中世血みどろ対戦ゲーム『MORDHAU』コミュニティ、非公式“殴り合い大会”で難病の仲間への募金活動を実施。人助けのために紳士的に殴り合う
『MORDHAU』内でユーザーにより実施された“丸腰で殴り合うコミュニティ大会”にて、開催とあわせて募金活動がおこなわれたことが注目されている。本作のプレイヤーが難病を患い大きな治療費が必要となったことを受けて、大会視聴者たちから支援が寄せられたようだ。
本作は、中世を舞台にしたマルチプレイヤー型の対戦アクションゲームだ。Steam向けに2019年に配信され、Epic GamesストアおよびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けにも2023年にリリースされた。
本作では最大80人のプレイヤーたちが戦う過酷な戦場で、剣や槍といった武器を手に、甲冑を装備し、殺陣に攻城戦、騎兵隊の突撃といった中世らしい戦いを体験できる。戦場にはカタパルトやバリスタといった兵器も設置。これらの兵器と弓やクロスボウなどの遠距離武器なども駆使して、相手の拠点を占拠することが、本作の目的の1つだ。なお本作には、2つの陣営に分かれておこなう対戦プレイのほか、フレンドと一緒に敵の大群と戦う協力プレイ、AIと対戦してスキルを磨くオフラインプレイが用意されている。
日本時間8月12日、本作のコミュニティ大会「Mordhau Fistfighting Championship」の第9回大会「MFC IX」が実施された。本大会は「Fistfighting」の名を冠するとおり、選手たちが武器を用いずに1対1で戦うルールだ。拳あるいは脚で泥臭い争いを続け、チャンピオンを目指す。
そんな「MFC IX」において、あるプレイヤーへの募金活動がおこなわれたことが海外メディアPC Gamerに報じられ、注目されている。募金を受けたのは本作のプレイヤーであるCameron Elliott氏だ。同氏は21歳の誕生日を控えた今年の5月に、血液のがんである非ホジキンリンパ腫であると診断。3か月におよぶ治療は長く困難であっただけでなく、非常に高額であったとのこと。総額3万6000ドル(約530万円)もの治療費が必要になったそうだ。一方でそのうち1万8000ドル(約260万円)の支払いで、家族の貯蓄が底をついてしまったという。
「MFC IX」では、大会の開催と共にそんなCamaron氏のためにクラウドファンディングサイトGoFundMeを通じた募金活動が実施された。大会では5時間半以上にわたる生放送となり、約400名の視聴者が集った。そして大会を通して36口、総額約2000ドル(約30万円)の募金がおこなわれたそうだ。母数は少ないながらも、しっかりと募金が寄せられたかたちだ。
なお大会については64名の参加者が集まり、決勝戦は前大会王者のChatick氏とFistonly氏の対戦。両者一歩も譲らないパンチの応酬で、10本先取の試合は5対5にまでもつれ込んだ。一方でそこからはFistonly氏がリードを広げ、試合開始から約16分を経て10対7で同氏の勝利となった。試合は両者が敬礼し、Chatick氏のキャラが崩れ落ちるというドラマチックな幕切れであった。
ちなみに「Mordhau Fistfighting Championship」は毎年開催されてきたイベントであり、それぞれの大会でチャリティーとして募金活動がおこなわれてきた。昨年のMFC VIIIでは多発性硬化症患者を支援する非営利団体National Multiple Sclerosis Societyへの募金が実施されるなど、個人や慈善団体問わず支援が募られてきた。
そして今回は、プレイヤーコミュニティの一員であり、苦しい状況にあるCameron氏への募金活動が実施された格好だ。小規模なコミュニティ活動ながらも、コミュニティ内のプレイヤー間の助け合いも垣間見える事例かもしれない。
また『MORDHAU』内での血みどろの殴り合い大会が人助けに繋がるという一風変わった試みとして、PC Gamerも本大会について報道。これを受けてかGoFundMeへの募金もさらに増加を見せ、本稿執筆時点では47口・2476ドル(約36万円)となった。「MFC IX」の開催や募金活動は辛い状況にあるCamaron氏へのサポートとなっているだろう。
『MORDHAU』はPC(Steam/Epic Gamesストア)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。またCamaron氏への募金キャンペーンはGoFundMeにて現在も実施中だ。