インテル、新CPU「Core Ultra 200S」シリーズの“ゲーミング性能が思ったより低い”とのメディア評価に徹底検証でアンサー。ほぼ修正済みと報告
インテルは12月18日、「Core Ultra 200S」シリーズのCPUの“メディア向けプレビュー”などで生じていたという問題について調査結果を報告。発売前のプレビューにおいては、複数の問題が生じており、カタログスペックを発揮できない状況があったようだ。一方調査の結果特定された原因は発売後にほぼ修正済みであり、来月実施予定のBIOSアップデートをもって対応完了となる見込みだそうだ。
Core Ultra 200Sシリーズは、「Arrow Lake」というコードネームで開発され、10月25日に発売されたデスクトップPC向けのCPUだ。昨年リリースされた「Core Ultra シリーズ1(Meteor Lake)」に続く、「Intel Core Ultra」シリーズの最新世代製品となる。
Core Ultra 200Sには5種類のラインナップが用意。一番下位となるCore Ultra 5モデルにおいても、P-core数が6、E-core数が8の14スレッドとなる。また本シリーズはインテルよりリリースされるデスクトップPC向けのプロセッサーとしては初の、NPUを搭載したモデルとなっている。ニューラルネットワークにてAIの推論処理を専門で実施し、CPUやGPUが担当するよりも省電力でAI処理がおこなえることが特徴とされる。また発売前にはゲーミング性能について、電力効率の劇的な改善などもアピールされていた(関連記事)。
インテルはそんなCore Ultra 200Sシリーズのゲーミング性能について、調査と分析を実施。公式コミュニティサイトにて詳細を報告している。まず調査がおこなわれた背景として、Core Ultra 200Sシリーズのゲーミング性能についてメディアによるプレビュー記事などで評価にばらつきがみられたことが説明されている。一部メディアはCore Ultra 200Sシリーズについて、インテルが公表するようなスペックが発揮されていないことを報告していたようだ。
とはいえインテルが公表していた内容は、社内テストでは確認されていたデータだったという。そこで同社では、10月26日から4~6週間をかけてゲーミング性能について集中的に原因の分析を実施。パフォーマンスや機能に影響した可能性のある要素の洗い出しがおこなわれた。結果として5つの条件や要素が、パフォーマンスや機能に影響することが確認されたそうだ:
- 電源とパフォーマンスを最適化するPPM(Performance & Power Management)パッケージが誤っていた
- アプリのパフォーマンスを最適化するIntel APOが有効化されなかった
- チート対策ツール「Easy Anti-Cheat」を利用するゲームを起動しようとするとブルースクリーンが発生していた
- プレビューにおけるBIOSでは、パフォーマンス関係の設定が一部誤っておこなわれるケースがあった
- BIOSに向けた新たなパフォーマンスの最適化
そして報告によると、「BIOSに向けた新たなパフォーマンスの最適化」については現在リリースに向けて社内で検証が進められているとのこと。ユーザー向けには来年1月前半にアップデート予定だそうだ。一方でそのほかの4つの条件・要素についてはすでにアップデートなどで対応済みとのこと。
なおCore Ultra 200Sシリーズで報告された問題のうちたとえばPPMパッケージについては、Windows Update パッケージを誤ってプレビュー向けではなく、ユーザーおよび小売店向けにスケジュールしていたという。つまりプレビュー時特有のパフォーマンス低下も発生していたようだ。
またEasy Anti-Cheatの問題については、同ツールとWindows 11 24H2との相性の問題であり、Core Ultra 200Sシリーズは無関係だったようだ。すでにEasy Anti-Cheatの提供元Epic Gamesより開発者およびパブリッシャー向けにアップデートされたドライバーが配信されているそうで、問題が生じていたゲームでは順次対応が進むことだろう。
いずれにせよ現時点ではアップデートにてほとんどの問題が対応済みとのこと。来月実施予定のBIOSのパフォーマンス最適化も含めて、プレビュー記事などで一部報告されていたような“インテルが公表するほどパフォーマンスが高くない”といった状況は修正に向かうようだ。
ちなみにインテルといえば、第13世代および第14世代の、ハイエンド向けであるK/KF/KSモデルのデスクトップ向けCPUで不安定性の問題が多発していたことが記憶に新しい。たとえばゲームをプレイする際にクラッシュや起動失敗を引き起こしていた。インテルはそうした問題について調査を進めつつ、あわせてCore Ultra 200Sシリーズ(Arrow Lake)など新製品では問題が生じないことを強調していた(関連記事)。
今回は主に一部メディアのプレビューにおけるパフォーマンスの伸び悩みであり、問題の規模としては小さめ。とはいえインテルでは原因究明のために、じっくりと検証がおこなわれ報告されたようである。ユーザーからの信頼回復に注力している様子が垣間見える報告かもしれない。