『マインクラフト』の生みの親、「マイクラ精神的続編」の開発をやっぱりやめると表明。需要が“思ったより”低かったとして
NotchことMarkus Alexej Persson氏は先日、『マインクラフト』の精神的後継作の開発についてユーザーアンケートを実施し、結果次第では前向きに取り組むことを示唆していた。一方で同氏は1月7日、一転して『マインクラフト』の精神的後継作ではなく、かねてより開発を進めていた『Levers and Chests』の開発に注力することを表明している。
Notch氏は、『マインクラフト』を生み出したスウェーデンのクリエイター。『マインクラフト』の開発を進め、仲間と共にMojangを設立。開発と改良を重ね、同作をメガヒット作品へと育て上げた。その後同氏はMojangと『マインクラフト』IPをマイクロソフトへと売却し、同作の開発・運営を引退。現在は新スタジオBitshift Entertainmentにて、ダンジョン探索ゲーム『Levers and Chests』を開発中だ。
そんなNotch氏は1月2日、アンケートにて「伝統的ローグライクと一人称視点ダンジョンクロウラーをかけ合わせた作品(『Levers and Chests』)」か「『マインクラフト』の精神的後継作」か、どちらが遊びたいかをファンたちに問いかけた。同氏によればマーケティング調査としての投票だそうで、1月4日にはアンケートについて真剣であるとポスト。寄せられたユーザー質問に対し「ほとんど“マインクラフト2”を発表したようなもの(I basically announced minecraft 2.)」として、精神的続編の開発に前向きな姿勢を改めて明らかにしていた(関連記事)。
一方で『マインクラフト』IPは現在マイクロソフトが所有しているため、勝手に続編を作るのは違法であるとも言及。「“マインクラフト2”を作るのか?」という質問に対しても「ノー」と回答しており、あくまでも『マインクラフト』のプレイヤーが楽しんでくれそうな新規IPとして作る姿勢を示していた。
本稿執筆時点でアンケートは、『マインクラフト』の精神的後継作が約28万件中80%以上の票を得ている。しかしそうしたアンケート状況とは裏腹に、Notch氏が率いるBitshift Entertainmentは『Levers and Chests』の開発を続けているそうだ。1月7日に同氏は、スタジオの仲間と相談したと報告。「『Levers and Chests』を開発することになりそうです!」と表明している。ジョークか本気かはわからないものの、Notch氏が大好きな海外メディアPC Gamerが『Levers and Chests』を面白そうだと言ってくれたことが判断のきっかけだという。
この投稿に向けてさまざまな反響が集まる中には『マインクラフト』の精神的後継作に期待していたというユーザーから残念がる声も寄せられており、Notch氏はそれぞれに細やかに返答。「裏切られた気持ちだ」とこぼすファンに向けては、『マインクラフト』の精神的後継作は『Levers and Chests』よりもずっとつまらないゲームになっただろうと力説している。同氏には(精神的後継作は)ノスタルジーにすがりつくような駄作になりがちといった持論があるようだ。また別のユーザーには『Levers and Chests』を『マインクラフト』と同じくらい凄い作品にするという意気込みを見せている。
とはいえNotch氏いわく、もっとアンケート結果が偏っていたら『マインクラフト』の精神的後継作の開発に挑戦していたかもしれないとのこと。つまり約80%という得票率でも、あえて精神的後継作を開発するには足りないと判断されたわけだろう。実際同氏は『マインクラフト』の精神的後継作の得票率が90%以上になると予想していたそうで、同氏の想定よりも得票率は低かったようだ。あくまで『マインクラフト』の精神的後継作は、新作『Levers and Chests』の需要がまったくなかった場合の代替案として想定されていたのかもしれない。
結果的に『マインクラフト』の精神的後継作ではなく新作『Levers and Chests』の開発を続けるというNotch氏率いるBitshift Entertainment。同作についてはNotch氏のXアカウントにてこれまで開発状況がさまざま伝えられてきた(関連記事)。今回のポストに際しても直近の開発エピソードを明かしており、「レイリー散乱」を考慮して空の色の実装しようと試みた結果、LUT(Lookup Texture)を用いた仕組みを見出したことを報告している。過去の投稿も踏まえると、グラフィックの雰囲気づくりにこだわった作品となるようだ。ただ同氏によると現状ではリリース時期は未定であり、現在チームを強化中とのこと。今後も続報は注目されるところだろう。