任天堂が“光学ディスクドライブ非搭載”のゲームシステム特許を出願、国内外で渦巻く「NX」ダウンロード専用機の噂
海外フォーラムNeoGAFのユーザーが、任天堂が北米で今年2月10日に「ゲームシステム」の特許を出願していたことを発見した。この特許は国内でも2014年2月20日に出願されているもので、出願番号からその存在が確認できる。ディスクレスを主眼に置いたらしきシステム設計に、海外では「NX」はダウンロード専用のゲームハードになるのではともささやかれており、EurogamerやIGNなど多数の大手海外メディアがニュースとして取り上げている状況だ。
特許の存在は2015年8月20日に米国内で出願中であることが公開され明らかとなった。国内では特許の詳細はまだ伏せられたままだ。特許が発見されたものの、結局のところそれをもとにした製品はリリースされなかったという事例は数えきれないほどある。そもそもこれが「NX」に繋がる証拠など一切ないのだが、任天堂が一体なにを考えてこの特許を取得したのかには興味深い部分もある。
参考記事: 任天堂がDeNAと業務資本提携を発表、新型ゲーム専用プラットフォーム「NX」開発中
光学ディスクドライブ非搭載
今回発見されたゲームシステムの特許からは、PlayStation 4やXbox One、あるいはWii Uと似た現在主流のハードデザインが読み取れる。ディスプレイに接続して映像を出力し、操作は無線接続式のコントローラーにて行う。インターネット接続が可能なユニットや、SDカードのようなメモリカードを挿入するスロットもあり。内部HDDと追加HDDの接続ユニットも存在する。
ただ一点、現在主流のハードデザインと異なるのは、光学ディスクドライブが非搭載であるという点である。米国の特許出願に記されているゲームシステムの概要はこうだ。
また特許の背景や概要を伝える項ではこう続き、同特許のゲームシステムがダウンロード専用、あるいはダウンロードに特化していることをにおわせている。
「NX」か?Wii Uの廉価版か?
ダウンロード専用のゲームハードには前例があり、据え置きでというと先日ハードウェア企業Razerに買収された「OUYA」。携帯ゲーム機ではソニーより「PlayStation Portable Go」が2009年にリリースされている。ただし、どちらも“失敗したゲームハード”の烙印を押されていることに異存はないだろう。「ゲームの購入にはインターネット接続が必要」「ゲームソフトの中古売買ができない」……「NX」がダウンロード専用機である場合には、こういった障害を乗り越える大きな仕掛けが必要となるのは間違いない。
推測の類ではあるが、一つ可能性として頭に浮かぶのは、「NX」がさまざまな層のユーザーたちをつなぐ「PlayStation Vita TV」に近い機種になるという線だ。任天堂は現在、Wii Uやニンテンドー3DSなどでゲーム市場を攻め、また睡眠を補佐する健康事業やDeNAとのスマートフォン向けアプリ提携にて、幅広いユーザー層を獲得しようとしている。ゲーム機、健康電子器具、そしてスマホ。これらをすべてつなげる核のゲームプラットフォームとして、リビングのTVの下に「NX」が君臨し、家族をつなげることになる。今年6月には「NX」がAndroidゲームのエミュレート機能を持っていると噂になり、また同月と7月には「NX」は150ドル前後の低価格路線を進むとの噂があったことも、この説を補強している(日本経済新聞が報じた「NX」のOSがAndroidであるというニュースは、後にGameSpotなどに対し任天堂が完全否定している)。今年3月の記者会見ではさまざまな機種を結ぶメンバーズサービスの開発も発表された。「NX」はこれらの機種(ユーザー層)を安価に結ぶ中核となるのかもしれない。
このほか今回の特許のゲームシステムは「NX」ではなく、Wii Uの廉価版ではないかという説もある。任天堂は過去にインターネット接続機能を排した「Wii mini」や、3D立体視と折りたたみ機能を排した「ニンテンドー2DS」などをリリースしている。どちらも国内では未発売だが、現在の国内でのWii U市場を考慮すれば、廉価版Wii Uを発売しても十分に普及は見込めるといえるだろう。ただ光学ディスクドライブを排除しただけでは、それほどハード価格は低下しないはずだ。今回のゲームシステムが廉価版Wii Uであるのならば、低価格化だけでなく小型化も1つのコンセプトになっていると考えるのが打倒だろう。
任天堂は新型ゲームプラットフォーム「NX」を2016年に正式発表すると伝えている。