『ポケモンレジェンズZ-A』発売前に「ミアレシティの3Dモデル」を拡散したリーク情報アカウントが猛批判浴びる。“悪質なデマ”と共に広めたとして

『Pokémon LEGENDS Z-A』の発売前にはリークとして大きく広まった誤報もあり、拡散したユーザーへの批判も渦巻いている。

株式会社ポケモンは10月16日、『Pokémon LEGENDS Z-A』を発売した。本作の発売前にはリークと主張されたさまざまな情報がSNS上で拡散されていた。このなかには大きく広まった誤報もあり、リークとして拡散したユーザーへの批判も渦巻いている。

本作は、『ポケットモンスター』シリーズの最新作だ。開発を手がけるのはゲームフリーク。本作では『ポケットモンスターX・Y』に登場したミアレシティが舞台。メガシンカシステムがふたたび登場するほか、戦闘では新たに移動型バトルが採用されている。

本作の発売の数日前から、SNS上では未発表のメガシンカポケモンなどの情報が広まりを見せていた。このなかではX上に「ミアレシティ全体の3Dモデル」とみられる画像も投じられ、リークとされる情報を扱うXユーザーによって“ゲーム中に街全体の単一の3Dモデルが都度読み込まれる”という誤解と共に拡散されることになった。

そうした誤解をもとに、発売前から早々に本作の最適化を批判するユーザーも発生。というのも3Dグラフィックのゲームにおいては、描画負荷の低減などを目的として、見えないあるいは見えにくい場所を簡略化する処理がよく採用される。プレイヤーの視点の近くにある要素は詳細に描画し、遠くにあるオブジェクトは簡略的なモデルへの差し替えなどをおこなう「LOD(Level of Detail)」や、視界外や隠れて見えないオブジェクトを非表示にする「カリング」などが代表的な例だ。

しかしもし“街全体が単一の3Dモデルとして扱われる”のであれば、LODによる部分的な差し替えや細かなカリング処理などが難しく、結果として描画負荷が増す可能性がある。そのためミアレシティ全体の3Dモデル画像から飛躍して最適化が考慮されていないのではないかといった誤解が生じ、さらには技術面への批判にも繋がっていた。

ただ発売後には先述の3Dモデルにおける建造物などが、実際の街の建物の3Dモデルとは構造的に異なることが判明。各建造物の細かな凹凸などが簡略化されており、プレイアブルな場面ではなく特定のカットシーン限定で用いられているとみられている。本稿執筆時点で発端となった画像を投じたXポストも削除されており、“街全体が単一の3Dモデルとして扱われる”としてその画像を拡散したユーザーは「当時入手できた情報から誤った推測をしていた」として誤りを認めている。

いずれにせよ、上述したような誤解はいまだに独り歩きを続けている様子もみられる。“街全体が単一の3Dモデルとして扱われる”という誤解だけが大きく広まり、後に訂正されたことが伝わらない点も問題視されている状況だ。そうした点からも、上述したリークとされる情報を広めたユーザーには批判が寄せられている。

なお『Pokémon LEGENDS Z-A』の発売前には、ゲームフリークにて昨年発生した、サーバーへの不正アクセス時に得たと主張される情報も広まりを見せていた。あくまで同社が報告したのは従業員・委託業務従事者の氏名・社用メールアドレスの漏えいのみであったものの、当時はあわせてソースコードや未使用のポケモンのデザイン、完成済みのゲームビルドなども流出した可能性が報じられていた(Polygon)。

今になって当時のリークとされる情報が広まっているものの、今回のミアレシティの3Dモデルのように、真偽不明というだけでなく周辺情報や文脈が十分に示されないまま拡散されている状況だ。過去には米国にて、発売前だった『ポケットモンスター ソード・シールド』の攻略本の画像をリークした者が株式会社ポケモンの米国法人に訴えられ、1人あたり15万ドル(約2300万円・現在のレート)の支払いに至った事例もある(Polygon)。さまざまなリスクが想定されることもあり、未発表の情報の拡散はくれぐれも避けるべきだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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