新AIモデル「Grok 4」を活用してゲームを試作した人現る。コーディング丸投げマッハ開発
ある開発者が、先日お披露目されたばかりのxAI社製の生成AI「Grok 4」を用い、さっそくゲームのプロトタイプを制作したとして話題になっている。

ある開発者が、xAI社製の生成AI「Grok 4」を用いていわゆる“サバイバー系”ゲームのプロトタイプを制作したことを報告。SNS上でプロトタイプのプレイ動画が公開されており、話題となっている。
Grok 4でゲームのプロトタイプを作ったのはDanny Limanseta氏。同氏は「nurture.is」と「reroll.co」の共同創設者を務めるほか、プロダクトデザインを手がけている。「nurture.is」は4~7歳の子供が“生活スキル”を身につけることを目的とした無料アプリケーションだ。一方「reroll.co」はTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のデジタルキャラクターシートアプリ。ピクセルアートでキャラクターの立ち絵を作成できる点などが特徴だ。
またGrok 4はSNSのX(旧Twitter)を子会社とする米企業xAIが手がける新型AIモデルだ。Xの有料プラン「Xプレミアムプラス」、あるいはSuperGrokと呼ばれる、Grokの有料プランに加入することで利用が可能だ。7月10日のお披露目では、「世界でもっとも強力なAIモデル」と謳われており、過去モデルや競合と比較した際の性能の向上がアピールされている。
Limanseta氏はX上で7月14日、Grok 4で作成したというゲームのプロトタイプのプレイ映像を公開。ゲームは四方八方から押し寄せる敵に対し、アイテムなどを集めつつ攻撃して倒していく、いわゆる“サバイバー系”の作品であることがうかがえる。30秒弱の動画ながらプレイヤーキャラが複数の攻撃手段で敵を倒す様子や、敵が攻撃しつつ近寄る様子、体力やクールダウンの表示など、ややシンプルな画面ながら必要な要素が用意されており、すでにゲームとして十分にプレイ可能であるように見える。
Limanseta氏によれば、このプロトタイプには、ゲームエンジンにあたるフレームワークとしてJavascriptライブラリの「Phaser」を利用。SuperGrok Chatで初期のプロトタイプを制作した後、AI機能を搭載したコードエディタCursorにGrok 4を連携させ、コーディングを進めていったようだ。なおゲームに用いたスプライトについてはインディー開発者SmallScaleInt氏の配布しているものを利用し、キャラクターのポートレートを含んだ細かい部分はドット絵生成AI、Retro Diffusionで出力したという。またマップはMidjourneyで作成したとのこと。
ちなみにLimanseta氏は今年3月にGrok 3とCursorなどを用いて、さまざまなゲームのプロトタイプを開発したことを報告していた。同氏の開発手法では、コアとなるゲームプレイループは、望む内容を短く簡潔に箇条書きで指定しながら、じっくりと構築していくそうだ。また出力されたあらゆる要素については同氏自身でデバッグをおこない、手触りを確認して調整。何度も反復して微調整しながらプロトタイプを制作しているという。
そんな同氏の評価によれば、新モデルGrok 4は「真面目なエージェント風」とのことで、多くを語らずとも、着実に結果を出してくれるという。バグに詰まってしまった際には他のモデルの助けを借りることもあったというが、それ以外は高速で、信頼性が高いモデルである、と安定感を評価している。
ちなみにLimanseta氏のポストによれば、小さいころからずっとゲームを作りたいとは思っていたが、コーディングが苦手だったとのこと。しかしGrokなどの登場により、AIの助けを借りてゲームとして形にすることができたようだ。
昨今ではAIモデルを活用し、AI任せでコーディングをおこなういわゆるバイブコーディングが話題となっている。新登場したGrok 4も、そうしたコーディング手法にさっそく活用されているようだ。なおGrokからは8月にコーディング特化のモデルが展開予定。Limanseta氏も同モデルへの期待感を示している。
ちなみにLimanseta氏いわく今回のプロトタイプ制作においては、コーディング以外のアート面での作業が全体の30~40%も占めているという。CursorにてAIモデルが作業を完了する間に、同氏はアート面での作業をおこなっているとのこと。プロトタイピングであれば、AIと“分担”しながらスムーズに可能になっていることがうかがえる。なお同氏はGrokを活用したゲーム制作の大まかな流れをX上で公開している。興味のある人は下記のポストに連なるツリーを確認してみてもいいだろう。