ゲーム実況などのライブ配信サービス「ミルダム(Mildom)」、9月1日にサービス終了へ。元「公認配信者」の流出もあってか、約5年で幕切れ


DouYu Japanは8月19日、同社が運営するライブ配信プラットフォーム「ミルダム(Mildom)」について、9月1日をもってサービス終了すると発表した。ユーザーが満足できる品質でのサービス提供が困難と判断されたためだという。

ミルダムは、2019年にサービス開始されたライブ配信プラットフォームだ。運営元であるDouYu Japanは、中国の大手ライブ配信プラットフォームを運営する斗鱼(Douyu)と、三井物産のジョイントベンチャーとして設立された。なおDouyuは、テンセントを筆頭株主とする企業だ。ミルダムでもライブストリーミング配信を中心に、ユーザーによるゲーム実況や、ゲーム大会の公式配信などもおこなわれていた。

今回、DouYu Japanはミルダムを、9月1日0時をもってサービス終了すると発表した。またサービス終了に向けては有償コインの販売制限などがおこなわれる見込み。その後9月2日0時から11月1日23時59分にかけては、有償コインの払戻し受付も実施される。なおサービス終了の背景としては、これまでユーザーにより良い体験を提供できるように尽力してきたものの、今後はユーザーが満足できる品質でのサービス提供が困難と判断したためだという。


ミルダムでは当初、主に吉本興業の芸能人が出演する放送がさまざま見られたほか、ニコニコ生放送やOPENREC.tvの人気配信者なども多数参入し、賑わいを見せていた。一方で2020年3月にはCygamesがDouYu Japanとの協議の結果、ミルダム内でのCygamesのコンテンツを使った投稿・配信を禁止すると発表。同社が提供するゲームタイトルに関する利用許諾が正式になされぬままコンテンツが投稿されていたことが、禁止の背景にあったようだ。また2020年7月にDouYu Japanは、任天堂との利用許諾契約の締結に至らなかったとして、同年8月20日より任天堂が著作権をもつゲームのプレイ動画の投稿・配信を禁止していた。

そして2022年8月には配信者の「ランキング制度」が刷新。それまではミルダム側と個別に契約した公認配信者、およびそれ以外の一般配信者が「L1」および「L2」というランキングに参加する方式がとられていた。契約に基づいて報酬が支払われていたとみられる公認配信者に対して、一般配信者はL1ランキングに昇格した配信者のみが、配信時間に応じて報酬を受け取れる仕組みとなっていた。

一方で2022年8月の変更では公認配信者と一般配信者とわずすべての配信者に配信者ランクが付与される方式に変更。すべての配信者に対して、配信時間に応じた報酬が支払われる形式となった。公認配信者にとっては、実質的に公認制度が廃止されたかたちだ。そうした変更に先がけて、ミルダムを“引退”し、別のライブ配信プラットフォームに移行すると表明する公認配信者も一部見られた(関連記事)。

なおミルダムではランキング制度が刷新された2022年8月に、テンセント傘下のクラウドサービス「テンセントクラウド」による全面的な支援を受けることが発表。サービスの運営効率や配信者の体験の向上などが掲げられていた。一方で今回のサービス終了を見るに、そうした“テコ入れ”も勢いの復活には繋がらなかった様子だ

巨大資本のジョイントベンチャーとして発足した一方で、わずか5年の幕切れとなるミルダム。YouTubeライブやTwitchといった競合相手もいるなかで、ライブ配信プラットフォームとしてシェアを拡大し、運営を継続する難しさも垣間見えるかもしれない。サービス終了に関する日程や有償コインの払戻しなどについては、公式発表を確認されたい。