Steamで不評まみれだった“大作”ゲーム『MindsEye』、ちょっとずつ持ち直す。「再起」を掲げ、じわじわ評価回復中

Steamユーザーレビューで「やや不評」ステータスであった『MindsEye』の評価が持ち直している。

デベロッパーのBuild A Rocket Boyが6月にリリースした、アクションアドベンチャーゲーム『MindsEye』。品質に問題があったとして、発売直後から批判が殺到していた本作だが、直近ではSteam上での評価ステータスが回復傾向にある。

『MindsEye』は、物語主導のSFアクションアドベンチャーゲーム。主人公ジェイコブ・ディアスは謎の神経プラント「MindsEye」を移植され、極秘任務を遂行していたものの、記憶を失ってしまった元兵士。テクノロジー企業と市長との争いに巻き込まれ、自らの過去を突き止めるために戦うことになる。開発元のBuild A Rocket Boyは、『グランド・セフト・オート』シリーズで知られる元Rockstar NorthのLeslie Benzies氏が創設したスタジオだ。

本作は、元Rockstarスタッフが携わっていることや、多額の資金調達に成功していたことから発売前には一定の期待が寄せられていた。しかしリリース後には、最適化不足や不具合の多さ、オープンワールドながらミッション中に脇道に逸れることができないゲームシステムなどが批判され、10月11日時点でのSteamレビューでは、2050件中38%が好評とする「やや不評」ステータスとなっていた経緯がある(関連記事)。

また、売上不振による100人規模のレイオフの報道が浮上したほか、残業の強制や不当解雇などがあったとして、従業員と元従業員らによって、経営幹部に宛てた公開書簡が発表されるという事態も発生していた。なおBenzies氏は作品評価の苦戦について、スタジオの内外の「妨害工作員」のせいだと主張していたと報じられている(関連記事)。

そのような苦境に陥っている『MindsEye』だが、Steamでは、高評価レビューを行うプレイヤーが少しづつ増えつつある。理由の一つとして考えられるのが、リリース後から継続的に行われている無料アップデートだ。これらの更新では、ゲームの安定性向上のほか、イベントシーンのスキップ機能やエイム挙動の調整といったQoL関連の改善などが行われている。また、最新の「Update 6」でも多岐にわたる調整がおこなわれつつ、過酷なタイムトライアルRoad to Hell、The Preacherと呼ばれるキャラとしてウェーブ制のサバイバルを戦い抜くFractured Echoなど新たな4種類のコンテンツが無料で追加。ユーザーによるコンテンツ制作ツールも機能拡張がほどこされた。

本項執筆時点では、『MindsEye』のSteamにおけるすべてのレビューの評価ステータスは「賛否両論」まで回復している。また過去30日間のレビューは72件中76%が好評とする「やや好評」ステータス。戦闘面には依然として課題があるという不満もある一方で、バグ修正や遊びやすさ向上の甲斐もあってか、舞台である街「Redrock」の作り込みや、ストーリーへの評価などが寄せられている。なおBuild A Rocket Boyでは「再ローンチ」を掲げていたことも伝えられており、そうした方針が着実に功を奏しているといえそうだ。

このほかセール期間に購入したというユーザーからの好評も見受けられる。本作は6500円と、いわゆるフルプライスに次ぐような価格設定。先述したような前情報も相まって、発売前にハードルがかなり高くなっていたことも不評が寄せられた一因なのだろう。リリース後の批判を踏まえて購入したユーザーや、セール時に安価で購入したプレイヤーから一定の好評が集まり、評価ステータスも当初から回復を見せた模様だ。

なおSteam上では、発売直後から評価ステータスを大きく持ち直したゲーム作品は複数例がある。代表的なのは『サイバーパンク2077』や『No Man’s Sky』などだ。『MindsEye』がこれらの作品に続くことができるのか。今後の展開が注目される。

MindsEye』はPC(Steam/Epic Gamesストア)および海外PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。

Satofumi Inoue
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