「まだ発表前のNintendo Switch 2の模型」で宣伝して訴えられた周辺機器ブランドGenki、任天堂と和解。損害支払い&今後は“紛らわしい商品禁止”に

任天堂の米国法人Nintendo of Americaが、Nintendo Switch 2に関連してゲーム周辺機器メーカーを提訴していた件について、9月8日に両社が和解していたことが明らかになった。

任天堂の米国法人Nintendo of Americaが、Nintendo Switch 2に関連してゲーム周辺機器メーカーを提訴していた件について、9月8日に両社が和解していたことが明らかになった。海外メディアNintendo Everythingなどが報じている。

今回被告となっていたのは、ゲーム周辺機器ブランドGenkiを展開する米国のHuman Thingsだ。同社は今年1月、米国で開催されたテクノロジー見本市CES 2025にて、Nintendo Switch 2本体のものだとするモックアップと、対応周辺機器を展示していた。ただ当時は、任天堂がNintendo Switch 2を発表する約1週間前であり、その本体デザインも「Nintendo Switch 2」という製品名も、まだ公に披露されていなかった。

問題のモックアップについてHuman Thingsは、当初はNintendo Switch 2の実機を入手して製作したと説明していたが、任天堂は同社への提供を否定。実際には、リーク情報をもとに製作されたようだ。結果的にかなり正確に再現されていた模様であるが、Human Thingsはその“非公式”の製品において、「Nintendo Switch」の商標の使用をはじめ、任天堂のイメージにタダ乗りしたとも取れる宣伝活動をさまざま展開。そしてついに任天堂が提訴するに至った。

裁判にて任天堂は、Human Thingsの行動は同社と任天堂が提携関係にあると消費者を誤解させるものであると主張。商標権侵害・不公正競争・虚偽広告により被った損害額の3倍の賠償金の支払いや、「Nintendo Switch」あるいはそれに誤認させる商標と組み合わせて販売される製品の製造・販売差し止めなどを求めた(関連記事)。

*Nintendo Switch 2の発表前に、Genki公式サイトに掲載されていたPV。

それから約4か月が経った9月8日、カリフォルニア中部地区連邦地方裁判所が終局判決および恒久的差止命令を出し、和解による解決に至った。金額は非公開であるが、Human Thingsは任天堂に対し損害賠償金に相当する支払いをおこなうとのこと。

またHuman Thingsは、任天堂の知的財産と混同させるような名称の、製品への使用が禁じられた。同社は、Nintendo Switch 2対応製品を「Glitch 2」と呼称して販売していたが、こういった製品名は今後使えないということだろう。このほか、Human ThingsはNintendo Switch 2の正式発表前に、実機や資料などを入手していなかったことも明確にされた。

製品の発表前に、リーク情報を元に対応周辺機器やアクセサリが開発されることは、ゲーム機以外の分野でもよく見られる。ただ今回の件では、任天堂の商標を無断使用しながら大々的に宣伝され、同社としても見過ごせなかったのだろう。和解により支払う金額は不明であるが、Human Thingsは相応の代償を払うことになったものと思われる。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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