『孤独なインディーゲーム開発者の一生』ゲーム構想お披露目、つらすぎて注目される。ゲームが売れない、収支はギリギリ、無理すれば早死に

Image Credit: kan.kikuchi on X

国内の個人ゲーム開発者kan.kikuchi氏は7月27日、『孤独なインディーゲーム開発者の一生』と題したゲームコンセプトを、自身のX(旧Twitter)アカウント上にて公開した。まだアイデアの段階ながら、その絶妙に世知辛い内容に注目が寄せられている。

『孤独なインディーゲーム開発者の一生』は、その名のとおり、孤独なインディーゲーム開発者として人生をまっとうする、シミュレーションゲームのコンセプトだ。「死ぬまでにあと何本のゲームを作れるのか」「売れなかったらどうしよう」「もうこんな年齢になってしまった」といったあれこれや、収入のための仕事・勉強時間・開発時間のバランスに苦慮するなどの苦しみを味わいながら楽しむゲームだという。

Image Credit: kan.kikuchi on X


ゲームシステムの構想についても触れられている。まず主人公は加齢し、いずれ死ぬ。徹夜などの無茶もできるものの、健康を損ない早死にするという。また、現実と同じく、主人公の資産はただ生きているだけでさまざまな支出により減っていく。ゲームの販売で十分な収入を得られなければ、バイトや受託業務のほか借金・ギャンブル・投資などあの手この手で生計を立てていく必要が出てくるそうだ。

投稿に添えられているモックアップと見られる画像では、月間収支明細が提示されている。20万5000円ほどの収入から、家賃・食費・光熱費・娯楽費・雑費・税金・年金・保険料が差っ引かれており、手元に残るのは2万7000円ほど。ただ、同月にはギャンブルで3万円を稼いでいたようで、この幸運がなければ赤字だったのだろう。なお、ゲームの売上収入は月間で1万2560円と描写されている。

Image Credit: kan.kikuchi on X


また、ゲーム開発部分については、プログラム・グラフィック・シナリオなどの分野から選んで能力を伸ばしていく方式。ゲーム開発にあたってはジャンル・規模のほか「ほか作品をパクるか否か」などを選べるという。また、チーム開発や会社設立などはできず、友達との交流や結婚なども不可。限られた寿命のなか、孤独に開発に打ち込むことになるようだ。ただし、ペットを飼うシステムについてはできれば実装したい方針のようである。

kan.kikuchi氏の同投稿は、本稿執筆時点でシェア数300件を超えるなどの反響を呼んでいる。リプライなどによるコメントも盛んに寄せられており、コンセプト段階ながらしみじみ世知辛いゲーム内容が興味を引いたようだ。「胃が痛くなりそう」といった感想のほか、ゲーム開発者からもそのリアリティについて触れる声が出ている。今回のコンセプトには、kan.kikuchi氏のリアルな体験も反映されていることだろう。

今回コンセプトを公開したkan.kikuchi氏は、『縦笛なめなめVR』『SLASH OF BULLET』といったVR作品のほか、『ピコンティア』や『神巫女』の開発に携わってきた。最近ではオンライン対戦デッキビルドゲーム『カネコキング』をリリース。現在は生死をかけたシャンパンタワー作りゲーム『Nitro Champagne Tower』を開発中で、こちらは今年リリース予定だ。今回のコンセプトが将来的にゲームになるかどうか、今後も同氏の開発者人生を見守りたい。