開発中止されたParadoxのライフシム『Life by You』、元開発者がお蔵入りスクショをいろいろ披露。「クオリティ高い」「プレイしたかった」と惜しまれる

Paradox Interactiveが6月18日に開発/リリースを中止することを発表した『Life by You』。本作のスクリーンショットが突如として公開され、注目を集めている。

パブリッシャーのParadox Interactiveが6月18日に開発/リリースを中止することを発表したライフシム『Life by You』。そんな本作のスクリーンショットが突如として公開され、注目を集めている。スクリーンショットがまとめられた投稿には、そのクオリティの高さから、開発中止となったことを惜しむ声も多く寄せられている。海外メディアPC Gamerが報じている。

『Life by You』は2023年3月にParadox Interactiveから発表されたライフシミュレーションゲームだ。開発は『ザ・シムズ2』などに携わった実績をもつRod Humble氏が率いる、Paradox Tectonicが務めていた。本作ではオープンワールドで描かれる田舎町を舞台として、住人たちの生活を見守ることができるとされていた。また本作には住人や住宅、街全体規模まで自由に編集可能なさまざまなクリエイターツールが用意されることも特徴であった。

https://www.youtube.com/watch?v=U9c3WEYTJIU


本作は当初、2023年の9月12日より早期アクセス配信が開始される予定であったものの、ゲームのクオリティアップを図るために一度2024年3月5日に延期。その後も6月に延期され、さらには配信日が未定となった。最終的にParadox Interactiveは6月18日に、本作の開発/リリースの中止を発表。本作の全体像を再検討した結果、自信をもってリリースするにはあまりに時間がかかりすぎるとの理由が伝えられていた(関連記事)。

そうして日の目を見ることがなくなった『Life by You』。しかし今になって、新たなスクリーンショットが次々と公開。というのも、本作に携わっていた複数人のアーティストが、オンラインポートフォリオとして本作の未公開スクリーンショットを掲載しているのだ。

たとえばポートフォリオを掲載しているうちのひとり、Richard Khoo氏は『Life by You』にてキャラクターのアバターカスタマイズのシステムや、衣服の重ね着、布のレンダリングなどを担当していた。地形、そして屋内外におけるライティングなども担当したようだ。ポートフォリオを確認すると、スタイリッシュなファッションや、昼夜ごとの建物内の様子などが掲載されている。

ほかにも服飾などといった部分のテクスチャ作成、顔の細部の表現を担当したというEric Maki氏、時刻に応じた照明効果や人物の自然なアニメーションを作成したというChris Lewis氏といったアーティストが、本作のスクリーンショットをポートフォリオにて公開している。


こうしてポートフォリオにて公開されたスクリーンショットはコンテンツクリエイターのSimMattically氏によってまとめられ、X上に投稿されている。公開された画像はいずれも完成度が高く見える。少なくともグラフィック面では、かなり見栄えのよい状態まで作られていたようだ。そのクオリティの高さからか、ユーザーの中には開発中止となったことを惜しむ声も散見される。

なお本作の開発中止については、先述のとおりParadox Interactive側は自信をもってリリースするまでに時間がかかりすぎてしまうと説明。一方で元デザイナーのWillem Delventhal氏が「社内基準を十分満たしていた」「リリース準備は出来ていた」と主張する一幕もあった。今回公開されたスクリーンショットからはグラフィック面では一定の完成度まで開発が進められていた様子もみられ、Paradox Interactive側の求めるリリース基準が高かった可能性もあるだろう。


ちなみに同じくParadox Interactiveがパブリッシングを担当する『Prison Architect 2』は延期を重ねた末、先日発売の無期限延期が発表された(関連記事)。延期の理由としては、「ゲームのパフォーマンスとコンテンツ双方を改善する必要があり、もっと開発期間が必要」とのことであった。こちらもParadox Interactiveのリリース基準がより厳しくなっていることがうかがえるケースといえる。

いずれにせよ、実際にリリースされることなく不完全燃焼で立ち消えになってしまった『Life By You』。今回アーティストのポートフォリオが共有されたことで、本作に期待を寄せていたユーザーが残念がる様子も見受けられる。本作への注目度が高かったことが、改めて垣間見えるところかもしれない。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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