“Steam発売禁止”人間牧場ホラー『HORSES』について、Valveが「社内でプレイ&徹底議論してから却下した」と回答。検討したけどやはりダメ
『HORSES』がSteamで発売されない経緯について、Valveが声明を発表している。

デベロッパーのSanta Ragioneは11月26日、『HORSES』を12月2日に発売すると発表した。本作の配信プラットフォームはPC(Epic Gamesストア/GOG.com/itch.io/Humble Store)。Steamでの発売がおこなわれなかった経緯について、海外メディアPC Gamerを通じてValveが声明を発表している。
『HORSES』は一人称視点のホラーアドベンチャーゲームだ。本作の舞台は、馬のマスクを被った裸の人間たちが暮らすとある牧場。プレイヤーは大学の夏休みに牧場を訪れ、14日間仕事をこなしていく。鎖に繋いだ馬に自身を肩車させて乗り回したりと、まるで家畜のように使役して働くのだ。牧場主の警告に耳を傾けなければ報いを受けることになる。3~4時間のゲームプレイの中では、徐々に謎に満ちた農場の真実にも迫っていくという。

Santa Ragioneは11月26日、本作がSteamで配信がされないことを公式サイトにて明かした。同スタジオによれば、2023年6月に本作を発表する数日前、Valveから審査を通過できなかったとの旨のメールを受け取ったという。メールでは「sexual conduct involving a minor(未成年が関与した性的行為)」の描写が理由として挙げられていたといい、その後は申し立てが繰り返し却下されてきたとのこと(関連記事)。
この発表はすぐに多数の海外メディアで報じられることとなったが、Valveは同日、PC Gamerの取材に対してコメントを寄せている。Valveによれば、2023年のタイトル発表時に、ストアページの内容に基づき、ゲームのビルドをレビューする必要があることをSanta Ragioneに伝えたそうだ。Steamでは一般的に、ビルドをプレイしてのレビューは配信開始が近づいてから求められることが多いとされる。ただ(申請された)ストアページの内容からゲーム自体がガイドラインに準拠していない可能性がある場合には、ストアへの掲載前の時点でビルドのレビューをおこなうこともあるそうだ。
そして『HORSES』についてもコンテンツ審査チームが一通りプレイしたうえで、Steamでのガイドライン上、発売できないとのフィードバックを伝えたものの、Santa Ragioneからレビューの再検討を求められたという。そのためコンテンツ審査チーム内では“徹底的に(extensively)”議論が交わされたが、やはりSteamではリリースできないという最終決定を下し、Santa Ragioneに通達したそうだ。

『HORSES』がSteamで発売禁止となった今回の一件を巡っては、開発元が語った経緯が広く報じられ、それに対してValveが反応し説明するという、やや珍しい出来事と言えそうだ。なお開発元のSanta Ragioneは、そもそも提出したビルドが初期段階のものであり、変更の余地は十分にあったと説明している。また「問題と思われるコンテンツがあれば変更または削除する」との意向を伝えたものの却下されたことや、発売禁止となった理由、不適切だとする具体的なシーンが明かされなかったと述べており、当時のValveの対応に不満を抱いていることも垣間見える。
とはいえ、本作はPC(Epic Gamesストア/GOG.com/itch.io/Humble Store)向けには発売予定となっており、プラットフォーム間で審査基準が異なることも改めてうかがえる。なおSteamやitch.ioでは今年7月より成人向けゲームの規制が強化され(関連記事)、波紋も広がっている。開発元がガイドラインを守りながら自由な発想で作品づくりをおこなう上では、引き続き各プラットフォームには基準や対応に透明性・一貫性のある審査体制が求められているだろう。




