『PAYDAY』シリーズ手がけるStarbreeze、突如「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の新作ゲームを開発中止。今後は『PAYDAY』に全力集中へ
Starbreezeは10月2日、開発中として報じられていたゲーム「Project Baxter」の開発を中止することを発表した。

パブリッシャー/デベロッパーのStarbreezeは10月2日、開発中として報じられていたゲーム「Project Baxter」の開発を中止することを発表した。今後は同社の主力事業である『PAYDAY』シリーズに注力する考えを示している。
「Project Baxter」は2023年12月にStarbreezeが発表したタイトルだ。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にもとづく作品とされ、同IPの権利を保有するWizards of the Coast社からライセンスを取得。2026年の発売を目指して開発が進められていた。Unreal Engine 5を採用し、主要プラットフォームでのクロスプレイにも対応する作品となる計画であった。

10月2日にStarbreezeの公式サイトにて、「Project Baxter」の開発が中止されることが発表された。サイトからは、すでに同作の専用ページは削除されている。発表によると、開発中止に伴って44名の人員削減がおこなわれ、チームのメンバーの一部はおもに『PAYDAY』のプロジェクトへと再配置されるという。さらに同日、『PAYDAY』フランチャイズを軸として、強盗ゲームジャンルにおけるさらなる勢力拡大を目指す方針も併せて発表された。同社の主力事業である『PAYDAY』シリーズ作品をメインに据えつつ、スピンオフやストーリー駆動型の作品など、幅広い展開を計画しているとのこと。
「Project Baxter」が開発中止に至った要因としては、『PAYDAY 3』の不振の影響もあるとみられる。『PAYDAY 3』は人気クライムシューター『PAYDAY』シリーズの最新作だ。同作は2023年9月のリリース直後からマッチメイキングに関する不具合が発生。さらに前作と比較して発売時点でのコンテンツが不足している点も指摘され、ユーザーからの評価を落とす結果となった。当時Starbreezeもこの状況を認めており、2024年2月からは「Operation Medic Bag(メディックバッグ作戦)」と称した大規模な立て直し計画も進められている。ただし、本稿執筆時点でのSteamユーザーレビューは、4万6000件中43%が好評とする「賛否両論」ステータスを示しており、指標の大きな回復には至っていない。

なお、『PAYDAY』公式によって10月2日にTwitchで放送された配信では、『PAYDAY 3』へのオフラインモードの実装が断念されたことも語られている。前述したマッチングの問題発生後、ユーザーからは同作をオフラインでも遊べるようにしてほしいとの意見が寄せられていたものの、実現不可能と判断されたそうだ。今後はゲームの中心となる部分の改善にリソースを割き、アップデートの速度も上げていきたいとの意向が明らかにされた。
そうした経緯もあり、Starbreezeでは現在他IPの開発にリソースを割くだけの余裕がなくなっているのかもしれない。なお同社は先日、『PAYDAY 2』のサブスクリプションプランの開始に伴ってDLC価格の値上げをおこない、大きな批判を浴びて価格を元に戻す一幕もあった(関連記事)。『PAYDAY』フランチャイズ一本に絞る姿勢を見せるなかではコミュニティとの関係性改善も重要になりそうで、今後どのように『PAYDAY 3』の改善や関連作品の開発が進められるのか注目したい。