『マジック:ザ・ギャザリング』経営陣を「新セット出しすぎ」として訴えた株主、訴訟を取り下げる。提訴から約1か月のマッハ終結

今年1月に提起されていた、『マジック:ザ・ギャザリング』の販売戦略をめぐった裁判が、現地時間2月17日に取り下げられていたことが明らかになった。

米国玩具メーカーのハズブロ(Hasbro)に対して株主代表訴訟を提起していたJoseph Crocono氏とUltan McGlone氏は現地時間の2月17日、訴訟を取り下げた。訴訟は『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、MTG)の販売戦略をめぐるもの。同社は「経営陣による戦略が『MTG』の長期的ブランド価値を損なった」として提訴されていた。現地ローカルメディアRhode Island Currentが報じている。

ハズブロはアメリカ・ロードアイランド州に拠点を置く玩具メーカーだ。保有するIPとしては『モノポリー』や『人生ゲーム』といった著名ボードゲームのほか、「G.I.ジョー」や「マイリトルポニー」といったトイのシリーズが存在。また『MTG』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』などで知られるウィザーズ・オブ・ザ・コースト社を子会社として保有・運営している。

そんなハズブロをめぐり1月21日、株主代表訴訟が提起されていた。株主代表訴訟とは、会社役員が適切な責任を果たしていないとされた場合、株主が会社を代表して提訴できる制度。今回の訴訟では、ハズブロ株主のJoseph Crocono氏およびUltan McGlone氏が原告として、ハズブロCEOのChris Cocks氏や、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの元社長Cynthia Williams氏ら経営幹部を対象に提訴。会社に対して損害賠償が求められていた(関連記事)。

訴訟の具体的な主張としては、『MTG』の新カードの過剰供給が問題とされていた。原告が提出した訴状では、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が2022年11月に伝えた分析レポートを引用。「ハズブロは『MTG』のカードを過剰生産しており、長期的なブランド価値を毀損している」とした。また「慎重に検討することなく新カードを大量に投入し、短期的に株価を高騰させた状態で自社株買いをおこなって、会社に損害を与えた」とも主張されていた。

そうした訴訟が現地時間の2月17日、原告により取り下げられていたことが明らかになった。取り下げの理由などについては公表されていないが、ハズブロは2月10日に2025年通期の業績を発表。『MTG』の収益は前期から59%増加して過去最高を記録し、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社やハズブロ社全体も増収増益を果たしたことを伝えている。

また決算発表では、ハズブロCEOのChris Cocks氏は「会社は成長軌道に戻った」と総括。『MTG』の記録的な収益に支えられるかたちで力強い事業運営が実現しており、配当および10億ドル規模の自社株買いプログラムによって、株主に利益を還元する予定との見通しを伝えた。

今回の訴訟については、こうした好調な決算発表を受けて、原告が“長期的なブランド価値の毀損”の立証が困難になったと判断した可能性はあるだろう。訴状で引用されていたBofAのレポートも、2023年4月には「『MTG』の需要は懸念よりも堅調だった」として見直しがおこなわれている。いずれにせよ『MTG』の販売戦略をめぐる今回の株主代表訴訟は、提訴から約1か月で原告より取り下げられたかたちとなった。

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Akihiro Sakurai
Akihiro Sakurai

気になったゲームは色々遊びますが、放っておくと延々とストラテジーゲームをやっています。でも一番好きなのはテンポの速い3Dアクションです

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