魔法世界サバイバルクラフト『ナイチンゲール』開発元は、『パルワールド』などを参考にアプデ内容を決めた。人気作から“何が足りないのか”を研究


デベロッパーのInflexion Studiosは9月12日に、『Nightingale -ナイチンゲール-』(以下、ナイチンゲール)に向けて大型アップデート「Realms Rebuilt」を配信予定だ。本アップデートについて、Inflexion StudiosのCEOであるAaryn Flynn氏は、『パルワールド』や『V Rising』などといった各種オープンワールドゲームを参考にしたと述べている。海外メディアPC Gamerが報じている。

『ナイチンゲール』は一人称視点で繰り広げられる、オープンワールド・サバイバルクラフトゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)で、今年2月21日に早期アクセス配信開始された。舞台となるのは、ヴィクトリア朝時代をベースとした、神秘と危険が眠るという魔法世界フェイ。

そんなフェイの境域(レルム)に取り残されたプレイヤーは、生き残るためにさまざまなバイオームにて試練や敵対する生物などに立ち向かう。クラフト要素としては拠点づくりが可能。また探索で発見した設計図を使って、武器や設備を組み立てることもできる。なお本作ではフレンドとのマルチプレイにも対応している。


『ナイチンゲール』に向けては9月12日に、「Realms Rebuilt」アップデートが配信される予定。公式ニュースによれば、同アップデートでは、まずキャンペーンクエストが刷新。新たなパズルやダンジョンが待ち受けているとのこと。このストーリーにおけるレルムは以前のバージョンと異なりプロシージャル生成ではない。しかしUntamed Realmsとして、引き続きプロシージャル生成されたレルムで探索することは可能なようだ。

ほかにも弓などの新たな武器や、爆発呪文「Immolation」や巨大な魚を呼び出す「Fionn’s Wrath」といった呪文も登場。新要素が多く実装される大規模なアップデートとなっている。


この「Realms Rebuilt」の実装にあたっては、開発元Inflexion StudiosのCEOを務めるAaryn Flynn氏が、海外メディアPC Gamerに向けてインタビューに答えている。まずFlynn氏は、本作のレルムをプロシージャル生成としていた理由として、物語を語り、プレイヤー自身にその物語を見つけてもらうのが目的だったとしている。しかしながら、そうした目的は「それなり」にしか達成できていなかった、とFlynn氏は振り返っている。

さらにFlynn氏いわく、チームで『パルワールド』や『V Rising』、『Enshrouded~霧の王国~』などといった人気のサバイバルクラフトゲームを分析したという。そこで『ナイチンゲール』に特に欠けていた要素として「組み立て(structure)」、いわゆる“建築の自由度”の問題があったと述べている。この「建築における制限」は以前より公開されていた公式ブログでも、ユーザーからのフィードバックが多く寄せられていた箇所だと明かされていた。先述の人気作品ではより自由に建造が可能であるが、それに比べ本作では置けるピースが少なく、自由度が低い点が課題となっていたかたちだ。

こうした課題を解消するため、「Realms Rebuilt」アップデートでは、建造物の設置上限が引き上げられ、屋根や壁、床のピースが300個から1500個まで置けるようになるとのこと。またアップデートにより、ひとつの建築物に設置可能なピースは現在の3倍以上に増加するという。今後はプレイヤーの創造性を存分に活かした建築物も作りやすくなるだろう。


今回『ナイチンゲール』に向けておこなわれる「Realms Rebuilt」アップデートでは、さまざまな要素が追加、拡張される。その中では、『パルワールド』などといった別のサバイバルクラフトゲームを研究し、参考にした変更も見られるようだ。

なおこうした“事例研究”の例は本作にもとどまらない。たとえば『Omega Crafter』では開発で導入する要素の検討にあたって『マインクラフト』や『Stardew Valley』、『Valheim』などを参考にしたと明かされている(弊誌インタビュー記事)。またInflexion Studiosが研究対象とした『パルワールド』についても、『テラリア』『Raft』『Sunkenland』など、各種サンドボックス要素やサバイバルクラフト要素をもつゲームに触れたうえでのスタートであったと開発者より語られている(弊誌インタビュー記事)。

特にサバイバルクラフトゲームでは資源の採取、拠点構築といったゲームサイクルが類似しやすいこともあり、ジャンルの共通する作品の研究が重視される傾向は強いのだろう。すでに高い人気を誇るサバイバルクラフトジャンルながら、ジャンル内で作品が影響を及ぼしあい、さらに洗練されている状況が見受けられるのは興味深い。各スタジオがさまざまなテーマでサバイバルクラフトゲームを創出しているものの、より強い個性や高いスタンダードを求められるジャンルになっているかもしれない。

『Nightingale -ナイチンゲール-』はPC(Steam/Epic Gamesストア)向けに早期アクセス配信中。