『League of Legends』試合終盤を彩るのは華々しいぶつかり合い。劇的な幕切れを目撃せよ

『League of Legends』観戦の手引き シリーズ最終回は、「ゲーム終盤」について解説する。序盤、中盤を経ていよいよゲームも終わりが見えてくる。この頃になると数字の上では大勢が決しているように思う向きも多いかもしれない。

League of Legends』(以下、LoL)観戦の手引き シリーズ最終回は、「ゲーム終盤」について解説する。序盤、中盤を経ていよいよゲームも終わりが見えてくる。この頃になると数字の上では大勢が決しているように思う向きも多いかもしれない。

であれば残りの時間帯は消化試合みたいなものなのだろうか?

この問いについては「断じて否」と答えよう。たとえ劣勢であっても、この時間帯のチャンピオンの戦闘力は防衛施設を瞬く間に破壊するに十分なレベルに達しているため、衝突に敗れた時のリスクは最大に達している。一方で、勝つためにはどこかでチーム全体がぶつかり合う集団戦を制さなければならない。ダメ押しを狙った動きは相手に付け入る隙を与える行為でもある。まだゲームは終わっていないのだ。そんな緊迫感あるゲーム終盤について、今回は解説していこう。

 

終盤の戦い

試合開始から25分を過ぎて、互いに複数のTowerを失っているような状況であれば、試合は終盤に差し掛かっていると思ってよい。

この時間帯ともなると、各チャンピオンはこの時間までに得てきた経験値と資金によって十分に自身を強化しており、敵陣地への侵入を阻むはずのTowerも簡単に破壊できるようになっている。チャンピオンに対抗できるのはチャンピオンだけという状況だ。一方で、敵に倒されてしまうと復活まで1分以上かかるようになるため、単独行動の最中に敵に撃破されるようなことがあれば、長時間の数的不利を強いられることとなる。場合によっては即試合終了という結果になりかねないハイリスクな時間帯でもある。

 

InhibitorとSuper Minion

各レーンの終端、3本めのタワーのすぐ内側にある宝石のようなものがInhibitor。
各レーンの終端、3本めのタワーのすぐ内側にある宝石のようなものがInhibitor。

終盤となると、既に多くのTowerは破壊され、場合によってはInhibitorが破壊されるという事態も発生してくる。この建造物は攻撃力などを全く持たないが、破壊されると破壊したチーム側から出現するMinionが強化され、Super Minionと呼ばれる個体が混ざるようになる。このMinionはかなり強力で、チャンピオンが直接倒しに行かなければ止まらない。

ひときわ大きく凶悪そうなMinionがSuper Minion。通常Minionと比べるとタフで、攻撃も強力だ。
ひときわ大きく凶悪そうなMinionがSuper Minion。通常Minionと比べるとタフで、攻撃も強力だ。

Super Minionに対応しなければいけなくなるということは、他の場所に割くことのできるメンバーが減ってしまうことを意味しており、戦略を組み立てるうえで大きな足かせとなってしまう。破壊されたInhibitorは一定時間経過すると復活するものの、その間はInhibitorが壊れたレーンで防衛を行わなければならないため、不利を被ることは免れない。つまり、相手チームのInhibitorを破壊することで、大きなアドバンテージを得ることができる。

 

Baron

how-to-watch-lol-games-6-003

BaronはTopレーン近くの一角に鎮座している中立モンスターの一体だ。ジャングルにいる他のモンスターやDragonと同様に、こちらから攻撃しない限りは反撃してくることはなく、倒すことでチャンピオンを強化する特殊効果を得ることができる。Baronは試合の中で重要なポイントとして扱われるモンスターだ。理由は簡単で、Baronを倒すことで得られる効果が非常に強力だからである。

Baronを倒すと、各チャンピオンは紫色のオーラに覆われるのだが、このオーラは付近のMinionにも広がり、その能力を著しく強化してくれる。このオーラをまとった状態であれば、敵チームのMinionをたやすく蹴散らし、さらにはTowerへも十分なダメージを与えることができるようになる。そのため、試合の流れを決定づけるために各チームはBaronを倒しにいくことになる。

多くの場合は優位に立ったチームが取る行動ではあるが、Baronを倒すことはたやすいことではない。得られる恩恵の巨大さに比例するかのように、Baronは非常に高い耐久力と攻撃力を誇っているのだ。一度Baronと戦い始めるとそれなりの時間を消費してしまうし、その反撃も無視できないダメージ量になる。

そのためBaronとの戦いの最中は、相手チームがつけ入る隙が生じることになる。Baronへのトドメの一撃を行うことでBaronの恩恵をかすめ取る「スティール」に挑戦したり、あるいは消耗した相手に戦いを挑むことで有利に集団戦を展開したりして、逆転を狙うチャンスが生まれるのだ。

もちろんBaronを取りに行くチームは周辺の警戒を十分に行うし、後から敵チームがやってきて介入することを見越して待ち伏せするという選択肢も存在する。これらが相まって終盤はBaronを中心に複雑な駆け引きが展開されることになる。

Baronのオーラにより大きく強化された赤Minion。敵地へと攻め入る際は大きな力となるが、攻められた方はたまったものではない。
Baronのオーラにより大きく強化された赤Minion。敵地へと攻め入る際は大きな力となるが、攻められた方はたまったものではない。

 

集団戦

終盤においては、TowerやBaronを巡ってチーム全体がぶつかり合う集団戦が大きな見どころとなる。互いのあらゆるスキルやアイテム、戦術を発揮してのぶつかり合いはLoL最大の見どころであり、時にMidやADCの選手が見せるスーパープレイは会場を興奮のるつぼへと叩き込むことも珍しくない。

集団戦におけるポイントは、基本的には「いかに敵チームのADCやMidを倒すか?」となる。チャンピオンは様々な特徴を持っているが、その中でも集団戦において脅威になるのは終盤に大ダメージを出す能力に長けるチャンピオンたちであり、それらを扱うのがMidやADCだからだ。攻撃力の高いチャンピオンは総じてもろく、敵から逃げる能力も乏しいことが多いため、チーム全体でカバーしなければならない。

敵チームの一瞬の乱れやコミュニケーションのズレを見抜き、的確に相手の攻撃力の要となるチャンピオンを倒すことができるか、あるいは敵の守りに阻まれて逆襲されるか、そしてその流れの中でどんなプレイが見られるのか、それが集団戦の醍醐味だ。

 

最終回となる今回は、ゲーム終盤に焦点となるポイントを解説した。このシリーズを通して、公式試合におけるPick & Banから実際のゲームプレイについて、序盤から終盤までの大まかに見るべきところを解説してきたが、最初から全部を把握することは無理だろう。まずは試合を見て、華々しいプレイ(相手チーム全員を一人のチャンピオンが倒すPentaKillなど)を楽しんでくれれば幸いだ。

試合運びについては実況解説等を交えてゆっくり知っていけばいいし、もし観戦したことが発端となって興味が出てきたなら、LoLを実際にプレイしてみるのも良いだろう。実際にやってみることでよく理解できることもあるはずだ。

秋の夜長に世界最高峰の試合が行われるWorld ChampionShip、本シリーズがその観戦の一助になれれば幸いである。

 

[記事原案: ユラガワ@Wired-Lynx]
[構成編集: 山口佐和子岡野繁浩]


『League of Legends』観戦の手引き
vol.1: いよいよ始まる世界大会、『League of Legends』の試合をネットで観戦するには?
vol.2: 『League of Legends』ネット観戦の予備知識、まずは試合の基本的な流れを知ろう
vol.3: 『League of Legends』TOPやJUNGLEなど、チームメンバーが担当する5つのポジションとは
vol.4: 世界大会開催中の『League of Legends』をネット観戦、試合序盤で注目すべきポイントとは
vol.5: 世界大会配信で盛り上がる『League of Legends』、試合中盤の見どころを解説
vol.6: 『League of Legends』試合終盤を彩るのは華々しいぶつかり合い。劇的な幕切れを目撃せよ

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

記事本文: 174