Nintendo Switch 2の本体価格で「米国の新関税」は考慮されていない。“海外版は関税のせいで高い”と推測されるなか、米任天堂社長のアンサー
Nintendo Switch 2の海外での価格設定について、米国で現地時間4月2日に導入が発表された「相互関税」の影響を受けているのかどうかの議論が生じている。一方で米任天堂のDoug Bowser社長は複数のメディアに対して、Switch 2の価格設定には相互関税が考慮されていないことを明かしている。

任天堂は4月2日、Nintendo Switch 2(以下、Switch 2)を6月5日に発売すると発表し、性能や価格といった詳細を披露した。このなかで本体の価格設定について、米国で現地時間4月2日に導入が発表された「相互関税」の影響を受けているのかどうかを巡り、一部海外ユーザー間で議論を呼んでいた状況がある。一方でNintendo of AmericaのDoug Bowser社長は複数のメディアに対して、Switch 2の価格設定には相互関税が考慮されていないことを明かしている。
Switch 2は、2017年3月3日に発売されたNintendo Switch(以下、Switch)の後継機種だ。携帯モードと、ドックに取り付けてのTVモードの両方で遊べる点など、 Switchの特性を引き継いでいる。なお付属コントローラーとなる「Joy-Con 2」でも本体から取り外しが可能。マグネット式での取り付けとなり、マウスのように使える機能も備わる。
そしてSwitch 2ではCPUやGPUの性能が大きく向上。本体画面は6.2インチから7.9インチに拡大し、画面解像度は1080pに、対応フレームレートは最大120fpsに向上しているという。そしてTVモードでは画面解像度1440p、および4Kでの出力にも対応する。また携帯モード・TVモードのいずれもHDR出力に対応する。
そんなSwitch 2は、米国向けには本体価格は449.99ドル(約6万6000円・以下それぞれ現在のレート)にてリリース予定だ。Switchでは299.99ドル(約4万4000円)、Switchの有機ELモデルでは349.99ドル(約5万1000円)であり、有機ELモデルのSwitchから100ドル(約1万5000円)の価格上昇となっている。
なお日本国内向けには日本語・国内専用のJapanese-Language Systemと多言語対応のMulti-Language Systemが存在する。Multi-Language Systemは税込6万9980円となっており、海外向け価格と同程度。一方でJapanese-Language Systemが税込4万9980円であり、1万5000円ほど安い価格が設定されている。
そうした価格の違いからか、主に米国のユーザー間ではSwitch 2の価格設定に「相互関税」が影響しているのではないかとの憶測も広まっていた(関連記事)。相互関税とは、ドナルド・トランプ大統領が現地時間4月2日に打ち出した新たな関税政策。すべての輸入品に対して一律で10%の基本関税を課すほか、相手国の関税率や非関税障壁などに応じて、国・地域別に税率が上乗せされる施策だ。すべての輸入品が対象となるため、Switch 2が、製造された国から米国に輸入された際にかかる関税が引き上げられるかたちとなる。すでに基本関税は発動しており、米国時間4月9日からは上乗せ分も発動予定。
関税の引き上げによって輸入コストが上がることが、Switch 2の本体価格にも影響しているのではないかとの推測も一部ユーザー間で生じていた。一方でNintendo of AmericaのDoug Bowser社長によると、現状のSwitch 2の価格設定に関税は考慮していないという。CNBCやThe Vergeといった海外メディアの取材に対して伝えている。
このうちCNBCの取材がおこなわれたのは現地時間4月2日であったという。まさに相互関税の導入が発表された当日ながら、Bowser氏によると、449.99ドルという価格設定では関税は考慮されていないとのこと。また同氏はSwitch 2にてSwitchよりも価格が引き上げられた理由として、画面の大型化、性能向上、ゲームチャット機能の導入、Joy-Con 2が耐久性を高めるべく再設計されたこと(関連記事)などを例示。そうしたSwitch 2のすべての要素が価格の検討に関わったといい、消費者にとって適切な価値提案だと考えられているそうだ。
なおSwitch 2については、日本国内ではマイニンテンドーストアにてすでに予約の抽選応募が開始されており、4月16日11時まで受付がおこなわれる。対して米国では発売日は変更されていないものの予約開始日が当初の4月9日から延期。米任天堂によれば、予約延期は先述した相互関税の導入発表による判断であり、関税の潜在的な影響と市場にあたえる変化を見極めるためとしていた(関連記事)。
今回Bowser氏がThe Vergeに伝えるところによると、突然の相互関税の導入発表に対して、ほかの多くの企業と同じく任天堂も影響を見極めている最中だという。米国における延期後の予約開始日は発表されておらず、今後の動向も注目されるだろう。
Switch 2の価格の発表後すぐさま相互関税の導入発表があったことで、海外の一部ユーザー間では混乱も生じている。米国では相互関税のぶん“割高”になるのではないかといった懸念もみられたものの、少なくとも449.99ドルという価格設定には相互関税は考慮されていなかったようだ。Japanese-Language Systemと、Multi-Language Systemおよび海外向けのSwitch 2との間に価格設定に差はあるものの、地域ごとのニーズなども踏まえて価格が決定されたのかもしれない。とはいえ米国向けには、相互関税が考慮されずに設定されたという449.99ドルという価格が、今後変更されることがないのかどうかも注目される。
「Nintendo Switch 2」は6月5日に発売予定。日本国内向けの予約抽選受付はマイニンテンドーストアにて4月16日11時まで実施中だ。また全国のゲーム取扱店やオンラインショップでは、4月24日以降準備が整い次第、順次予約または抽選の受付が開始されるとのこと。