“音楽とパズル融合”無料ゲーム『Same Game, Different Music』初の大型アプデ。『FF』『ポケモン』などに携わった音楽プログラマーが手がける作品に、「別バージョン」実装
サウンドプログラマー/ゲームクリエイターのじーくどらむす氏は11月3日、パズルゲーム『Same Game, Different Music』の大型アップデートを配信した。

サウンドプログラマー/ゲームクリエイターのじーくどらむす氏は11月3日、パズルゲーム『Same Game, Different Music』の大型アップデートを配信した。対応プラットフォームはPC(itch.io)。本作は無料で遊ぶことができる。
『Same Game, Different Music』は、「さめがめ」というパズルゲームの音楽的再解釈をおこなった作品として紹介されている。プレイヤーは積み上がっている4色のブロックのうち、2つ以上つながっている部分を選択して消すことができる。多くつながっている部分を消すほど高得点だが、計画的に消していかなければ違った色のブロック1つずつが隣り合う形になってしまい、消せないケースも生じる。こうした条件下でより高得点を目指すゲームだ。本作ではそうしたパズルゲームに音楽の要素が融合している。消したブロックに応じて動的に音楽が生成されていくのだ。同じゲームでありながら、流れる音楽が毎回異なる新鮮な体験ができる作品となっている。

「さめがめ」は1985年に森辺訓章(もりすけ)氏が月間ASCIIに投稿した『ChainShot!』というゲームが元祖とされている。その後、さまざまな移植版やルールに手を加えたバージョンが生まれ、同じ色を揃えるゲームであることから英語の「Same Game」をローマ字読みした「さめがめ」の名で広く知られていった。
本作はそんなさめがめに音楽を融合させた作品だ。ゲームを開始すると、画面左側にパズルゲームが、右側に音楽の再生部分が表示される。最初は再生部分が空白で、かすかにビートを刻む音だけが聴こえる以外に音楽らしい音楽は無い。2つ以上つながったブロックに触れると、ブロックはメロディアスな音を奏でながら消え、消した色と数が再生部分に記録されていく。
動いているラインがブロック記録を通過すると、消した色と数に応じてそれぞれのパートの音が鳴る。また、1つの色を残してハイスコアが狙える状況に近づくほどパーカッションが入って音楽が少しずつ展開し、大きな塊を消すことで一気に盛り上がる。こうした抑圧と解放の流れの後に、最後に消せるブロックがなくなった時点で「自分の曲」が完成する。

本作の開発にあたっては、音楽とゲームをいかに融合させるかを細かく解説したnote記事が公開されている。本作におけるこだわりや、ゲーム開発や音楽に興味がある人は覗いてみるのも良いだろう。さめがめというゲームの特性を音楽にうまく落とし込むにはかなりの試行錯誤があったようで、解説の中には記録したブロックから音が鳴っているものの、じーくどらむす氏が「絶望的に音楽からは程遠い感じ」とまで呼んでいる段階のものまで確認できる。ちなみにこの段階ですでに渋谷PARCOに展示することが決まっており、公開までに1か月を切った状態だったそうだ。同氏の苦労が忍ばれる。
これまで本作はそんな「東京版」の音楽を収録したものが配信されていたが、今回のアップデートで、新たにホテルアンテルーム京都で展示したバージョンの音楽「京都版」が追加された。最初に作られたバージョンとはまた違った響きとなっており、京都版と東京版の音楽はいつでも切り替えることが可能。1回のプレイで2度味わえるのだ。このほかUIの大幅な改善やバグ修正なども実施されているとのこと。この機会に本作に触れてみるのもいいだろう。

本作を手がけたじーくどらむすこと岩本翔氏は、フリーランスのサウンドプログラマー/ゲームクリエイターである。過去にフリーランスとして開発に携わったタイトルとしては『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』『Pokémon LEGENDS アルセウス』などが存在し、スクウェア・エニックスのサウンドプログラマー時代に開発したインタラクティブミュージックシステム「MAGI」は、『FINAL FANTASY VII REMAKE』『FINAL FANTASY XV』『KINGDOM HEARTS III』に採用されている。そんな同氏が開発した本作をプレイすれば、音楽とゲームの融合を体感できるかもしれない。
ちなみに同氏は現在、音楽とRPGを融合させた『VOXQUARTER』というゲームを開発中である。本稿執筆時点ではまだプロトタイプを開発している段階のようだが、今後の動向に注目したい。
『Same Game, Different Music』はPC(itch.io)向けに無料で配信中だ。




