あるFPS開発者が「うちのゲームを批評するクリエイターは、競合ゲームの案件を受けた経歴を正直に言って」と警告。“お金にならないゲームのネガキャン”をやめてほしいとして
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デベロッパーDrakeling LabsのCEO兼創設者であるConnor Hill氏は2月9日、X(旧Twitter)にてコンテンツクリエイター向けに警告を発した。Hill氏によれば、過去に報酬付きの案件でゲームを紹介したことがある場合、同氏の手がける『Operation: Harsh Doorstop』のレビューにてそのことを開示すべきとの条件を提示。条件を守らないコンテンツクリエイターには、法的措置も辞さないと告知している。
Drakeling LabsはYouTuberとして活動するBluedrake42ことConnor Hill氏が創設したゲームデベロッパーだ。FPSゲーム『Operation: Harsh Doorstop』を開発しており、同作は基本プレイ無料タイトルとして現在早期アクセス配信中。2月28日には大規模なアップデートを予定している。
『Operation: Harsh Doorstop』の開発はHill氏が主導しており、随所に同氏の理念が盛り込まれている。たとえば本作は基本プレイ無料で提供されているものの、ルートボックス、いわゆるガチャ要素やシーズンパスなどの一般的なライブサービスゲームの課金要素は存在しない。“搾取的な課金要素”を否定するHill氏のスタンスが反映されているという。そのほかシングルプレイから協力モード、マルチプレイサーバー、Steamワークショップ対応などの要素も実装されており、そうした要素がゲームにとって不可欠という同氏の考えに基づいているようだ。
Hill氏の数々の理念が反映された本作は、本稿執筆時点のSteamユーザーレビューにて約1万7100件中77%が好評とする「やや好評」ステータスを獲得。チートなどの不正行為が多くみられる点や、最適化不足とする声などが寄せられている。一方、Modなどで自由にカスタマイズできるゲームプレイや、本作のポテンシャルなどは一定の評価を獲得しているかたちだ。
そんな本作について、Hill氏は2月9日声明を発表した。声明によれば、過去12か月の間に、「競合タイトル」の案件で1万ドル(約154万円)以上の報酬をもらったコンテンツクリエイターは、『Operation: Harsh Doorstop』のレビューを発信する際に、案件でレビューを作成したことがあると開示するよう依頼している。ここで競合のタイトルとしては、『バトルフィールド』や『Delta Force』などといった、あらゆるリアル/セミリアルFPSと定義している。
つまりHill氏は、案件で競合タイトルを紹介したことがある動画投稿者やレビュアーに対し、『Operation: Harsh Doorstop』のレビュー記事・動画を作成する際にその事実を開示するように求めている格好だ。そしてHill氏は、もし開示をしなかった場合法的措置も辞さないと述べている。
コンテンツクリエイターに対して強硬な姿勢を見せた背景としてHill氏は、そうした(競合他社から高額の案件を受けている)コンテンツクリエイターはもはや「競合他社との契約者だ」との考えを説明。報酬を支払わないタイトルに対して、レビューと称して攻撃する様子を見せられるのはうんざりするとこぼした。また、報酬を支払わないタイトルを攻撃する目的の“偽のコンテンツ”を投稿するくらいなら、『Operation: Harsh Doorstop』を取り上げてほしくない、との意見を表明した。
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今回、大規模なアップデートも控えた『Operation: Harsh Doorstop』に向けて、Connor Hill氏が“ネガティブキャンペーン”に対して牽制の声明を発表したかたち。なお、当然レビューや批評にあたっては、コンテンツクリエイター自身がお金を授受しているかどうかに関わらず、ゲーム内容に否定的な意見を投じることは十分考えられる。
とはいえ、Hill氏にとって「お金を貰っている他のタイトル評価しつつ、本作には不当な批判をおこなっている」ように映ったレビューもあるようだ。またクリエイターが報酬を受け取っているゲームでは目立った批判がおこなわれにくい傾向はあるだろう。そうしたクリエイターが投稿するコンテンツでは、相対的に案件ではないゲームが低い評価を受けているように見える可能性も考えられる。Hill氏はそうした可能性について、公平性の観点から案件の経験の明記を求めたようだ。
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近年ではコンテンツクリエイターやジャーナリスト、メディアを利用したマーケティングは広く用いられている手法であり、投稿されたコンテンツには案件/非案件が混ざっていることもある。ゲーム開発者としては、両者が並列して紹介されることで、“評価の差”があるかのように見えてしまうという懸念もあるようだ。
そこでHill氏は本作のレビューを作成するにあたり、具体的に金銭を貰ったゲームタイトルの公開を求めている格好だ。ただこうした要請は、コンテンツクリエイターにとって紹介における心理的なハードルなどになりうる。公正なレビューとクリエイターによる盛り上げを両立する難しさも垣間見える事例かもしれない。
『Operation: Harsh Doorstop』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。課金要素としては、追加コンテンツへの先行アクセス権や寄付用DLCが販売されている。