「Steamでは発売不可」馬マスク人間牧場ホラー『HORSES』12月2日発売へ。過激表現多数の“問題作”

Santa Ragioneは11月26日、『HORSES』を12月2日に発売すると発表した。Steamでの発売は叶わなかったという。

デベロッパーのSanta Ragioneは11月26日、『HORSES』を12月2日に発売すると発表した。対応プラットフォームはPC(Epic Gamesストア/GOG.com/itch.io/Humble Store)。なおEpic Gameストアの記載では12月3日の発売となっている。本作についてSanta Ragioneは、Valveの審査を通過することができなかったために、Steamでの販売が叶わなかったことを伝えている。

『HORSES』は一人称視点のホラーアドベンチャーゲームだ。本作の舞台は、馬のマスクを被った裸の人間たちが暮らすとある牧場。プレイヤーは大学の夏休みに牧場を訪れ、14日間仕事をこなしていく。鎖に繋いだ馬に自身を肩車させて乗り回したりと、まるで家畜のように使役して働くのだ。牧場主の警告に耳を傾けなければ報いを受けることになる。3~4時間のゲームプレイの中では、徐々に謎に満ちた農場の真実にも迫っていくという。

このたび、本作を手がけるSanta Ragioneから、本作が12月2日に発売されることが発表された。ただし当初予定されていたSteamでの発売は断念されたといい、その経緯が明かされている

2023年6月に発表された本作であるが、同スタジオはその数日前にSteamで配信できないという通知を受け取っていたという。その後Valveに対して2年間にわたって説明を求めてきたものの、ガイドラインに従っていないことを理由に繰り返し申し立てが却下されてきたとのこと。なお、昨今報じられてきた決済代行業者による成人向けコンテンツの制限とは関係がないという。あくまでも、Steamのキュレーションチームによる決定であるそうだ。

開発元のSanta Ragioneはこれまで、『Wheels of Aurelia』や『Saturnalia』などの作品を通して、現実の社会的なテーマを独特のビジュアルで風刺的に描いてきた。本作については発表された2023年頃から、心理的虐待や性的暴行、奴隷制の描写をはじめとするさまざまな過激な表現を含んでいることが警告として掲示されていた。

Santa Ragioneが明かしたSteamによるレビューでは、「sexual conduct involving a minor(未成年との性的行為)」が原因として挙げられている一方で、同スタジオによれば、本作には性的な要素が若干含まれているものの決してポルノ作品ではなく、また製品版のビルド時点では、登場するすべてのキャラクターは20歳以上であるという。米国やEUを含む大半の国における法律に則っていると考えているそうだ。

なお現在同スタジオは閉鎖の危機にあるという。不幸にも、前作『Saturnalia』が予想を大きく下回る売上となってしまったがために開発費用を賄いきれず、また『HORSES』をSteamでリリースできないと決まったことで外部のパブリッシャーを見つけられず、開発を完了させるために友人からの私的な出資に頼らざるをえなくなったそうだ。なんとかして開発費を回収しない限り、持続不可能な財政状況に置かれてしまうという。スタジオの行く末にも注目が集まっている。

『HORSES』はPC(Epic Gamesストア/GOG.com/itch.io/Humble Store)向けに12月2日発売予定。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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