【UPDATE】『League of Legends』プレシーズン2016の変更にて、マークスマンの大規模アップデートを予定。6体のマークスマンは大幅に変更
[2015年11月1日 18時26分 Update]
スキルの概観動画と所感を追記。
Riot Gamesは10月29日、『League of Legends』プレシーズン2016での変更点を一部発表した。これにより、既存のゲーム仕様が大きく刷新されることが明らかになった。変更点は非常に多いため、本記事ではその中でも大きく注目されるであろう「マークスマンの大規模アップデート」について取り上げる。
プレシーズン2016では、マークスマン(ADC)と呼ばれる遠距離からの通常攻撃を得意とする特徴を備えるチャンピオン群のアップデートが行われる。今回は「似たような戦略的地位を占める6体のマークスマン」であるCorki・Miss Fortune・Graves・Caitlyn・Kog’Maw・Quinnに大きなアップデートが施され、マークスマン向けアイテムには用途をはっきりさせる方向での調整と、他のマークスマンにも性能調整が行われる。これらの目的については「マークスマンはそれぞれ銃や投槍といった違う武器を持っており、それらを使う感触を違ったものにしたい。マークスマンの幅を大きく広げる意図がある」と言及されており、6体のマークスマン以外にも、マークスマン間の違いを際立たせるための調整が行われる。
Lead Game DesignerのScruffy氏が大きな変更点を解説した投稿と、個々のチャンピオン担当者による投稿から、各マークスマンの変更を以下にまとめた。ただし、10月29日時点で発表されている変更点のみであり、今後のテストや議論で変更される可能性がある。
ゾーンコントロールを重視したマークスマン。パッシブのダメージ増加効果は、クリティカル確率でスケールするようになる。「Piltover Peacemaker(Q)」は当たり判定の幅が狭くなるが、敵1体に当たると幅が広がり(元の幅に戻る)、複数体に当たった時のダメージ減衰が現在のものよりもきつくなる。罠を設置する「Yordle Snap Trap(W)」はチャージ制となり、使用時のクールダウンがごく短くなるが、チャージ追加にかかる時間は非常に長い。また、罠を踏んでもダメージが発生することはなくなるが、パッシブのダメージ増幅効果が発動するようになる。「90 Caliber Net(E)」は若干の弱体化。射出されるネットの当たり判定の幅が狭く、飛距離は短く、弾速が遅くなり、ダメージも弱体化されるが、罠と同様に当たった敵に対してはパッシブのダメージ増幅効果が発動するようになる。「Ace in the Hole(R)」の変更は予定されていない。
7発ごとに発動のパッシブの使い勝手はそのままにダメージ基準が変化。罠、ネットとの相互作用も増えて強化方向だが、より使いこなしが要求されるようになった。
コンボ重視型のマークスマン。「Bullet Time(R)」は持続時間とスケールが強化され、クリティカルが起こるようになる。現在の「Impure Shots(W)」は新パッシブスキル「Love Tap」にリメイク、通常攻撃の対象を切り替えるたびにボーナスダメージを与える能力となる。跳弾を2体以上の対象に当てると、さらに大きなダメージが与えられる。現パッシブ「Strut」はWのパッシブへと移動する。今回の告知で明かされた他にも、まだ明らかになっていない変更点がある模様。
現在の情報では、スキルの使い勝手自体に大きな影響のある変更ではないが、新パッシブはLoL全体でも珍しいタイプの能力。集団戦での活躍が期待される。ボトムのレーン戦でサポートを攻撃する動機にもなり、通常のADCとは違った考え方を要求されるだろう。
グラスキャノン・ハイパーキャリー型のマークスマン(大きなダメージを出せるが、味方に守ってもらうことが必要となる)。「Bio-Arcane Barrage(W)」は発動中、通常攻撃の物理ダメージが減少するが、通常攻撃速度が2倍になる(上限は秒間攻撃回数5回までで、命中時効果は全て適用される)。「Living Artillery(R)」はpoke手段としては弱体化される。基本ダメージとスケールが調整され、体力が25%~50%の敵に対しては2倍、25%を切っている敵に対しては3倍のダメージを与えるように変更。より「とどめを刺す」ことに特化したスキルとなる。
W起動時の通常攻撃一発やRなど、遠距離からダメージを少しずつ奪う方法(Poke攻勢)はほとんど排除された変更だ。相手の攻撃から守ってもらいつつ、いかに足を止めて超高速の通常攻撃を浴びせられるか、マークスマンとしての立ち回りが重視される。
魔法ダメージ重視型のマークスマン(通常攻撃に付随して魔法ダメージが発生する)。「Hextech Shrapnel Shells(パッシブ)」によるボーナスダメージは、True damageではなく魔法ダメージと物理ダメージが半々になるため、ダメージ増幅効果のあるアイテムの影響を受けるようになる。「Gatling Gun(E)」のダメージもまた魔法と物理の半々になり、AR(物理防御力)とMR(魔法防御力)の両方を削るようになる。またリコールで泉に戻るたびに「The Package」という効果を獲得する。「The Package」の効果時間中は、「Valkyrie(W)」が「Special Delivery」に置き換えられ、飛行距離が3倍に伸び、当たった敵にノックダウンを与えたり、ダメージが増えたり、スロー効果もあるなど、通常時のWを大きく強化した能力を使うことが可能になる。
これまでのCorkiは、pokeが強力で離脱能力を備えた安全確保能力の高いマークスマンであったが、Valkyrieの射程短縮や「The Package」の追加により、よりリスクを取っていくプレイで結果を出せるようになっていくとのこと。
序盤から終盤まで、ゲーム全体に渡ってより防ぎづらいダメージを出していけるようになった。相手のTankも構わず溶かしてしまうような、攻撃的な立ち回りが必要になるかもしれない。「The Package」の使い所で集団戦の口火を切る(Initiate)能力も注目点だろう。
機動力重視型で、マップを縦横無尽に駆けまわるマークスマン。「Tag Team(R)」は戦略的な移動手段へと変更され、トグル式の能力になり、発動させると移動速度が劇的に向上する。Tag Team終了時にダメージを与えるSkystrikeはそのままだが、与ダメージ量が減少される。「Blinding Assault(Q)」は「Aerial Assault」にリメイクされ、Blind効果がなくなり、対象が失っている体力にもとづいて最大2倍までのダメージを与えるようになる。これにより1対1の戦闘手段から、ミニオンウェーブを処理するための手段に重きを置くスキルへと生まれ変わる。また対象に向かってダッシュして戻るスキルである「Vault(E)」のダッシュ速度が増し、信頼性のあるダッシュ手段となる。
Scruffy氏いわく「Quinnの変更は特に期待度が高い。キャラクター性能の限界を飛躍的に高めてくれるだろう」とのことで、劇的かつ強力な変更になるようだ。
1対1で強力だったBlind効果が削除されてしまい、弱体化方向の変更にも受け取れるが、代わりに得たRでの高速移動はGankや視界確保、威力偵察など多岐にわたって活躍できるはずだ。マークスマンとしてのプレイに加えて、マップ全体を戦略的に見るJunglerのようなプレイによって、非常に高い可能性が期待できる。
近距離バースト型のマークスマンであり、今回最も大きな変更が行われる。まず、射程が短いことから、基本能力値が近接攻撃チャンピオンと同様に調整される。新パッシブ「Destiny」はGravesが愛用する巨大なショットガン“Desitiny”を表現したもので、扇状の攻撃範囲を持つ高い威力の通常攻撃を行う。クリティカル率を上げることで攻撃範囲の弾数が増加し、ヒット数が多くなる。さらにこのパッシブは銃の装填数も再現しており、リロードに入ると通常攻撃間のタイマーが長くなってしまう(装填数は最大2発、リロード速度は攻撃速度を上げることで若干向上する)。そして、普通の遠距離通常攻撃は間に別の敵がいても狙った対象に飛んで行くものだが、Gravesの通常攻撃は間に別の敵がいるとそちらに当たってしまうことになる。
新しいスキル「End of the Line(Q)」は一定範囲にばら撒いた火薬がしばらくすると爆発し、その周囲に大ダメージを与える能力だ。一定範囲に煙幕を張る「Smoke Screen(W)」は、煙幕の中にいる敵は完全に視界を失い、着弾時にのみスローを与えるようになる。現パッシブ「True Grit」のAR・MRボーナス獲得効果は「Quickdraw(E)」に移り、効果時間は4秒間となる。EのAS上昇効果はなくなるが、代わりに通常攻撃をリセットし1発を装填する効果がつく。強力な散弾を発射し、弾着後扇状に攻撃が広がる「Collateral Damage(R)」はほぼ変わらないが、発射時にGravesが後ろに下るようになり、密着しすぎた戦闘からの退避ができるようになっている。
ここ数年のGravesはLucianやCorkiといった他のマークスマンに比べると「すごく良い」もしくは「とても悪い」という性能評価が続いており、そういったマークスマンたちとの差別化を特に図られている。戦略的には、近接攻撃を行うタンクに対して用いると効果的になるとのこと。
この変更でGravesはKalista以来、最も特殊な形の通常攻撃を持つチャンプとなる。他のマークスマンと全く違い、すべてスキルで戦うような操作や立ち回りが要求されるだろう。現在の情報では相当なダメージを範囲で出力できることになり、使いこなした際の制圧力は計り知れない。
上記の6体ほどの規模ではないが、他マークスマンの変更内容についても、現時点での予定が告知されている。また、マークスマン全体のアップデートにともない、マークスマン向けアイテムの調整も行われる予定。マークスマンに求められるのは、常に「その時点で最大ダメージを与えられる」アイテムビルドとなっているが、今回はマークスマンの戦闘中の選択肢を広げるため、ADアイテム(通常攻撃力UP効果のあるアイテム)やASアイテム(通常攻撃速度UP効果のあるアイテム)に変更が施されるようだ。
[執筆協力: Shigehiro Okano]