苦難の時を経て、シリーズ最新作『RollerCoaster Tycoon World』が発売へ。待望のリリースといわくつきの過去

Atariは2015年9月29日、シリーズ最新作『RollerCoaster Tycoon World』を12月10日にPC向けにリリースすると発表した。既に予約が始まっており、価格は49.99ドル。予約者はクローズドベータテストに参加できる権利を得られるようだ。

ついに新作発売

『RollerCoaster Tycoon』(以下、RCT)シリーズは遊園地経営シミュレーションであり、Tycoon(経営シミュレーション)タイプのゲームの中では特に人気が高い。『RCT』はその名のとおり、自分だけの遊園地を作るゲームだ。ローラーコースターやメリーゴーランドなど様々なアトラクションを建設し従業員を配置、来場客が乗る際の料金を決定する。アトラクションの”過激さ”や、客がどこから搭乗するのかといった細かなレイアウトも調整しなければならない。売店に関しても、どの売店を配置するかだけでなく、どの場所に設置すれば収益を上げられるかも考えなければいけないのだ。このように、遊園地を自由に細部まで設定することができ、遊び方は幅広い。

Chris Sawyer氏を中心に作られた1作目は1999年に発売され、全世界で売上700万本を超えるメガヒットを記録。2002年には、グラフィックはそのままに1作目に新要素を追加する形で『RollerCoaster Tycoon 2』がリリースされた。2004年に発売された3作目となる『RollerCoaster Tycoon 3』(以下、RCT 3)では、数々の新要素が実装されるとともに3Dグラフィックへと変化した。これによって遊園地内や自分で設計したジェットコースターを主観視点で楽しめるようなり、Metacriticスコアでは81点を記録するなど、好評を博した。

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躍動感のある『RCT 3』におけるジェットコースターの主観視点。もちろん遊園地の環境にあわせて景観も変化する。

シリーズを襲う幾多の受難

『RCT 3』のヒットによってシリーズはさらに揺るぎない人気を手にしたが、2005年に発売した拡張パック『RollerCoaster Tycoon 3: Wild!』を最後にしばらくアナウンスが途絶えてしまう。

というのは、この拡張パック発売とほぼ同時期に、開発の中心になっていたChris Sawyer氏がロイヤリティの未払いでAtariを訴えたからだ。Chris Sawyer氏は一定のロイヤリティを受け取っていたが、未払いがあるとして480万ドルを求める訴訟をAtariに対して起こした。当時Atariは「この訴訟は『RCT』シリーズへなんら影響を及ぼさず、新作を開発中である」と声明を出したが、その新作は時がたてども一向に発表されなかった。2008年にこの件は両者が示談で合意したと報道されたが、後に述べるニンテンドー3DSでの新作が発売されるまで約7年間、シリーズは凍結され続けた。この期間、幾度となく新作のデマが流れ、あげくに『RCT 3』のMODで『RCT 4』を作ろうと動くファンも現れ、コミュニティも混迷を極めた。

2011年、ついにAtariは沈黙を破り、翌年にニンテンドー3DS向けに『RollerCoaster Tycoon 3D』を発売することを発表。2014年にはモバイル向けに正統な続編であるとして、タイトルにナンバリングを冠した『RollerCoaster Tycoon 4 Mobile』をリリースした。しかし、両作品ともにMetacriticレビューでは30点台記録するなど、シリーズの迷走を決定づけてしまった。

※『RCT 4 Mobile』の映像。『RCT 3』で売り物にしていた主観視点も削除され、Free-to-Playとしてリリースされた。

そんな混迷のなか、Atariは2014年8月のGamescom 2014で『RollerCoaster Tycoon World』(以下、RCT World)を発表。待ちにまったPC向けの『RCT』シリーズの発売にコミュニティは歓喜に満ちたが、即座に暗雲が立ち込める。『RCT World』の発表のわずか3か月後に、Atariは「より熟達したベテランスタッフにゲームを託したいため」という理由で、開発会社を当初発表していたPipeworks SoftwareからArea 52 Gamesに変更したと発表した。新作発表3か月後の開発会社の変更はインパクトが強く、ユーザーは『RCT World』の将来に不安を感じるようになった。

そんな中、2015年3月に『RCT World』初のゲームプレイ動画が公開された。この動画では世界有数の絶叫系テーマパークである「シックスフラッグス」などとのコラボレーションを告知するサプライズがあったのだが、そのことよりもグラフィックのクオリティの低さに対する批判が集中。『RCT World』のグラフィックは、「10年前に発売された『RCT 3』を下回る前代未聞のものだ」といった厳しい批判が相次いだ。この批判に加え、動画内で新しい開発会社であるはずのArea 52 Gamesのロゴがまったく現れないことから、開発しているチームすらもわからなくなり、コミュニティは再び騒然とした雰囲気に包まれた。Atariはこの騒動に対し「この動画は開発の初期段階の映像だ」とコメントするとともに、今後グラフィック部分を大きく見直していくことを約束した。

コミュニティ内が混乱するさなか、3月14日にAtariはまたしても開発会社をArea 52 GamesからNvizzio Creationsに変更すると声明を出して混乱の収束をはかった。

そして2015年9月29日、ついにAtariは『RCT World』を12月10日にリリースすると発表した。『RCT 3』の発売から約11年もの時を経てのリリースである。

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海外メディアIGNを通して公開されたゲームプレイトレーラーの映像だ。『RCT 3』よりも粗いポリゴンの建物を見て多くのファンは動揺した。

ファンの期待にこたえられるか

このような経緯を経てリリースされる『RCT World』だが、光る部分もいくつか見える。課題であったグラフィックは騒動の後に大きく改善され、拡張パックの無料リリースも公言されており、力の入り方がうかがえる。またAtariのエグゼクティブプロデューサーMatthew Labunka氏は舞台裏をピックアップしたトレイラーで『RCT World』への意気込みを述べている。

『RCT』シリーズは1作目から3作目までそれぞれアイディアの詰まった作品でファンに愛されてきた。『RCT World』はファンが愛した旧作の良いところを取り込むと同時に、次世代ゲームとしての磨きをかけることができた。我々は旧作においてファンが愛している、そしてまた求めているものを徹底的に調べあげ、情熱を持ったスタッフと共に作り上げているんだ。

この公言どおり、『RCT World』では、今までのシリーズで要望の多かった複雑なジェットコースターを自由にエディットできる建築モードを実装している。その他にも、正しく建築しないとジェットコースターは線路から外れてしまう要素を追加。これにより、今までのジェットコースターが外れない仕様の“safety-rating”設定や、事故対応をする医療スタッフといった新要素も同時に実装される。さらにSteam Workshopもサポートしており、エディットした土地やジェットコースターを自由にシェアできるようだ。

『RCT World』は数々の困難に直面しながらも新しい開発会社のもと、ユーザーのフィードバックを意識し、数多くの新要素を搭載しての発売となる。またしてもAtariはファンを失望させてしまうのか、それともいわくつきの過去を消し飛ばす良作になるのか、待望のリリースが12月に迫る。

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