任天堂、ゲーム著作物の利用に関するガイドラインにて「不適切な動画・画像」の取り締まり強化。悪質なユーザーには“利用禁止”措置も
任天堂は9月2日、「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を更新し、一部の項目に追記をおこなった。
本ガイドラインは、個人のユーザーが、任天堂が著作権を有するゲームを利用して動画や静止画などを適切な共有サイトに投稿したり、指定のシステムにより収益化したりする場合に遵守を求められる取り決めだ。つまりゲーム実況や、同社タイトルを話題とする動画の制作、スクリーンショットの投稿といった活動を対象としたガイドラインである。今回の更新では「違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿」に関する追記がおこなわれた。
更新部分としてはまず、「任天堂は、違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿、このガイドラインに従わない投稿に対して、法的措置を講じる権利を保持しています」との条項に「また、そのような投稿を行った者に対しては、以後の任天堂のゲーム著作物の使用を認めない権利を保持しています」との文が加わった。問題のある投稿に対して個別に対処されるだけでなく、そうした投稿をおこなったユーザーには「任天堂のゲーム著作物の二次利用禁止」、たとえば同社作品実況プレイや関連コンテンツ制作の禁止といった措置がとられる可能性も示されているわけだろう。
さらに更新では「違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿」の例も追加された(公式サイトより引用):
Q11.「違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿」には、どのようなものが含まれますか。
A11.「違法または不適切な投稿や公序良俗に反する投稿」には、以下のものを含みますが、これらに限定されません。(2024/9/2 更新)
各国の法令に違反するもの
任天堂の知的財産権を侵害するもの
任天堂の商品またはサービスの正常な動作を妨げたり、安全性を損ねたりする行為を伴うもの
意図的にゲームの進行を阻害するなど、複数人でのプレイのゲーム性を損なうと認められる行為に関するもの
攻撃的、侮辱的、猥褻(わいせつ)または他人に不快感を与えると認められる発言や行動に関するもの不正にコピーされたゲームソフト、改造されたゲームソフト、任天堂の許諾を受けずに任天堂の著作物を利用して制作されたゲームソフト、または不正に入手されたゲームソフトに関するもの
チート、クラッキング、不正アクセス、技術的制限手段の回避、不正な改造またはこれらを可能にする物、ツールもしくはサービスに関するものエミュレーターや技術的制限手段を回避するプログラムなど、不正行為からゲームソフトやゲーム機を保護するために任天堂が導入したセキュリティを回避するソフトウェアや装置の使い方に関するもの
通常のゲームプレイでは利用できない映像や画像、音源等を、データマイニング等の方法によりゲームソフトから抽出して利用するもの
上述の引用のうち、追記されたのは「意図的にゲームの進行を阻害するなど、複数人でのプレイのゲーム性を損なうと認められる行為に関するもの」および「攻撃的、侮辱的、猥褻(わいせつ)または他人に不快感を与えると認められる発言や行動に関するもの」のふたつだ。たとえばユーザーが任天堂のゲーム著作物を用いて制作した動画において、ゲーム内での迷惑行為や、公序良俗に反する言動が含まれていた場合には、対処されることが明確化された格好となる。
なお先日には“わいせつな話題”を含む、『スプラトゥーン3』を題材にした動画が物議を醸し、任天堂の申し立てで削除されたことが注目を集めていた。特に動画共有サイトにおいては話題性を狙ってか、センシティブな内容を押し出す動画が作られやすい状況も一部あるようだ。
任天堂は同社のゲーム著作物を利用した動画や静止画などのコンテンツの共有・収益化を認めている理由として、ガイドラインにて「ゲームやキャラクター、世界観に対して、お客様が真摯に情熱をもって向かい合っていただけることに感謝し、その体験が広く共有されることを応援したい」との狙いを伝えている。そうした意図に反するコンテンツについては、今後さらに厳しい対処がおこなわれていくのかもしれない。