イタリア裏社会オープンワールド『Mafia: The Old Country』は「イタリア語音声」に対応しない可能性。6か国語の音声に対応予定も、なぜかイタリア語は字幕だけ


パブリッシャーの2Kは8月21日、クライムアクションゲーム『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国(Mafia: The Old Country)』を発表した。イタリア・シチリア島が舞台の本作ながら、ストアページ表記によればイタリア語表示に対応予定とされるものの、イタリア語音声には対応しない可能性があるようだ。

本作は、オープンワールドクライムアクションゲーム『Mafia』シリーズの新作。対応プラットフォームはPC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|Sで、2025年リリース予定だ。同シリーズではオープンなフィールドにて、さまざまな犯罪や裏社会での人間ドラマが描かれ、人気を博してきた。

新作『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』では、1900年代のシチリア島を舞台に「裏社会の起源」が描かれるという。シチリアといえば、マフィアが成り立ったとされる土地。1930年以降を舞台としていた過去のシリーズ作品からさらに遡る、マフィアたちの物語が描かれるのだろう。


本作のストアページがさっそく公開されており、SteamおよびXboxでは本作の対応言語を確認可能。日本語インターフェイス・字幕を含め、さまざまな言語に対応するようだ。このなかで本作が、「イタリア語音声」に対応しないと表記されていることが一部ユーザーの注目を集めている。本作は英語/フランス語/ドイツ語/スペイン語/チェコ語/ロシア語の5か国語の音声に対応予定。その一方、少なくとも本稿執筆時点のストアページ記載では、イタリア語はインターフェイス・字幕のみの対応となり、イタリア語音声に対応しないことが示されている。

そうしたストアページ表記を見て、海外掲示板Redditなどでは残念がるユーザーもみられる。これまで『Mafia』シリーズの舞台は米国が中心となってきたものの、イタリア語音声にも対応していた。一方で『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国』では先述のとおりイタリア・シチリア島が舞台となる。満を持してマフィアの“聖地”が舞台になることもあり、あえてイタリア語音声でプレイしたいという要望もあるようだ。


イタリア語が音声の対応言語から外された理由は不明ながら、考えられる理由のひとつに「シチリア語」があるかもしれない。イタリアでは標準イタリア語のベースとなったトスカーナ語のほかにも、地方によって多様な方言が話されている。方言によって強い訛りやまったく異なる単語が用いられる場合もあるとされ、地域によってはお互いに聞き取ることすら難しい場合もあるという。単なる方言というより、別の言語といえるような差もあるのだろう。


そして、中でもシチリア語はかつて存在したアラビア語シチリア方言の語彙が多くみられ、標準イタリア語とはかけ離れているようだ。限られた地域でしか話されていないこともあり、ユネスコからは将来消滅の可能性もある脆弱(Vulnerable)な言語として評価されている。なおそうした背景からか、シチリア島出身者も含め、標準イタリア語は学校教育で習得されるようだ。

いずれにせよ、1900年代のシチリアが舞台の本作にてイタリア語音声を実装するとなれば、文化を尊重する場合そんなシチリア語で実装する必要性も求められるかもしれない。もし本作にてイタリア語が実装されないのであれば、シチリア語話者で声優を集めるといった難しさなどがハードルとなった可能性はありそうだ。あるいは、シチリア語音声を実装しても“シチリア語話者しかちゃんとわからない”といった懸念が生じた可能性も考えられる。

とはいえそうした可能性は、状況からの推測の域を出ない。また本作は発表されたばかりで、現時点ではあくまでストアページ表記上でイタリア語音声対応がないと示されたのみ。今後のイタリア語音声への対応の有無について、改めて公式から発表される可能性もありそうだ。マフィアの起源を描く物語が、イタリア語あるいはシチリア語で彩られるかどうかには引き続き注目したい。

『マフィア:オリジン ~裏切りの祖国(Mafia: The Old Country)』はPC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|S向けに、2025年リリース予定。ゲーム内は日本語表示にも対応する見込み。さらなる詳細は今年12月に情報公開予定だ。