
任天堂に訴えられたNintendo Switch本体改造業者、賠償金「約3億円」など命じられる。“弁護士なし裁判”に臨んだ被告に、重い判決
米任天堂がNintendo Switch改造業者を相手取り提訴していた件について、判決が下された。

任天堂の米国法人Nintendo of Americaが、Nintendo Switch本体の改造などをおこなう業者を相手取り、著作権侵害などを訴えて昨年提訴していた件について、当事者の共同申立てに基づく最終判決および恒久的差止命令が先日9月5日に下されていたことが明らかになった。海外メディアEngadgetなどが報じている。
被告となったのは、「Modded Hardware」というウェブサイトを運営していたミシガン州在住のRyan Dalyという人物だ。同サイトでは、改造済みのNintendo Switch本体やニンテンドー3DS本体、および改造に使用するデバイスが販売されていたほか、顧客が持ち込んだNintendo Switch本体の改造を代行するサービスもおこなわれていた。ここでいう改造とは、海賊版ゲームソフトの動作を実現させる行為である。

任天堂は2024年3月、Daly氏に対し改造本体やパーツの販売をやめるよう要求し、同氏は受け入れる旨の返答をしたとされる。しかし、実際には販売を継続していたことから、同社は同年6月に、技術的保護手段を回避するデバイスの販売による著作権侵害などを訴えて裁判を起こした。これに対しDaly氏は弁護士を立てることなく、任天堂側の主張への反論を自ら裁判所に提出していた(関連記事)。
それから約1年が経った先日9月5日、米国ワシントン州西部地区連邦地方裁判所にて判決が下された。海外メディアEngadgetが入手した裁判資料によると裁判所は、Daly氏はNintendo Switch本体などの技術的保護手段の回避が目的であることを承知した上で改造デバイスなどを販売していたとし、さらに任天堂タイトルの海賊版を顧客に提供していたとも指摘した。
裁判所は、これらはデジタルミレニアム著作権法などに違反する行為であり、任天堂に対して重大かつ回復不能な損害を与えたと認定。そしてDaly氏に対し、200万ドル(約2億9600万円)の賠償金を任天堂に支払うよう命じた。さらに、Modded Hardwareのウェブサイト閉鎖と当該ドメインの任天堂への移管、任天堂製品の技術的保護手段の回避にかかわるデバイスへの将来にわたる関与の禁止などについても命じられた。これらは当事者の共同申立てに基づく最終判決および恒久的差止命令であり、Daly氏は同意している(資料pdf)。

任天堂は、Nintendo Switchなどの海賊版ゲームにかかわる活動に対しては、厳しい態度で臨んでいることで知られる。これまでには、今回のような改造本体を販売する業者のほかにも、海賊版ゲームのROMファイル配布サイトや、海賊版コミュニティのモデレーター、また改造ツールの製造元などを相手取り提訴。和解に至ったケースを含め巨額の賠償金が課されることもあり、今回の裁判においても、弁護士なしで任天堂との訴訟に臨んだ被告には厳しい現実が突きつけられた格好である。
