『メタルギアソリッド 2』旧PC版RTAの「エマ壁抜け」テクニック、まさかの“Windowsのアプデで修正された”との報告。エマ壁押し付け乱暴ワープが突如封印

『メタルギアソリッド2 サブスタンス』PC版にて、RTAに用いられていたとあるグリッチ(裏技)が修正に至ったという。なぜかWindows 11のアップデートによってグリッチが修正されたとみられている。

メタルギアソリッド2 サブスタンス』PC版にて、RTAに用いられていたとあるグリッチ(裏技)が修正に至ったという。ただしゲーム側のアップデートではなく、なぜかWindows 11のアップデートによってグリッチが修正されたとみられている。海外メディアGamesRadar+が伝えている。

『メタルギアソリッド2 サブスタンス』(以下、MGS2サブスタンス)は、『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』(以下、MGS2)の完全版だ。本作はソリッド・スネークが主人公のタンカー編と、雷電が主人公のプラント編の二部構成にて、新型メタルギア「RAY」を巡る物語が描かれる。

『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』


そして『MGS2サブスタンス』は本編のほかに、さまざまな要素を加えた完全版。まずはPS2向けに発売され、海外ではXbox/PC向けにも発売。その後海外ではSteam向けにも販売されていた。また2011年には『メタルギアソリッド3 スネークイーター』とともにPS3/Xbox 360向けのリマスターがおこなわれた『メタルギアソリッド HDエディション』がリリース。『MGS2』については、『MGS2サブスタンス』と同様の追加要素を含みつつ、日本語音声にも対応するバージョンとなっていた。しかし2021年には資料映像の権利更新における遅延を原因として、各ストアでそれぞれのデジタル版の販売が停止された(関連記事)。

一方で2023年には『メタルギアソリッド』および『メタルギアソリッド3 スネークイーター』を同梱するリマスター作品『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』が発売。国内・国外の各ストアでは現在、PC版を含めMASTER COLLECTION版が販売されている。

今回グリッチが修正されたことが報告されたのはMASTER COLLECTION版ではなく、現在販売が終了している『MGS2サブスタンス』のPC版だ。同作のRTA(スピードラン)においては、プラント編でエマ・エメリッヒを護衛する場面にて用いられてきたグリッチが存在。エマを部屋やエレベーターの壁際に追いやり、“壁抜け”させるというテクニックだ。


エマの位置調整はかなり難しいようだが、壁抜けが成功し、エリア変更を挟むとエマは瞬間移動。本来であればエマは手を繋いで一緒に移動しなければならず歩くのも遅いため、エマの護衛シーンは敵に見つかるリスクを避けるのに時間のかかる難所となっていた。エマを壁抜けさせれば、そうした攻略をスキップしてすぐさまワープさせられるわけだ。

しかし今回、そんな便利なエマの壁抜けグリッチが“修正”されたという。『メタルギアソリッド』シリーズのRTA走者であるApacheSmash氏が伝えている。同氏によれば(『メタルギアソリッド2 サブスタンス』PC版の)RTA走者からは、Windows 11にてエマの壁抜けワープができなくなったとの報告が寄せられているとのこと。8月27日に配信されたWindowsのアップデート「OS ビルド 22621.4112 および 22631.4112」が原因となった可能性があるようだ。


とはいえ、もちろんWindows OSのアップデートのため、特定のゲームに向けた修正などは含まれていないだろう。パッチノートでもエマの壁抜けグリッチ修正に関係しそうな変更は確認できない。どの変更が修正に繋がったのか、また今後のOSアップデートで元に戻る可能性はあるのか。エマの壁抜けグリッチの行方は気になるところかもしれない。

ちなみにこの事態を受けてRTAコミュニティでは、すべてのWindows OSでエマの壁抜けの可否がテストされたという。ApacheSmash氏によればWindows 10やWindows 8.1では引き続きエマが壁抜け可能とのこと。一方で今回報告されたWindows 11のほか、Windows 8やWindows XPでは壁抜けできないそうだ。理由は定かではないものの、内部処理などの細かな違いが結果的にエマの壁抜けを防いでいるのだろう。


RTAにおいて活用されていたエマの壁抜けグリッチ。かなり細かい操作が必要になるテクニックであり、OSのアップデートによる微細な変化が原因となった可能性はありそうだ。いずれにせよPC向けゲームのグリッチがOSのアップデートにより結果として修正されるという、不思議な出来事として注目を集めているようだ。

ちなみにRTA記録の集積サイトSpeedrun.comにおける『MGS2』のRTA記録は、『MGS2サブスタンス』とMASTER COLLECTION(HD EDITION)版で別になっている。MASTER COLLECTION版ではそもそもエマの壁抜けグリッチは存在しないとみられ、『MGS2サブスタンス』PC版でRTAをおこなわないかぎりはWindowsのバージョンに注意する必要はないだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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