「ハリー・ポッター」のオープンワールドは、『ホグワーツ・レガシー』以前にも存在した。2007年発売『不死鳥の騎士団』開発者がアピール

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

Electronic Arts(以下、EA)が2007年にリリースしたゲーム作品『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の開発映像がX上に公開された。同作におけるホグワーツ城は、シームレスに読み込まれるオープンワールドとして構築されていたことも、改めて紹介。そのほか、当時のゲーム開発の舞台裏について貴重な情報が公開されている。海外メディア80 Levelが報じている。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』は、2007年に公開された同名の映画を題材としたアクション・アドベンチャーゲームである。同年に、Wii/PS2/PS3/Xbox 360向けに発売された。プレイヤーは主人公のハリーを操作して、ホグワーツ魔法魔術学校の中を自由に歩き回りつつ、校内で起こるさまざまな問題を解決していく。魔法学校は映画に描かれたものを忠実に再現しており、校内の探索がとても魅力的な作品となっている。


そんな同作の開発当時の映像が9月8日、制作に携わっていたMartin Griffiths氏のXアカウントを通じて投稿された。記録されているのは、PlayStation 3で動作する同作の初期バージョンにおけるゲームプレイのようだ。公開された映像には、ハリーがホグワーツの校内を自由に駆け回る様子が映っている。Griffiths氏はこれを、「PS3でハリーが初めてホグワーツを走り回った瞬間」であると述べている。


この映像を公開したMartin Griffiths氏は、かつてEAに勤めており、「ハリー・ポッター」シリーズを題材としたゲームのエンジン開発に8年間携わっていたのだという。また同氏は今回の投稿において、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』が「私たち(EA)が手がけた初めての完全ストリーミング読み込みのオープンワールドゲームであった(the first fully streamed, open world game that we’d made)」とコメント。2006年当時を「形成期(formative time)」と表現し、オープンワールドの技術が発展段階にあったことを示している。


2007年ごろの3Dグラフィックのゲームは、『グランド・セフト・オート』シリーズなど一部を除いて、マップやフィールドのエリアが分割され、エリア間の移動時にロード画面が挟まる方式がまだ主流であったといえる。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』も基本的にはそうした仕組みになっていたものの、Griffiths氏が紹介したようにホグワーツ城についてはシームレスで広大なエリアとして構築され、持ち味として評価されていた。2023年発売のオープンワールドゲーム『ホグワーツ・レガシー』以前に存在した“オープンワールドホグワーツ”であったといえるだろう。今回はGriffiths氏により当時の開発風景も紹介されており興味深い。

なお『ホグワーツ・レガシー』の販売元WB Gamesを擁するWarner Bros. Discovery では、同作の続編制作が今後数年の「最優先事項」であると明かされている(関連記事)。オープンワールドとして表現されるホグワーツ城やその周辺地域は、『ホグワーツ・レガシー』からさらにパワーアップして登場するかもしれない。