“AIを騙す”協力プレイ型お絵かきクイズ『outdraw.AI』Steam向けに発表。画像認識AIにバレないように、お題の絵をみんなに当ててもらう
ゲーム開発者の木原共氏および Playfoolは12月9日、AIお絵かきクイズゲーム『outdraw.AI』をSteamにて2025年第1四半期にリリースすると発表した。本作はホストさえSteam版を所持していれば、QRコード、もしくはWebサイトを通じてスマートフォン、タブレットでプレイすることが可能だという。
『outdraw.AI』は、高性能画像認識AIに正解されないようにお題の絵を描く協力型のお絵かきクイズゲームだ。本作では最大6人のプレイヤーと、お題の絵を描いて正解を当てるお絵かきクイズを行う。しかし、ゲーム内にはプレイヤーだけでなく、画像を認識するAIが存在。描き手となるプレイヤーは、AIに悟られないように、かつプレイヤーには分かってもらえるようにお題の絵を描くことを目指す。
本作ではプレイヤーのうち1人が描き手として、秘密のお題を元に絵を描き、答え手となるプレイヤーだけが正解したら人間の勝利。画像認識AIに正解されたら人間の負けとしてAIとお絵かきクイズを行う。AIが答えを間違え、かつ答え手が誰か一人でも正解していれば、人間側の勝利。答えた人数分のポイントが貰える。逆に、仮に答え手が全員正解していても、AIが正解していれば人間の負けとなり、ポイントは手に入らない。このお絵描きクイズを参加人数分のラウンドを繰り返し、人間チームとAIで最終的な合計ポイントが上回った方がそのゲームでの勝利となる。
本作に登場するお題には、動物、行為、概念の3つのカテゴリーがあり、描き手はカテゴリーの中から一つのお題を選択することができる。答え手はカテゴリーだけが表示されており、その絵を見て、正解を当てるのだ。お題には「ネコ」や「自転車」といったポピュラーなものから、「愛」や「平和」などの抽象的な概念まで存在する。
ポピュラーなお題にして分かりやすい絵にすれば、答え手も答えやすくなる。ただし、それと同時にAIの正答率も高くなりそうだ。一方、抽象的な概念はAIも理解しがたく、絵を認識して正答するのは難しいだろう。それと同時に答え手も、絵を見てその概念を理解しなければいけない。描き手は、あえてAIを騙すような絵を描く、もしくは難しいお題を選ぶことで、AIの正答率を下げながらも、答え手がわかるような絵を描かなければならないというわけだ。
本作は、ゲームクリエイター/メディアアーティストの木原共氏と、ダニエル・コッペン氏とマルヤマサキ氏からなるアート・デザインユニット、Playfoolの3名を中心に小規模開発されているという。この3名は過去にもAIを用いたゲーム制作をしており、2023年7月には、ポーズを取る、三角コーンを被るなどして自動運転AIに見つからないように横断歩道を渡る野外型ゲーム『How (not) to get hit by a self-driving car』を開発。世界中の展覧会で公開している。
『outdraw.AI』はそんな木原氏とPlayfoolが贈る、AIを活用した新作となるわけだ。本作に使用されている画像認識AIは、Google Gemini APIを採用。「AIの学習データに取り込まれていない、新たな表現を人間は生み出すことはできるのか?」といったコンセプトで開発されているという。なお、本作のプレイヤーによる描画データはGeminiの開発元であるGoogleに使用されることはないとのこと。加えて、AI学習目的で第三者へのデータの販売・譲渡は一切行わないことも明記されている。ゲームのAIシステムについても、描画データの学習利用には事前同意を必要とする仕組みが採用されるそうで、デフォルトで学習を許可しない設定になっているそうだ。
『outdraw.AI』はPC(Steam)向けに、2025年第1四半期リリース予定だ。