『スーパーモンキーボール』専用の“アイアイ入りボール型コントローラー”を自作した人現る。実際にコロコロしてプレイ、ゲーム画面とほぼ連動

 

ゲームキューブ用ソフト『スーパーモンキーボール』で使える「ボール」型コントローラーを製作したユーザーが現れた。ボールをマウスのトラックボールのように操作することで、ゲーム内に入力を反映する仕組みだ。GameSpotが報じている。

『スーパーモンキーボール』は2001年にニンテンドーゲームキューブ向けに発売されたアクションゲーム。猿のアイアイが入ったボールを転がし、ステージに散らばるバナナを集めつつゴールに向かうのが目的だ。ゲームキューブのローンチタイトルの一つとして発売され、『スーパーモンキーボール2』など多くの続編が開発されてきた。シリーズ最新作である『スーパーモンキーボール バナナランブル』が6月25日、Nintendo Switch向けに発売されたのも記憶に新しい。

そんな『スーパーモンキーボール』で使える自作コントローラーを製作したのはオーストラリア在住のThomas Tilley氏。自作コントローラーはダンボールで作られた土台に、摩擦を軽減するための制汗剤のローラー部分が三点備え付けられているつくりとなっている。そして土台の真ん中に光学式マウスを配置。入力感知部分では制汗剤のキャップ部分にベアリングを仕込んだ樹脂製のトラックボールが使用されている。その上で大きなボールを回転させることで、入力を感知する仕組みとなっているようだ。なお、ゲームキューブの実機ではなく、エミュレーター上で動作しているとのこと。

Tilley氏はそこに半透明の大きなカプセルを用意。3Dプリンターで本作の操作キャラであるアイアイの人形まで自作し、バネによる駆動部と重りを装着。カプセルに入れることで『スーパーモンキーボール』のゲーム内モデルさながらのボールが完成した。バネと重りにより、ゲーム内のように外側のボールを転がしながらも、ボールの内部ではアイアイが平衡をとる姿が表現されているようだ。

ちなみに、今回用いられたのは以前に同氏が製作した“サッカーボールコントローラー”の改良版。基本構造は同じなものの、カプセルの代わりにサッカーボールを、入力の変換箇所は代わりに制汗剤のローラー部をそのまま使用していた。おそらく、今回のコントローラーではカプセルが半透明のため、光学式の感知では問題が生じたものと思われる。ベアリングのような機構を間に挟むことにより、カプセルの動きを正確に反映できるようになったのだろう。

また、現在カプセル内のアイアイをゲーム内のように走らせる方法も試行錯誤しているとのこと。ボールも人形も作れたら、動きまで再現したくなったということだろうか。執念もうかがえる。

Tilley氏がGameStopに語ったところによると、ボールを用いたコントローラーのインスピレーションは、1997年にアーケードで稼働した『アルマジロレーシング』なのだという。筐体に備え付けられたトラックボールを回し、その方向に応じてゲーム内のアルマジロも転がって操作ができるゲームだ。ひたすらボールを回すため、本気で遊ぼうとすると汗だくになる作品となっている。Tilley氏はその頃の体験を再現したかったのだそうだ。

Tilley氏の公式ページによると、同氏は南オーストラリアのクーマンドックで育ち、小さい頃から物を分解しては組み立て直すことで遊んでいたそうだ。Tilley氏は三菱電機のオーストラリア支社で8年間働いた後、クイーンズランド大学で博士号を取得。9年半にわたりタイのパヤップ大学で教鞭を執っている。さらに、“ゲームコントローラーの教材としての可能性”というテーマの論文を複数執筆している。自作コントローラーへの熱意だけでなく、それを裏打ちする技術力や知識も折り紙付きの人物だ。

Tilley氏はほかにも塩化ビニールパイプと輪ゴムで作ったレーシングコントローラーや、コーヒーミル型コントローラーなど、奇抜なコントローラーをいくつも制作している。また、「世界一大きい、プレイ可能な『ゲーム&ウオッチ』」や、初代ガンダムの頭部を模したバイク用ヘルメットなど、コントローラー以外の工作も必見だ。興味をもった方は、Tilley氏のYouTubeチャンネルや、氏の公式ページを見てみてはいかがだろうか。