JAXA協力の宇宙ステーションシム『ISS Simulator』Steamにて無料公開。緻密に再現された船内を、自由に探索し放題
株式会社スペースデータは11月7日、『ISS Simulator』を無料で公開した。対応プラットフォームはPC(Steam)。
『ISS Simulator』は国際宇宙ステーション(ISS)内を自由に動き回れるウォーキングシミュレーターだ。プレイヤーは球体ロボットのようなキャラクターを操作し、3Dで精密に再現されたISS内を動き回ることとなる。
ISS内を動き回るにあたっては、特にミッションなどが設けられるわけではない。気の向くままに移動することができる。またISS内の微小重力や気流といった環境も再現されている。キャラクターを操作するにあたって、そうした内部の環境を意識しつつ動き回ってみてもいいだろう。なお気流については、ゲーム内で強度の変更および可視化が可能となっている。
本作を手がけるスペースデータは、宇宙とデジタルの融合を目指した研究開発をおこなうスタートアップ。国土交通省が主導する日本の3D都市モデル整備プロジェクト「PLATEAU」などに携わっている。
スペースデータは、現実空間の情報をコンピューター上に“双子”のように再現する技術である「デジタルツイン」を中心にプラットフォームを提供している。本作は宇宙ステーションや月面などの宇宙環境をバーチャル上に再現する技術「宇宙デジタルツイン」の第一弾とのことだ。
スペースデータによれば、本作はJAXAからISS「きぼう」日本実験棟で取得した船内環境データ(温度、湿度、風量、照度等)の提供を受けているとのこと。また今回ISSデジタルツインとして本作を公開した経緯については、2030年以降に退役するISSの環境をデジタル空間上に再現することで、非専門家が地球低軌道におけるアイデアを容易に試せるようになる、としている。今後民間事業者による“商業宇宙ステーション”の開発、運営に際して、参入ハードルを低くし、宇宙を専門家だけでなく、誰もがアクセスできる環境にしたいという狙いがあるようだ。
なお今後は宇宙ロボットやISSのシミュレーション機能を付加する計画があるといい、宇宙機開発や宇宙実験のツールとしての使用も想定しているそうだ。『ISS Simulator』のアップデートにも注目されるところだろう。
『ISS Simulator』はPC(Steam)向けに無料配信中。