“椅子縛られ”イライラ系ホラー『Ells Tales: Chairbound』じわじわ評判高まり中。爆発まで制限時間10分、コケたら終わりの鬼畜不自由ゲーム
Ells&Pillsは8月1日、『Ells Tales: Chairbound』をリリースした。爆弾といっしょに椅子に縛り付けられた状態からの生存を目指すホラーゲームである。

インディーデベロッパーのElls&Pillsは8月1日、ホラーゲーム『Ells Tales: Chairbound』をリリースした。対応プラットフォームはPC(Steam)。ゲーム内は日本語表示に対応している。本作はさっそく好評を集めている。
『Ells Tales: Chairbound』は爆弾といっしょに椅子に縛り付けられた状態からの生存を目指すホラーゲームである。プレイヤーは廃ビルの一室のような場所で目を覚まし、自分が時限爆弾とともに椅子に縛り付けられていることに気がつく。幸いにも椅子はキャスターの付いたオフィスチェアであるため、ゆっくりとなら動くことが可能だ。爆弾のタイマーが示す残り時間はわずか10分。制限時間内に生き延びる道を探さなければならない。

ゲームプレイはビルの10階がスタート地点となる。下へ降りる階段の傍らにはスロープが存在しているため、うまく操作すれば下のフロアへ行くことも可能だ。ただし、全身が椅子にガチガチに縛り付けられているため、自由に動くことはままならず、転倒してしまえば一巻の終わりだ。特にスロープを下る際にはうまくバランスを取らないと転んでしまい、その場で爆発まで祈る以外のことはできなくなる。
ただ転びさえしなければ、身体はほとんど動かせないながらも、なんとかもがいて椅子を操作することが可能となっている。前進・後退・方向転換ができるが、操作性は非常に悪い。時間制限に追われつつ、不自由な身体をコントロールするジレンマを味わえるだろう。
また、左右の手にはひとつずつアイテムを持つことが可能だ。ゲームの進行上重要となるアイテムもあり、ただスロープを下る以外にもビル内の探索が必要となる場面もあるだろう。なお、手がほとんど動かせない都合上、アイテムを入手するには拾いたい側の手をアイテムにギリギリまで近づける必要がある。スタート地点のすぐ近くには音の鳴るアヒルのおもちゃが置かれているため、アイテムを拾う練習として持っていくのも良いかもしれない。


そんな本作はリリースから早速ストリーミング配信を中心に話題になっている様子。Twitchでは複数の人気海外ストリーマーが実況プレイをおこない、注目を集めている。またSteamユーザーレビューでもじわじわと好評を集めており、本稿執筆時点で76件、そのうち81%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。リミナルスペースのような不気味さが漂うビル内や、“爆弾と一緒に椅子に縛り付けられている”というシチュエーションは本作の特徴。そして極めて悪い操作性は、焦りと緊迫感を生む仕掛けとして機能している。時間制限が設けられていることで区切りをつけやすく、理不尽に何度でも立ち向かいたくなるような作品だ。レビューでも、そんなゲームのコンセプトやもどかしさを高く評価する声が多く聞かれる。
一方で、画面揺れで3D酔いを起こしやすいことや、地形の継ぎ目となっている部分で椅子が勝手に転倒してしまうといった不具合などには不満も寄せられ、好評率自体はやや伸び悩んでいる。ただし、リリース後もアップデートが複数回配信されており、揺れ軽減オプションの追加や椅子を倒れにくくする調整がおこなわれたほか、物理演算の挙動に変更を加えたテスト版の公開などもおこなわれている。今後評価が高まる可能性もあるだろう。
本作を手がけるElls&Pillsは、サバイバルホラーゲームに別のジャンルを組み合わせた実験的な作風で知られるインディーゲームデベロッパーである。過去にリリースした作品としては、「非常に好評」ステータスを獲得しているサバイバルホラークリッカーゲーム『Ells Tales: Egg』や、「好評」ステータスを獲得しているサバイバルホラー倉庫番ゲーム『Ells Tales: Chicken』などが知られている。本作でもそうした持ち味は健在で、「壺おじ」こと『Getting Over It with Bennett Foddy』などに代表される、いわゆる「苦行系」の操作をサバイバルホラーに組み合わせたものと思われる。さっそくじわじわと話題を高めており、これからの展開にも注目したい。
『Ells Tales: Chairbound』はPC(Steam)向けに配信中。現在はリリース記念セールを開催中で、8月16日までの期間限定で定価の10%オフとなる税込211円で購入可能だ。