デベロッパーのSecond Dinnerは11月15日、基本プレイ無料の対戦カードゲーム『マーベル・スナップ(MARVEL SNAP)』バランス調整アップデートを実施。本アップデートでは通例よりも次回のアップデートまで期間が空くため、“あえて「バランスを崩す」大規模な調整”を実施したと明言されている。プレイヤー使用率の高いデッキのカードが軒並み弱体化を受けることとなった。
『マーベル・スナップ』は、「マーベル」作品をテーマとするオンライン対戦カードゲームだ。PC/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中。本作では2人のプレイヤーが、フィールド上の3つのロケーション(陣地)にカードを配置して戦う。プレイヤーは通常6ターンにわたっていずれかのロケーションに、さまざまなパワーや効果をもつカードを配置。最終ターン終了時に、配置されたカードのパワーの合計値が勝っているプレイヤーがそのロケーションを獲得。2つ以上のロケーションを獲得したプレイヤーが勝利となる。
本作に向けては11月15日、カードのバランス調整を行うアップデートが実施された。パッチノートでは、次回のストリーミング更新(バランス調整などを含むアップデート)が、会社の休日と重なるため、今回の更新は大規模なものになると説明した。『マーベル・スナップ』はシーズン制を採用しており、シーズンは毎月更新となっている。基本的には月のはじめに新要素追加のアップデートを実施し、月の中頃と終わり頃に2度アップデートを行い調整するスケジュールで運営されてきた。
しかし、11月は月の終わり頃に実施予定のアップデートが会社の祝日と重なるため、11月15日の本アップデート1回をもって「11月のゲームの更新はこれまで」と明言された格好だ。そして、本アップデートでは、少し特別な更新として、あえて「バランスを崩す」大規模な調整を行うと宣言。一部の上位デッキを弱体化し、次回アップデートが行われるまでの数週間、プレイヤーを釘付けにするくらいゲームを面白くする調整を行ったという。
本アップデートにて弱体化された一部の上位デッキというのは「スルト」と「スカー」を組み合わせた高パワーデッキと、「エージェント・ヴェノム」を採用したデッキだろう。「スルト」は11月からスタートしたシーズン「九つの世界の戦い」にてシーズンパス特典として追加されたカードだ。「自分がパワー10以上のカードをプレイした後、このカードのパワーを+3する。」効果を持っており、パワー10以上のカードを盤面に出せば出すほどスルトが強化されるというわけだ。そこにうまく組み合わさったのが、「パワーが10以上の公開中の自分のカード1枚につき、コストを-2する」効果を持つ「スカー」だ。
実際のデッキでは、スルトを展開させたあと、パワー10以上のカードを盤面に出し、スルトを強化させながら、スカーのコストを減らしていく。そして、最終ラウンドにて、スカーをはじめとした高パワーを持つカードを盤面に出し、スルトをさらに強化。相手とのパワー差をつけるという内容となっている。このスルトとスカーを組み合わせた高パワーデッキは、今シーズントップのメタデッキとなっており、『マーベル・スナップ』のデータ集積サイトmarvelsnap.proでは、本稿執筆時点、もっとも勝率の高いデッキで、勝率65%をキープしていた。
今回の発表によると、10以上のパワーを持つカードを軸とした「スカーデッキ」は内部テストの段階ではそれほど強いパフォーマンスを見せていなかったとのこと。そのためスカーデッキの競争力を十分に高められるように調整を実施した上で実装されたそうだ。結果としてスカーデッキの使用率は開発元の想定する許容値を超え、健全なゲームバランスを脅かす状況があったという。。そのため本アップデートにて、スルトとスカーの初期パワーが弱体化されることとなった。。
そしてもうひとつ、高い勝率をキープしていたメタデッキとして「エージェント・ヴェノム」を採用したデッキが挙げられる。エージェント・ヴェノムは、先月10月に行われたシーズン「俺たちはヴェノムだ」にて追加されたカード。「カードの公開時、自分のデッキにある全てのカードのパワーを4にする」効果を持っており、低パワーなカードのパワーを一律でパワー4に統一させることができるのが強みであった。
このエージェント・ヴェノムのデッキは、試合序盤にエージェント・ヴェノムを盤面に出し、低コスト、低パワーなカードを強化。これまではパワー4となった低コストのカードを展開させながら、試合の後半にステータスを底上げするカードを繰り出し、パワーの合計値を底上げするという戦法がとられていた。
こちらもmarvelsnap.proにて、多くのデッキが作られており、本稿執筆時点で60.25%の勝率を誇るデッキも存在していた。エージェント・ヴェノムを追加した公式の狙いとしては、活躍できていなかった一部のカードを後押しさせることだったという。一方ですでに強いデッキにエージェント・ヴェノムを採用し、さらに強化するデッキも多数出現。結果として期待されていたような採用例がほとんどなかったことを受けて、当初の狙いに向かって軌道修正する意図があるとのこと。しまったと述べている。本アップデートでは、変更するデッキ内のカードのパワーを4から3に下降。代わりに初期パワーを上げる調整がなされており、バランスが取られたようだ。
また弱体化された強カードは、上述の3つだけではない。スルトやエージェント・ヴェノムが上げたステータスを初期値に戻す効果を持つため、今シーズンで採用率の高かった「シャドウキング」や、エージェント・ヴェノムと相性のいい「シルバーセーブル」も弱体化。“あえて「バランスを崩す」”と宣言した通り、前シーズン、今シーズンで猛威を振るっていたカードたちが軒並み弱体化されている。
また、本アップデートでは、上位デッキの弱体化だけでなく、いくつかのカードの強化や効果の変更が施されている。その中でももっとも印象的なのは、『マーベル・スナップ』もとい、近年のマーベル作品の中で代表格とされる人気ヴィラン「サノス」の強化だろう。『マーベル・スナップ』のサノスは、デッキ内に6つの「インフィニティ・ストーン」のカードを追加する効果を持っており、強力な効果を持つインフィニティ・ストーンを使って試合を進めることができるカードだ。
これまでサノスは効果として、「手札にある状態でゲームが開始」するとされていたが、本アップデートにて、「ゲーム開始時にサノスを引く」効果に変更。これまで手札の枠をひとつ消費してしまうのがネックとされていたが、その弱みが解消された次第だ。公式はこれによって内部テストを超えるサノスデッキをプレイヤーが作ってくれると予想。その状況によってサノスの強化、もしくは弱体化を実施する予定だという。
本アップデートに関して、SNS上では、大胆な調整やサノスの強化に喜ぶ声もある一方、今シーズンで実装されたカードがすぐに弱体化されたことを批判視する意見も見られ、賛否は分かれている。いずれにせよ、あえて「バランスを崩す」と明言されつつ調整がおこなわれたのは対戦ゲームにおいて珍しいだろう。バランスの崩壊によって、現環境にどのような変化が訪れるか、そしてさらにどのように調整されていくのか期待したいところだ。
『マーベル・スナップ(MARVEL SNAP)』はPC(Steam)およびiOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。