき掃除を実行するだけ。しかし、高層マンションということで景観も美しくうろうろして様子の変化を見るだけでも楽しいものだ。あくまで一室で掃除するというコンセプトであるだけに、ゲームとして退屈な部分があるのは否定しないが、Tales of talesの才能が遺憾なく発揮された、万人向けに作られた作品なだけにアドベンチャーゲームを愛するユーザーにはぜひとも遊んで欲しい。
わすれなオルガン
『わすれなオルガン』は、いわゆるクリッカーゲームだ。数ある種類の“臓器”に水をやり育てていき、訪れた客に販売したり、出荷したりしながらお金を稼ぐ。稼いだお金でプレイヤーは、臓器の栽培をより効率化できるアイテムを購入し、事業を拡大していく。『わすれなオルガン』の魅力のひとつは不思議な世界観だ。「臓器を栽培する」というテーマからわかるとおり物語は少し歪んだ世界で展開される。訪れる客はプレイヤーとその師匠の気を引くためにやたらと発注をかけてくるサラリーマンや、餌となるひき肉を要求するオコジョなどどこか憎めないキャラクターばかりだ。ただ愛らしいだけでなく、生命のあり方など倫理的な価値観を問うシーンもあり、シリアスな一面もある。
好みが分かれるのは、ほかのクリッカーゲームとは異なり、作業の自動化ができない点だ。基本的に水をやり、実った臓器を回収するという作業は序盤から終盤まで手動クリックがメインとなる。中盤になると一回一回あげていたジョウロでの水やりがまとめておこなえるようになるものの、自動化されることはない。その段階までくれば、腱鞘炎になるほどのマウスクリックは求められない。しかし、全編を通じてマウスクリックの作業を愛すことのできる忍耐力が必要だろう。独特の作業感と物語の先を見たい気持ちとの間で板挟みになりながら臓器を育てるのが、『わすれなオルガン』の醍醐味なのかもしれない。
Rocket League
なぜいまさら『ロケットリーグ』なのかと思われるかもしれないが、“今だからこそ”始めよう。2015年に発売され数々の賞を総嘗めにした作品は、未だその輝きを失っていないからだ。『ロケットリーグ』は自分流にカスタマイズした車を操作し、ボールにぶつかりゴールネットを揺らすことが目的のスポーツゲーム。フットサルともいえるしレースゲームとも言える本作の魅力は、とにかくボールに当たれば何かが起こることだ。何気なしにぶつかったボールがチームを救う決勝ゴールになることや、チームを救おうと必死でクリアしたボールが悲運にも味方の障害となり失点することも多々ある。『ロケットリーグ』はコントロールできる要素と予測できない要素が混じり合っておりお祭り感を見事に演出している。上級テクニックなども存在するが、最も必要なのは戦況に合わせたポジショニングだ。操作に自信がなくとも仲間に気を遣えるプレイヤーなら十二分に勝利に貢献できるだろう。
現在『ロケットリーグ』を始めるべき理由はふたつ。6月20日の大型アップデートで新アリーナ「Neo Tokyo」が追加されたことだ。東京へのリスペクトを隠さないこのステージは綺羅びやかなネオンが光る楽しい遊び場となっている。ほかにもさまざまな新要素が追加されるなどシステム面も拡張されている。もうひとつは、『ロケットリーグ』はいつからでも始められるゲーム性があるということだ。クロスプラットフォームを実現していることから、PlayStationユーザーとの対戦も可能であり、プレイ人口は一定数維持されているのが大きい。マッチングには多少時間がかかる(2分程度)こともあるが、モードを選り好みしすぎなければ基本的には対戦相手は見つかりやすい。そして、前述のとおりそれほどプレイヤーの腕の差が感じにくいという点だ。いくらブーストで空を飛ぶテクニックを会得していたとしても、守備意識がなければ戦力にはならない。適性があれば、ビギナーがゲームを始めてすぐに試合で活躍できるのも本作の嬉しい部分だ。試合時間も短く、気楽にできる魅力もある。ぜひ『Overwatch』をプレイする合間の休憩にも『ロケットリーグ』を遊んでみてはどうか。
Grim Fandango Remastered
次にご紹介したいのが『Grim Fandango Remastered』だ。同作は1998年に発売され名作と名高い『Grim Fandango』の解像度やテクスチャ、音楽を新たに装い発売されたもの。『Grim Fandango Remastered』の面白さの核となるのは、15年以上経った現在でも未だ色褪せないユーモアだ。舞台となるのは、人が死んだ後に行き着く世界。命を落としガイコツとなった人々は営業マンとなり、人間界から良い魂を集めようと必死だ。プレイヤーは冴えないが曲がったことが嫌いなCalaveraとなり、死後の世界のいざこざに翻弄されることとなる。登場キャラクターの多くはガイコツであり、そのうちのほとんどが皮肉屋だ。毒を毒で返す、まるで棘だらけの会話のキャッチボールを見ていると、つい笑みを浮かべてしまうだろう。本作のシナリオライターであるTim Schafer氏は『The Secret of Monkey Island』なども担当しており、プレイしていたユーザーはどのような会話が展開されるのかあらかた予想できるだろう。面白可笑しさは勿論のこと、友情や信頼といったものも描かれており、一見奇妙で気持ちが悪い死後の世界が、プレイするうちにいつのまにか居心地の良い場所となっているかもしれない。
惜しむべくは、親切さも1998年基準であるということ。今作はとにかくフラグ立てが難しい。予想外の行動で物語が進行することが多く、基本はひたすらトライアンドエラーとなる。行動範囲はある程度制限されているので試すことは限られているのだが、それでもヒントさえ存在すれば本作の魅力である軽妙な会話をもっと余裕を持って見られたのではないかと考えてしまう。それでも、海外でアドベンチャーゲームについて語られる時必ずといって触れられるほど名高い『Grim Fandango Remastered』に触れない手はないだろう。有志の日本語化によってその世界観をより的確に楽しめるのも嬉しいところだ。
Rokurou Eyamaのオススメタイトル
Battleborn
まずはじめに断っておくことがある。本作は発売1ヶ月で50%オフなどというへりくだり方をすべきゲームではない。たとえ近い発売日に『オーバーウォッチ』という巨人がいたとしても、もっと堂々と振る舞うべきなのだ。このゲームは『オーバーウォッチ』とは違うゲームなのだから。
「キャラクター性の強いクラスベースのシューター」という要素こそ一致しているが、両者は全く違うゲームであり、似ても似つかぬ異なる存在だ―――にも関わらず、2Kはこの度のSteamサマーセールで本作を半値で売るという行動に出てしまった。
しかし、それを責めることは出来ない。本作には既にオンライン主体のゲームの大敵である、プレイヤー人口減少の波に飲み込まれつつあるからだ。SteamSpyやSteamdbの数値を信用するならば、既に1日のピークプレイヤーが1000人に届かなくなってきている。本作はCOOPにせよ対戦にせよ、徹頭徹尾多人数プレイを大前提として設計・制作されているため、人が少なくなればなるほどこのゲームを楽しむことは難しくなってゆく。そして残念なことに、既にそうなりつつあるのだ。だからプレイ人数を確保するために値下げという手段をとったことを、責めるのではなく賞賛すべきなのだろう。
なにより、いわゆるMOBAジャンルとFPSの折衷案としては今のところ唯一といえる内容であるし、このまま消え去らせるにはあまりに惜しいものを持っているゲームでもある。今回のサマーセールで少しでも手にとってくれるプレイヤーが増えることを切に望み、ここでタイトルを挙げさせていただくものである。
ただし本作は大変に長大なゲームである。1ゲームが長く、アンロックのためのレベリングの道のりが長く、最適な装備を掘るために必要な時間が長い。良くも悪くも非常に長い時間をゲームに”拘束”されるであろうことだけは、どうかご理解いただきたい。
GUILTY GEAR 2 -OVERTURE-
2007年、Xbox360向けに発売され、そのままXbox360に―――そして対戦ゲームに燦然と輝くオンリーワンでありつづけているのが本作だ。今年4月についにSteam版が発売されたため、ここでこうして取り上げることも出来るわけだが、対戦ゲームのオンリーワンという立ち位置については今に至るも変化はない。
3Dバトルアクション要素とRTS要素、そしてギルティギアらしいコンボゲー要素といった、どう考えても混ざりようがないジャンルを、いずれの要素も極力ごまかさずに強引に合体してのけた結果、高いオリジナリティを備えた傑作が生み出されるに至ったのである。一対多のバトルアクションが、1対1のコンボゲーが、ユニットを生産し拠点を制圧するRTSが、このゲームの中では全て不可分のものとして結びつき、そして完結している。そのぶん覚えるべきルールや、必要な知識が非常に多いのだが、それらルールのすべてが本作の対戦の本質に触れ、楽しみ、そして勝つためにどうしても必要なものであることが非常に悩ましい欠点と言えるだろう。
さすがに荒削りな部分があることは否定出来ないし、上記の通り取っ付きは非常に悪いが、それを乗り越えた先の対戦の楽しさは保証する。そして対戦そのものも、現時点で本作以外では決してできない内容であることも保証する。新しい対戦ゲームを求める向きにはぜひとも手にとって欲しいタイトルだ。今回のセールと本稿を機に、この稀なる対戦ゲームに触れるプレイヤーが少しでも増え、そしてマッチング機会の増加に貢献してくれることを祈りたい。
Koji Fukuyamaのオススメタイトル
SOMA
恐怖は経験的なものと、非合理的なものにわけられる。『P.T.』から始まり『Layers of Fear』と『BIOHAZARD 7 TEASR – BEGINNING HOUR -』で明白になったことは、非合理的な恐怖を純化させ、ホラーゲームが新しいスタイルを獲得したということだ。これらには敵の概念がなく、演出中心であり、ショック効果は非合理でほとんど予想ができない。ゆえにプレイヤーは何かが起こるまでの時間こそに恐れおののくことになる。
そう考えるとこの『SOMA』は経験的な恐怖を描いた前世代のホラーゲームに数えられるだろう。まずもって敵の概念があり、その敵の予測不可能な動きや、追われる恐怖を味わう『クロックタワー』以来の伝統的なホラーゲームだ。おそらくこのジャンルは『Condemned:Psycho Crime』と『ALIEN: ISOLATION』で一つの到達点を見せたが、『SOMA』もその到達点に入れてもいいと思わせるのは、そのようなゲームメカニクスだけではなく、ストーリー的にも経験的な恐怖という観点から踏み込んでくる点である。その主題とは言わずもがな「死」である。死とは誰もがいずれ経験するものだが、経験的に語られるはずはなく、合理性と非合理性の二面性を持っているといえよう。『SOMA』はこの問題に踏み込んでくる。死を経験的で再現性のあるものだと現前させ、それを我々に何度も体験させるのだ。それも主観的にかつ客観的に。いわば自分の首に冷たいギロチンが何度も降りてくるようなものだが、この場合、死刑執行人もまた自分なのだ。何度も訪れる死……この夏にはうってつけの恐怖というわけである。
Nomura Hikaruのオススメタイトル
Stardock EntertainmentのSteamサマーセールは最新作50%、準新作66%オフだ。気前の良い話に聞こえるが、アーリーアクセスも含めると約1年前のゲームで、すでに割引販売も経験済みと、セールそのものに話題性はない。しかし、こうした長期アーリーアクセス品は発売したのを忘れがちで、購入の機会にはうってつけといえる。本稿は選考材料として、発売以降の経過を紹介する。
Offworld: Trading Company
本作は火星開発企業の社長が、カネという弾丸でライバル企業を攻撃するリアルタイム制ボードゲームだ。ユニットは存在せず、市場の資源を売買し、カネを稼いで相手企業を買収する。
ゲーム概要は弊誌プレビューを読まれたし。アーリーアクセスはプレイデータのフィードバックをもって成功をおさめた。特に、何度も改善されたユーザーインタフェース(以下、UI)が、プレイ戦略の焦点を明確におしえてくれるので不快感がない。
プレイ中のにぎやかしがなく、Steamユーザーレビューは低い。しかし、市場が急変する前兆を感じ取れたときの、「気づき」の感動はオンリーワンだ。独自のプレイフィールは確かにある。
Ashes of the Singularity
本作は、リアルタイム制ストラテジーの古典『Total Annihilation』を、最新のゲームエンジンで再現した。しかし、それをなした意義をプレイヤーに伝える努力を怠っており、新作ゲームという印象はない。
大手メディアGamespotの酷評をはじめ、上記の欠点で評価は悪い。挽回すべくいくつかの改良がなされたが、キャンペーンのストーリーテキストに肉声と顔写真をつける。といった、メディア評価に後付け対応した程度のものだ。新規ゲームエンジンの性能を活かした、本作独自のプレイ体験をもつには至っていない。
本作の真価は、やはり、ハイエンドゲーミングPC用ベンチマークだ。最近のバージョンアップでCPU用ベンチマークも搭載し、「Direct X12対応ベンチマーク」の地位は揺るぎないものとなった。今来年に発売予定のAMD新アーキテクチャCPUを購入するなら、比較基準のひとつとなろう。
Galactic Civilizations 3
宇宙ストラテジーの代表作で、Stardockの看板タイトルでもある。人気作『Stellaris』の存在が大きいものの、ジャンル一級品のタイトルだ。発売から約1年、幾つかのバージョンアップを経て大きく改良された。
その改良部分はほぼ全域である。UI、ゲーム内メカニズム、AIルーチン、戦闘時の演出など、発売当時と比べ確かな進歩を感じ取れる。これらはベースゲームに施されており、DLCを所持しなくてもアップデートの恩恵を得られる「手厚い」ものだ。
なお、この夏にスタンドアロン拡張の発売を予定している。過去作『Elemental』シリーズにあった、既存版所持者への割引特典を目当てに、購入しておくのも良いだろう。
Sins of a SOLAR EMPIRE: Rebellion
ゼロ年代を代表し、今日においてもジャンル最高級の宇宙ストラテジーだ。広大な銀河、リアルタイム制、複雑な4Xゲームを、優秀なUIで強固に結びつけた。銀河帝国を築き、宇宙艦隊の大戦争を堪能したいなら、本作を強く勧める。
特記すべきは、発売して8年も経つ本作が、いまだサポート継続している点だ。6月22日発売のDLC『Outlaw Sectors』では、新マップだけでなくゲーム要素も追加した。海賊対策が難しくなり防衛施設の重要性が増したほか、ライバル国の貿易収入を盗めるようになるなど、プレイ展開にひねりを加えている。
ゲームの背景を楽しむフレーバーテキストやイラストがなく、エンターテインメント面が乏しい欠点はある。それを踏まえても、ビジュアル、ゲーム設計、プレイ体験は特出した品質だ。未プレイのゲーマーは、DLCも併せて購入されたし。
Shuji Ishimotoのオススメタイトル
DEADBOLT
あの『Risk of Rain』を生みだした開発スタジオHopoo Gamesが、今年3月に『DEADBOLT』をセルフパブリッシングでリリースした。軽妙な2Dピクセルと丹精込めて築かれたゲームバランスはそのままだが、今作のジャンルは『Gunpoint』や『Not A Hero』のようなステージクリア型の2D横スクロールアクションゲームとなっている。プレイヤーは薄汚れたコートを着込んだ「死神の殺し屋」となり、ドラッグ「ASH」をキメている不死者マフィアの巣窟を次々と掃除しなければならない。
ゲームプレイは静と動の移り変わりが激しく楽しい。操作する死神はダクトパイプを伝って自由にステージを移動したり、照明を撃って暗闇を作りだしたりする。ステルスでマフィアたちの不意を突き、気付かれないよう戦略的に敵を排除していくのだ。また主人公は銃弾1発で死んでしまう虚弱体質な死神であり、戦闘状態に入ってからは敵を確実に処理していくスピーディなアクションもスリル満点で爽快、どことなく『Hotline Miami』を思いだすところ。
10パーセントオフとそれほど値引かれてはいないが、買うものに困っているようなSteamユーザーがいるなら、チェックしてもいい作品だろう。内容は大きく異るが、同様に『Gunpoint』『Not A Hero』も素晴らしい作品なので、この機会にこの手のジャンルの作品にどっぷりハマってみるのもいいかもしれない。
Tom Clancy’s Rainbow Six Siege
現在「教化作戦」でも取り上げている『Rainbow Six Siege』。建物の壁や床を壊して「穴」を作る戦略的な破壊要素を盛り込んだタクティカルシューターは唯一無二の存在だ。「いまは他のマルチプレイヤーFPSで忙しい」というプレイヤーも多そうだが、先日発売された「Starter Edition」のお陰で新兵が増えつつあり、あらためてプレイを始めるなら今しかないだろう。8100円という“特徴ある”価格設定も、セール中の現在は4860円まで値が下がっている。それでも高くは感じるが。
世界各国に存在する特殊部隊の隊員によって結成された国境なき対テロ攻撃部隊「Rainbow」。プレイヤーは個性豊かな「Rainbow」の隊員から1人を選び、5人のチームを結成して戦いに挑む。マルチプレイヤー対戦モードが主軸となっており、5vs5のシビアな戦いが厳しくも楽しい。ターゲットの位置や敵の配置を巡る情報戦で有利を掴み、リスポーン不可な戦いを優位に進めよう。けっして簡単に遊べる部類のゲームではないが、味方と連携し敵を戦略的に倒せた時の爽快感はほかにはない。負けが続いたりアンロック要素で辟易する時はあるが、対戦型FPSが好きなら絶対に一度は触れておくべき作品だ。
DOOM
もし次に大型セールが来たら『Bunker Punks』や『Devil Daggers』を紹介しようかなと考えていたのだが、残念ながら本家本元が無事に帰還してしまった。2016年に『DOOM』のオープンベータが実施された時、私は『Rage』の嫌な記憶がフラッシュバックし購入を躊躇した。が、『DOOM』の対戦マルチプレイヤーなど、血みどろのシングルプレイヤーを前にすれば些細な問題かなにかでしかなかったのだ。ベータテストで私のように躊躇してしまったプレイヤーがいるのなら、いますぐに『DOOM』に手を出すべきだろう。
新生『DOOM』について長々とここで語ってしまうことは避けたいが、1つだけ触れるとするなら、『DOOM』の“スマートさ”には賞賛を送りたい。『DOOM』には心が折れるほどの大量の敵が登場するが、アリーナ的なマップデザインと『DOOM』的な敵の行動パターンデザインのお陰で、ゲームプレイが滅茶苦茶になることがないのだ。適当な武器を撃ちまくってエリア内の敵を殲滅するのではなく、マップ内の敵を個別に認識し、敵の行動パターンを読みつつ一撃必殺の攻撃を放つ。画面上は目まぐるしく動き、心臓の鼓動はハードコアなメタルBGMと共に激しくなっていくが、一方で常に頭脳は冷静にならなければならない。“避けて撃つ”FPS根幹のエッセンスがここに健在、FPS好きを公称するなら必ず遊べ。