「実写カード」デッキ構築RPG『萬手一体』がかなり好評。“全身手まみれ”主人公が繰り広げる「コラージュ」カードバトル
Lightning Gamesは4月22日、デッキ構築カードRPG『萬手一体』をSteam向けに配信した。本作は実写映像のコラージュを取り入れた奇抜なスタイルなどが評価され、好評となっている。

パブリッシャーのLightning Gamesは4月22日、デッキ構築カードRPG『萬手一体』を配信開始した。対象プラットフォームはPC(Steam)。日本語表示に対応している。本作は実写映像の「コラージュ」を取り入れた奇抜なデザインが特徴で、配信から数日で高い評価を獲得している。
『萬手一体』は、『Slay the Spire』などに代表されるデッキ構築カードバトルのゲーム。プレイヤーが目覚めると、体のパーツがすべて”手”へと変化した「萬手一体」になってしまっていた。元の体を取り戻す方法や、自らが「萬手一体」になった理由を探るため、プレイヤーは空想と現実の境界が曖昧になった世界で自分を見つめなおす旅に出る。実写の映像によるコラージュが取り入れられた、狂気的な雰囲気も漂う作品だ。

プレイヤーは手でできた心臓を守りつつ、右手と左手を使ってデッキから引いたアイテムを掴んで行動していく。上段の敵本体やそこから出現する中段のターゲットを、自分のターンの間に撃破していく。「万年筆」や「スチール定規」などの単体武器では、中段のターゲットがいる間は上段の敵本体を直接攻撃することができない。そのため、3つまでのターゲットに同時にダメージを与える「青色のコップ」などのスワイプ武器や、上段のターゲットを直接攻撃できる「消しゴム」などの遠距離武器も駆使して戦う。バランスを重視したデッキ構築が必要となる。敵のライフをすべて削り切ったら勝利だ。なお、本作では倒れてしまってもゲームオーバーにはならず、ペナルティ付きで繰り返しリトライすることができる。

またデッキ構築とは別に、本作では顔パーツを組み合わせて鏡に映る自身の顔を再構築することができる。つけた顔パーツによって、回復や攻撃などの強力な能力を得ることができるが、代償としてHPを支払うことになる。ちなみに、好きな画像をスリーブとして設定する機能が実装されており、実際の自分の顔パーツで構築することもできる。
本作ではカードバトルをおこなうプレイパートのほか、「神秘思考」「行動思考」「論理思考」という3つの思考と対話するアドベンチャーパートなどを通して物語が進行する。道中では思考に対する選択によって自らの「思想傾向」が変動。ストーリーの進行やアンロックされるカードなどに影響する。また戦うたびに上昇していく「悪夢レベル」のシステムも特徴。上昇にともなってカードが呪いを受けたり敵が強化されたりしてしまい、ゲームの難易度が上がる。一方で報酬のコインが増えるなどメリットもあり、どのように「悪夢レベル」をコントロールするかが重要となる。

本作は4月22日にリリースされ、Steamユーザーレビューは本稿執筆時点で約200件中95%が好評とする高い評価を得ている。レビューでは、特徴的なコラージュ風アートの奇抜さにくわえ、見た目に反して理解しやすく戦略性の高いカードバトルを評価する声が散見される。カードを用いた戦闘システムは『Slay the Spire』などにも似ているが、ローグライク的な要素は比較的少ない。マップを自由に探索して先に進むシステムや哲学的なストーリーなど、アドベンチャーゲームとしての性質も色濃く表れている。同じく心理的ホラーを取り入れたデッキ構築ゲーム『Inscryption』が好きな人におすすめしたいというレビューも多いようだ。なお、本作は『Inscryption』に着想を得て制作されたことが明かされており、現在同作とのバンドルも販売中。

本作は中国を拠点とするデベロッパーGame Riverに所属するZeyu Yang氏が開発を手がけている。Yang氏はゲーム開発に過去14年間携わってきたが、“インディーバブル”の凋落を恐れ、その内10年はやむなく企業での開発に捧げてきたという。本作は、そんな同氏のやり場のないほどの情熱が注ぎ込まれた渾身のインディー作品のようだ。ちなみに、ゲーム中に登場する手の映像はすべてYang氏本人のものだという。また6月のアップデートにて、繰り返し挑戦することのできる新モードの実装が決定している。新たなカードや敵なども追加されるとのこと。今後のアップデートにも期待したい。
『萬手一体』はPC(Steam)向けに配信中。日本語表示に対応している。