『LIMBO』開発元を辞めた共同設立者、古巣から訴えられて約1000万円も請求される。「『LIMBO』のスクショなどを投稿して権利侵害した」として

『LIMBO』や『INSIDE』などを手がけたPlaydead。設立者であるArnt Jensen氏とDino Patti氏の間で対立があったことが報じられていたが、そのいざこざはまだ続いているようだ。

『LIMBO』や『INSIDE』を手がけたことで知られるインディースタジオPlaydead。同スタジオは、Arnt Jensen氏とDino Patti氏によって設立されたが、意見の食い違いをきっかけにPatti氏は2016年に離職した。ただ、両者の対立は今も続いているようだ。Patti氏は3月7日、Playdead側の弁護士から届いたという書面を公開した。

Patti氏は、Playdeadのビジネス面を主に担当していた人物だ。一方のArnt Jensen氏は、同スタジオのすべて作品の開発を指揮しているクリエイター。『LIMBO』『INSIDE』の開発期間の長さを巡り両者間に亀裂が入り、Patti氏は『INSIDE』のリリースを見届けたのち同スタジオを離れた(関連記事)。

今回Dino Patti氏は、古いビジネスパートナーから“法的なラブレター”が届いたとして、その内容を自身のSNSアカウントを通じて公開した。古いビジネスパートナーとはArnt Jensen氏のことを指しているようだが、書面の送り主はPlaydeadの代理人弁護士とされている。

書面の内容はというと、Playdeadが著作権を持つ画像および同スタジオが保有する商標をPatti氏が無許可で使用しているとして、50万デンマーク・クローネ(約1000万円)の支払いなどを要求するというもの。Patti氏は昨年11月、Playdeadで『LIMBO』を開発していた当時の話をLinkedInに投稿しており(現在は削除済み)、そこに『LIMBO』のタイトル名とスクリーンショットが含まれていたことが、知的財産権の侵害であると指摘されている。

『LIMBO』

Patti氏によると、同様の書面は過去9年間にたびたび送付されてきているという。今回のLinkedInへの投稿に関しては、自身が制作に携わった『LIMBO』の、一般に公開されている画像を使用しただけで法的に脅されたと述べる。また、Playdeadの設立に深く関わったことや、自身の貢献なしには独立したスタジオとして存続できなかったことなどは、Jensen氏にとっては認めがたい事実だろうが、ほかのスタッフを含め皆が目にしてきたことだとし、嫌がらせをやめるよう呼びかけた。

なおPlaydead側は書面にて、Patti氏は『LIMBO』の開発において主要な部分には関与していなかったにもかかわらず、当該投稿に「we designed, we crafted」などと記載し、読者をミスリードしていたと主張。そうした背景もあって権利侵害を訴えているようだ。Patti氏が実際にどの程度開発に関わっていたのかははっきりしないが、『LIMBO』にて同氏は開発ディレクター(Director of Development)としてクレジットされている。ちなみに『INSIDE』ではエグゼクティブプロデューサーだった。

一方Patti氏は、自分自身の歴史を自ら消すようなことはしないとコメント。さらに、残念な別れ方をしたからといって過去は書き換えられないとし、そうしようとするたびに真実を語るだろうと述べた。同氏としては、Jensen氏と喧嘩別れしたために、Playdeadでの経歴に関して嫌がらせを受けているという認識のようだ。もっとも、たびたびこうした書面が届くことにはうんざりしているようで、解決策を見出したいとJensen氏に対し呼びかけている。今後両者が話し合いの機会を設ける可能性もあるのかもしれない。

なお現在Dino Patti氏は、SFアクション・アドベンチャーゲーム『Somerville』の開発元Jumpshipに共同設立者として籍を置きつつ、『Vampire Survivors』などに採用されたマルチプレイゲーム開発環境を手がけるcoherenceのCEOを務めている。

一方のPlaydeadは、三人称視点オープンワールドゲームを開発中(関連記事)。開発が最初に公表されてからすでに8年が経過しており、『LIMBO』『INSIDE』を超える長期プロジェクトとなっている。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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