『ヘルダイバー2』開発元、もっと“楽しいゲームバランス”にしていくと表明。新アプデの火炎放射器弱体化は方針と「根本的に矛盾」していたとして


Arrowhead Game Studiosは8月14日、『HELLDIVERS 2(ヘルダイバー2)』の今後のアップデート方針を発表した。今後60日間をかけて、前回アップデートでの調整に批判が寄せられていた火炎放射器などに新たな調整が実施される予定だという。

本作は、見下ろし視点型シューター『HELLDIVERS』の続編となるTPSだ。プレイヤーはスーパーアース連邦のエリート部隊ヘルダイバーの一員となり、宇宙生物のムシ(ターミニッド)や、オートマトンと呼ばれる殺人ロボットの大群に立ち向かうミッションに挑む。自由と管理民主主義を守るため、銀河を舞台とした戦いに身を投じるのだ。PC版とPS5版の間でのクロスプレイがサポートされており、最大4人でのオンライン協力プレイに対応している。


本作に向けては先日8月6日に大型アップデート「自由の激烈(The Escalation of Freedom)」が配信された。同アップデートでは新たな最高難易度となる「難易度10 – スーパーヘルダイブ」の実装や、新種の敵などさまざまな新要素が実装。また武器や敵などの多岐にわたるバランス調整や、不具合修正も実施された。

なかでも、戦略支援武器である「火炎放射器」が不具合修正の影響で“実質弱体化”した点には注目が集まった。アップデートでは、炎のエフェクトがより現実的に挙動するように調整。装甲や静止しているオブジェクトなど、炎が通過しないはずの物を通過して広がらないように修正されている。

従来の火炎放射器はムシ陣営の「チャージャー」などの敵の装甲を貫通してダメージを与え、比較的容易に処理できる点が強みとなっていた。アップデートにより装甲を貫通できなくなり、実質大幅な弱体化となったかたちだ。もともと火炎放射器は射程が短く、かつ炎によって自分もダメージを受けるリスクがある武器だ。炎が装甲を貫通しなくなる修正によって使いどころがさらに狭まった点には落胆や不満の声も広がっていた。またこの調整をきっかけに、強力な武装の弱体化ばかりおこなう方針で調整されているのではないかといった批判も改めて集まっていた(関連記事)。

そうしたフィードバックを受け、今回Arrowhead Game Studiosは声明を発表した。声明では、ゲームバランスと開発方針に対する開発チームのアプローチに、根本的な矛盾があったと説明。この問題を解消するためには口先ではなく行動が最重要だとして、今後60日間で計画されているアップデート内容が明かされた。


まず火炎放射器については、炎ダメージのメカニクスを改めることで、近距離の支援武器としての調整がおこなわれる見込み。さらにチャージャーについてもリワークが検討されているとのこと。火炎放射器の使いどころを広げるような調整をくわえつつ、チャージャーを処理する際の選択肢も増えるのだろう。なお、ほかの部分のバランスに関わるため、炎が装甲を貫通する仕様は戻さないことも明言されている。8月8日に実装された新たなプレミアムウォーボンド「自由の炎」での追加武器との兼ね合いもあるとみられる。

このほか“過剰なラグドール(excessive ragdolling)”を防ぐようなゲームプレイの改修も予定されているとのこと。敵の攻撃や爆発などをきっかけに転んで行動不能になる場面が少し緩和されるのかもしれない。また今後は不具合修正の優先順位が見直され、ゲームプレイに影響を及ぼす不具合が優先的に対処されていくそうだ。フレームレートを重視するパフォーマンス改善も計画されているとのこと。

そして今後はテストプロセスの改善策として、プレイヤーが参加できるベータテスト環境の構築が検討されるそうだ。あらかじめプレイヤーからフィードバックを受けて、アップデートを実装する方針となるのだろう。


本作史上最大とされるアップデートと共にコミュニティで巻き起こった、バランス調整への批判。開発元はそうした声を受け止め、今後2か月をかけて改善に乗り出していくようだ。

なお今回の声明では、ゲームバランスへのアプローチを再検討し続けることが表明されている。ゲームバランスは楽しくあるべきで、“バランスがとれている”ことだけを追求すべきではないとの開発チームの方針も示された。今後は「弱体化が多い」との批判もみられたこれまでの調整方針から変化を見せるかもしれない。

『HELLDIVERS 2』は、PC(Steam)/PS5向けに配信中だ。