伝説のカルトアドベンチャーが発売から20年の時を経て、PlayStationVR で甦る。『クーロンズゲートVR 朱雀』がクラウドファンディング中

あの『クーロンズゲート』がなんと発売から20年を経て、『クーロンズゲートVR 朱雀』としてプラットフォームを PlayStationVRに移し戻ってくる。2017年5月のリリースを目指し、CAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中で、目標額は300万円。

あの『クーロンズゲート』がなんと発売から20年を経て、『クーロンズゲートVR 朱雀』としてプラットフォームを PlayStationVRに移し戻ってくる。2017年5月のリリースを目指し、CAMPFIREにてクラウドファンディングを実施中で、目標額は300万円。このプロジェクトを立ち上げたのは株式会社JETMANの代表・井上幸喜氏だ。井上氏は『クーロンズゲート』でアートディレクション・キャラクターデザインを務めてきた人物である。

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『クーロンズゲート』とは1997年にPlayStationで発売された一人称視点のアドベンチャーゲームだ。かつて香港で無造作に建設された九龍城砦をモデルにした「九龍城」が舞台で、プレイヤーは超級風水師として足を踏み入れ、四神獣の見立てを行うために不気味な内部を探索していく。ネットワークを駆使するサイバーパンクの要素のほかに、「妄人」と呼ばれる人体を変容させたグロテスクな化物が立ちはだかるホラーのエッセンスもある。それだけではなく東洋思想や現代哲学の要素までも混ぜ込まれ、一言では説明しきれない世界観が特徴だ。発売された1997年当時はちょうどイギリス領だった香港が中国返還される年でもあり、タイムリーな内容になったことも含めてまさにカオスというほかない作品である。

プロジェクトの内容はゲーム序盤の舞台である「龍城路・クーロンフロントの一部をPlayStationVRにて再現」 としている。当時から一人称視点で混沌とした世界観を体感させるデザインだったのだが、技術的な制約もあってオリジナル版では視点の移動や自由な探索ができなかった。今回のVR版ではついに自由な移動ができるようになったほかに、オリジナルの音源を使用した立体的な音響も加わることで、よりあの世界に没入できるようにデザインされる模様だ。

クラウドファンディングで集めた資金の使い道は「今のタイミングで制作するためには、本コンテンツに注力する必要」があるため「可能な限りオリジナリティを保つため楽曲、SE等の版権使用費として発生 」するという。発売後は「ユーザー様やコンテンツ動向などを考慮し、クーロンズゲートにおける全てのダンジョンの再現を目指し、完成の暁には次回作への背景データとして使用を展望 」としている。「クエストやアイテムバトル型のイベントを追加して長く付き合っていけるデジタルコンテンツ」を目指す拡張型制作によるリリースを予定している。

 

VR版に至るまでの『クーロンズゲート』リバイバルの流れ

『クーロンズゲート』にはいまだに多くのファンが引き付けられており、定期的にあの世界観はリバイバルされてきた。2007年にはセカンドライフにて原作の再現を目指した『Neo Kowloon SIM 』が登場。こちらも先の井上幸喜氏らが中心となって制作され、現在も運営されている。その後、原作の『クーロンズゲート』は2010年から2013年の間、PSP/PS3用ゲームアーカイブスとしてPlayStation Storeで配信される。 後に2015年より再配信され、PlayStation Vita にも対応した。2013年にはCD三枚組の「クーロンズ・ゲート オリジナルサウンドコレクション」が発売。オリジナルの音源を収録しただけではなく、音楽を担当した蓜島邦明氏の書き下ろしの楽曲も含めた決定版となった。

リバイバルの動きがより活発になるのは昨年2015年からだ。設定資料とインタビュー、また、続編の構想とサウンドトラックをまとめた「Kowloon’s Gate Archives」が発売される。それに合わせて中野ブロードウェイにて設定画やフィギュアの展示が行われた。今年の5月22日には「クーロンズ・ゲートコンサート2016 九龍夜奏会」が行われ、作中で重要な日付である「ファイアの日」に合わせたイベントとなった。さらに宝塚大学東京新宿キャンパス にてVR体験イベント「九龍VR」を開催した。ここで行われたことが今回のベースとなっている。

こうした昨今のリバイバルの流れが実を結んでいき、ついにVRとなって戻ってくる。さらに詳しい内容は9月13日の21時半からニコニコ生放送の公式チャンネルにて語られる予定であり、チェックしてみてほしい。

Hajime Kasai
Hajime Kasai

ブログ「GAME SCOPE SIZE」を運営。その他のメディアにも寄稿しています。

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