『GTA 3』は、ドリームキャスト向けに開発されてたけど「商業的な理由」でPS2になった。開発者が“気合たっぷりファンメイドドリキャス移植”を見て裏話


『グランド・セフト・オートIII』(以下、GTA3)をドリームキャストへ移植しようとするファンメイドの試みが話題を集めている。これについて元Rockstar Northで本作を手がけたObbe Vermeij氏は自身のXアカウント上で反応。プロジェクトに称賛を送るともに、『GTA3』の開発初期は実際にドリームキャスト向けに開発が行われていたことも明かした。海外メディアGamesRadar+が報じている。

『GTA3』は『GTA』シリーズの第三作目。当時シリーズとしては初の3Dシステムを採用した作品となっている。架空の街「リバティーシティ」を舞台に、3Dで表現された圧倒的なスケールの街並みや、自由度の高いアクションが展開される、のちに続くシリーズの基礎を作り上げた作品だ。

本作は2001年に北米向けにPS2版が発売され、その後2003年9月25日に日本版が発売された。のちにPCやXbox向けにも移植されており、全世界で1450万本を売り上げた大ヒット作となっている。


なお本作はドリームキャスト向けには発売されていない。ドリームキャストはセガが1998年に発売した家庭用据え置き型ゲーム機。同世代に展開されていたPlayStationなどといったプラットフォームとしのぎを削っていたものの、2001年1月にセガはドリームキャストを含む家庭用ゲーム機ハードウェアの製造とプラットフォームビジネスからの撤退を表明。現在にいたるまでドリームキャストは事実上セガ最後のゲームプラットフォームとなっている。

『GTA3』をそんなドリームキャストへファンメイド“移植”しようと試みているのは開発者の Falco Girgis 氏。同氏はX上にてドリームキャストの発売25周年を記念し、“『GTA 3』をドリームキャストへ移植する“というプロジェクトの最新の進捗を発表。実際に動作しているキャプチャ映像を公開した。同氏によればクリッピングの問題はなく、30fpsでの動作が実現されており、ほとんどのエフェクトが存在するという。まだまだ課題は山積みであるものの、同氏によれば“かなりいい感じに仕上がっている”としている。

YouTube上ではこのドリームキャスト版『GTA3』のフル映像も公開されている。実際に確認してみると、タイトルにWIP(開発中)と明記されているのもあり、UIのちらつきなどのグラフィックの不具合は見られるものとなっている。しかし街並みや車の運転、追ってくる警察とのカーチェイスといった『GTA3』の基本的なアクションはすべて揃っているようにも見受けられ、かなり完成度の高い移植が行われていることが伺える。

この非公式ファンメイドの『GTA3』ドリームキャスト移植プロジェクトについて、『GTA』シリーズの開発に実際に関わったObbe Vermeij氏が反応を寄せている。同氏は、Rockstar Games傘下のスタジオRockstar Northに1995年から2009年6月まで在籍していた人物。そこでは『GTA III』『GTA:VC』『GTA:SA』『グランド・セフト・オートIV』といった、『GTA』シリーズ作品においてテクニカルディレクターを務めてきた。

Vermeij氏はこのプロジェクトを素晴らしい取り組みと称賛した上で、『GTA3』の開発時の裏話も明かしている。同氏によると、『GTA3』の開発初期である1999年から2000年には、実際にドリームキャストで『GTA3』の開発が行われていたという。当時も技術的にはドリームキャストでの発売は可能であると考えていたという。しかし最終的には“商業的な理由”から本作の発売をPS2に切り替えたという。ちなみに同氏は同様のエピソードを4月にも明かしており、“ファンメイドドリームキャスト移植”を見て改めて裏話をこぼしたかたちだ。

ちなみにPS2の発売は2000年。同氏によれば本作の開発は1999年頃から行われていたとみられる。ドリームキャストは当時PS2より早く発売されていたというのもあり、開発初期はまずはドリームキャストでのリリースが検討されていたのだろう。そんな幻のドリームキャスト版『GTA3』が、ファンメイドのプロジェクトによって実現に向かっているようだ。

またそうしたプロジェクトをきっかけに、今回はVermeij氏の口から裏話が飛び出したかたち。世界的な大ヒットを記録し『GTA』シリーズを形作った『GTA3』がもし当時ドリームキャストで発売されていたら、今日の状況にも少なからず影響を及ぼしていたかもしれない。