『GTAV』PC版の「次世代機版アップグレード」が不評、歴代最も低評価の『GTA』に。何百時間も遊んだのに、アカウント移行ができない

Rockstar Gamesは3月4日、『グランド・セフト・オートV』(以下、GTAV)のPC(Steam/Epic Gamesストア/Rockstar Games Launcher)向けアップグレード版『Grand Theft Auto V Enhanced』を配信開始した。しかし、主にアカウント移行が上手く機能しないことなどを理由に、同作は従来版に比べてユーザーからの評価を大きく落としている。
『GTAV』はRockstar Gamesが手がけ、2013年にPS3/Xbox 360向けにリリースしたオープンワールドアクションゲーム。のちにPS4やXbox One、PC向けにも登場した。本作はトレバー、フランクリン、マイケルの3人の男たちによる、山あり谷ありのクライムストーリーが描かれる作品だ。また本作にはオンラインゲーム『GTAオンライン』も同梱されており、こちらではプレイヤーが、オンラインにてロスサントスの街で自由に過ごすことができる。2022年3月には、パフォーマンスやグラフィックの向上などが盛り込まれ、PS5/Xbox Series X|S向けの次世代機版がリリースされていた。
先日配信された『GTAV Enhanced』は、PC向け『GTAV』にさまざまな変更を施した無料アップグレード版だ。PC向け『GTAV』はこれまで、2014年に発売されたPS4/Xbox One版に準拠したゲーム内容であったが、2022年にPS5/Xbox Series X|S向け次世代機版としてリリースされた際の改善点を取り入れたかたち。くわえて、アップスケーリング技術の導入をはじめとするグラフィックの強化が図られている(関連記事)。なお、従来版とはSteamストアページが分かれており、これまで配信されていたバージョンは『Grand Theft Auto V Legacy』(以下、GTAV Legacy)へと名前が変更されページが限定公開に。検索結果に表示されなくなっている。
PC向けにも待望の次世代機版に相当するアップグレードが用意されたものの、現在『GTAV Enhanced』は低い評価に苦しんでいる。本稿執筆時点で、Steamレビューでは約2万件中54%が好評とするに留まっており、これは今までシリーズ中もっとも評価の低かった『Grand Theft Auto III – The Definitive Edition』の好評率66%を大きく下回っている。同作は、リマスタープロジェクト『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』に含まれるタイトルとして、Steam向けには2023年1月にリリース。最適化不足やバグの多発によって、ユーザーからは「リマスターと呼ぶにはほど遠い完成度」との評価が寄せられた。リマスターの配信に際してオリジナル版がストアから削除されたという状況も、不満を加速させたものとみられる。昨年11月にはアップデートで改善もおこなわれたものの(関連記事)、Steamでは依然としてこれまでのシリーズ中で最低の評価率となっていた。『GTAV Enhanced』はそんな同作よりも評価が低い、現時点で歴代タイトル史上最も低評価の『GTA』となったわけだ。

ユーザーレビューを見るに、『GTAV Enhanced』がここまで評価を落としている背景には「アカウント移行が上手くできない」問題があるようだ。ストーリーモードと『GTAオンライン』の両方について、本作には『GTAV Legacy』からアカウント移行をおこなうための機能が用意されており、従来版を長く遊んでいたプレイヤーにもそのまま移ってもらえると予告されていた。ところが、ユーザーの間ではアカウントが「移行対象外」であるとのエラーメッセージが表示されてしまうとの報告が多数集まっている。古株のタイトルであるため、ライブサービスで運営されている『GTAオンライン』を中心に、1つのアカウントで何百時間と遊んできたプレイヤーも多く、アカウント移行に問題が生じているとみられる点は多くの不評を招いている。
Rockstar Gamesはこの問題に対して、過去にチートやグリッチなどを使ったことのあるユーザーは対象外になるという旨の声明をサポートページに掲示。しかし、これまで違反などをおこなっていないのにも関わらずデータ移行ができないというユーザーも散見され、問題解消には至っていないようだ。引き続き、公式からの報告や対応が待たれる。

なお『GTAV Enhanced』を購入すれば『GTAV Legacy』も付属するため、ユーザーがどちらで遊ぶかは選べる仕組みだ。非公式データベースサイトSteamDBによると、連日ピーク時に『GTAV Enhanced』が約15万人のプレイヤーを集めている一方で、『GTAV Legacy』もピーク時には約10万人に達するプレイヤーベースを抱えている。上述したような問題も相まってか、引き続き従来版が多く遊ばれている状況もあるのかもしれない。
ちなみに『GTA』シリーズに関してはかねてより、最新作『グランド・セフト・オートVI』(以下、GTA6)が2025年秋に発売されることが投資家向けに明かされている(関連記事)。最新作の発売が近づく中でPC向けについに登場した『GTAV』のアップグレード版にも、注目が集まっていた。最新作まで前作をプレイしておくといった需要も高まるとみられ、今後の対応も期待されるところだろう。
アップグレード版『Grand Theft Auto V Enhanced』はPC(Steam/Epic Gamesストア/Rockstar Games Launcher)向けに配信中。『グランド・セフト・オートVI』はPS5/Xbox Series X|S向けに2025年秋に発売予定だ。