【UPDATE】4K環境がないユーザーは「PlayStation 4 Pro」でどのような恩恵を受けられるのか?
【UPDATE 2016/11/8 17:50】 『Rise of the Tomb Raider: 20 Years Celebration』と『Rez Infinite』の情報を加筆しました。
【原文 2016/11/4 21:13】 いよいよ11月10日に発売される「PlayStation 4 Pro」。従来のPlayStation 4からさまざまな点でスケールアップしており、特に4K出力やHDRに対応する点をソニーは強くアピールしている。しかし、4Kテレビは現在も1台10万円をくだららず、所有しているユーザーもそれほど多くはないだろう。今からPlayStation 4 Proとあわせて4Kが再生できる環境を用意しようとすれば、軽く20万円弱は財布から消えてしまう計算だ。
ただし4K再生環境がなくとも、ユーザーはPlayStation 4 Proの恩恵を受けることができる。ハードディスクが1TBである点、背面にもUSB接続用のポートがある点は、従来のPlayStation 4とは大きく違う。それだけではなく、各ゲームデベロッパーがPlayStation 4 Pro向けに独自のビジュアルアップグレードを用意しており、それは4Kテレビでなくとも十分に恩恵となるのだ。これはPlayStation 4 ProのGPUが通常のPlayStation 4の2倍近い性能であるおかげとなっている。
・Call of Duty: Modern Warfare Remastered
『Call of Duty: Modern Warfare Remastered』は4Kに対応し、ダイナミックかつなめらかな映像が楽しめるようになる。4Kに非対応のディスプレイでも、プレイする際にテクスチャが向上している。
エピソード形式で配信されている『Hitman』は、PlayStation 4Proへの対応にかなり積極的だ。ネイティブ4Kに対応していることに加え、4Kに非対応のディスプレイでもビジュアルがパワーアップしている。非4K対応ディスプレイでは、4Kの映像を1080pにダウンサンプルした形で描写され、高クオリティのシェーディングや光のちらつきの減少といった恩恵を受けられる。アップグレード用のパッチは11月10日に配信されるとのこと。
『Horizon: Zero Dawn』の開発チームは、4K非対応のディスプレイに向けて「4K対応ディスプレイほど優れたグラフィックは提供できない」としているものの、ゲーム自体にはシャドウマップやテクスチャサンプリング、スーパーサンプリングの強化などがなされている。くわえて、異方性フィルタリングのクオリティが高められており、フィールドのテクスチャがより緻密になっている。ちなみに4Kに対応していないテレビで遊ぶ場合、PlayStation 4 Pro内部では、4Kに近い解像度で描写されたものが1080pに圧縮されており、4K環境でなくともジャギーの減少などさまざまな恩恵が受けられる。
『Killing Floor 2』を4K非対応のディスプレイでプレイする際には、キャラクターや武器、モンスターなどあらゆるオブジェクトのテクスチャの解像度が向上し、よりダイナミックになった陰影表現が楽しめる。ゲーム中は暗所にいることが多い同作では、この表現によって影の解像度が上がり、引き締まって見える。またスーパーサンプリングの向上によりアンチエイリアシングの質も上がっている。こうした強化にくわえて、フレームレートも向上し、よりなめらかなゲームプレイが楽しめるのだという。
・仁王
4K/4K非対応ディスプレイで『仁王』を遊ぶ際には、プレイヤーはふたつのモードを選択できる。「ムービーモード」は映像表現を向上させ、「アクションモード」はフレームレートを向上させる。4K非対応のディスプレイでムービーモードを遊ぶ際には、解像度はそのままに30fpsで高品質なアンチエイリアシングの映像表現が楽しめる。アクションモードの場合も同様に解像度はそのままで、ムービーモードのような映像のさらなるクオリティアップはないが、60fpsの高フレームで遊ぶことができる。
Epic Gamesからリリースされる『Paragon』は、4K非対応ディスプレイ向けのサポートが充実している。
Unreal Engine公式サイトには具体的に「PS4 Pro 版『Paragon』では、拡張されたジオメトリとシーンの複雑度と共に動的ライティングを追加しました。このゲームでは、ライトシャフトやフォグなどのボリュメトリックなエフェクト、モーションブラー、拡張された HLOD (階層構造 LOD)、表示距離を増やす、スクリーン空間の反射、コンタクト シャドウ、プロシージャルな草、高度なライトブルームなどを利用しています。」と記述されている。
『ラチェット&クランク THE GAME』は、HDRの対応にくわえ、非4K対応ディスプレイ向けに「Temporal Injection」という技術が採用されている。これによって高い解像度の表現が可能になるのみならず、アンチエイリアシングが効果的にかかり、ジャギーが減少するなど大幅なグラフィックの向上がなされている。
ネイティブ4Kに対応することがすでにアナウンスされている『The Elder Scrolls Online』では、非4Kディスプレイでプレイしてもより忠実なグラフィックへとアップグレードされるという。
PlayStation VR対応のリズムバイオレンスゲーム『Thumper』をPlayStation Proで遊べば、ネイティブ4Kで描写されるほか、PlayStation VRで遊ぶ際もフレームレートを維持しながらさらに高クオリティのレンダリング描写が可能になる。
・Titanfall 2
『Titanfall 2』のエグゼクティブ・プロデューサーであるDrew McCoy氏は海外メディアStevivorを通じて、PlayStation 4 Proで同作を遊ぶ際にどれほどの恩恵があるのかを語っている。4Kにはネイティブでないものの対応しており、4K対応/4K非対応ディスプレイ向けにはフレームレートの安定、解像度や陰影表現の向上、パーティクルの増加などが見込まれているとのこと。こうした改善はアップデートを通じて追加されるのではなく、すでに製品版に盛り込まれた状態で販売されているようだ。
・Rise of the Tomb Raider: 20 Year Celebration
Xbox One版の発売からようやくリリースされる『Rise of the Tomb Raider: 20 Year Celebration』もまた、PlayStation 4 Proに力が入れられている作品だ。4K環境向けの2160p出力にくわえ、4K対応ディスプレイを持たないユーザー向けにふたつの描画モードが用意されている。ひとつめの「ハイフレームレートモード」は文字どおり60fpsのスムーズなゲームプレイを可能とする。キャラクターアニメーションや爆発エフェクトがなめらかに描かれ、ダイナミックさが増す。もうひとつは「エンリッチビジュアルモード」。フレームレートは30fpsながら、レンダリングを強化しより美しいグラフィック描写が楽しめる。
このほかにもテッセレーションの大幅な向上により、岩やレンガのテクスチャとシルエットが改善する。また、異方性フィルタリングが強化されたことにより、遠い場所にあるオブジェクトのテクスチャが美しくなった。テクスチャだけでなく、遠景描写も強化されているようだ。ほかにも木や植物を動的に描写する「Dynamic Foliage」の導入や、ララの髪の毛がさらに美しくなるなど、など多くの部分でクオリティアップがはかられている。
『Rez Infinite』のPlayStation 4 Pro向けコンテンツの詳細も明らかされている。ディスプレイに映して遊ぶ際には、4K環境があればネイティブ4Kの映像が楽しめる。PlayStation VRで遊ぶ場合でも、グラフィックスの品質向上、より高く安定したフレームレート、映像表現など、全般的な改善が感じられるようだ。Area Xモードでは、レンダリングの強化によって1440 x 810だった片目ごとの解像度が1920 x 1080まで向上。パーティクルが鮮明かつはっきりと見えるようになり、遠距離から敵を見ても迫力を感じられるようになるとのこと。
こうして見ると、PlayStation 4 Pro対応タイトルを開発している多くのデベロッパーは4K環境がないプレイヤーにも注目しており、ビジュアルのアップグレードやフレームレートの安定・向上などを盛り込んでいる。また『Thumper』のような、PlayStation VR対応タイトルのビジュアル表現アップも考慮すべき点だろう。
なおソニーは本体をスリムにし、価格を改訂した新型「PlayStation 4」も提供しており、どちらを選ぶかはユーザー次第だ。Microsoftが互換を切らずに「Xbox One S」と「Xbox Scorpio」を発売したように、今後はユーザー各々がプレイしたいタイトルやプレイ環境を考慮してゲームハードを購入する時代がくるのだろう。