食糧難などうぶつ村農場経営シム『Grimshire』、好評率100%の滑り出し。ほのぼの系と思いきや「死と隣り合わせ」なシビアゲーム
Acute Owl Studioは日本時間7月23日、農場経営シミュレーションゲーム『Grimshire』の早期アクセス配信をSteamにて開始した。本作はリリースからさっそく、見た目とは裏腹な厳しい世界観や戦略性が高く評価されている。

デベロッパーのAcute Owl Studioは日本時間7月23日、農場経営シミュレーションゲーム『Grimshire』の早期アクセス配信を開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)。本作はさっそく高い評価を受けている。
『Grimshire』は田舎の村で農場を経営するシミュレーションゲームである。ただし、本作はかわいい動物キャラクターたちによる、ほのぼのとした農場経営ゲームではない。備えが不十分ならば、村の住民たちは次々と命を落とすことになる。死と隣り合わせの緊張感と、陰鬱さが漂う日々を味わえるだろう。

本作の舞台となるGrimshire村は、山と湖に囲まれてぽつんと存在している小さな村だ。湖を隔てて都市と行き来している行商人が数少ない外部との交流であり、村の食糧事情はもっぱらこの行商人からの購入に依存している。
ある日の晩、湖を隔てて存在する都市で大規模な火災が発生したという。プレイヤーは、そんな危機をなんとか逃れて村にたどり着いた怪我人の1人だ。都市へ戻るのは危険かもしれないということで、プレイヤーは村はずれにある古い農場跡を復旧し、農家として定住することになる。そして後に、都市は壊滅的な被害を受けていたことが判明し、食糧の供給は完全に絶たれることになる。こうして、外部からやってきた存在でありながら、プレイヤーは村でただ一人の農家として食糧を作り、保存し、住民たちの命を守るために冬と疫病に備えることになるのだ。

ゲームプレイでは畑を耕したり、家畜を育てたりして、食料を生産することになる。早期アクセス時点では1年間のプレイが可能となっており、開始時点の季節は春。冬に備え、乗り越えられるかどうかという部分までを遊ぶことができる。
本作の食料は日数経過で腐敗していく。村には大きな地下貯蔵庫が存在し、保存食として加工して貯蔵庫に保管しておけば、冬も飢えずに済むだろう。当面の食料はすぐに食べてしまい、一部は冬に備えて保存食に変え、余剰分は商店を通じて村に供給することになる。
なお、村人たちは動物をモチーフとしたキャラクターである。それぞれに食べられるものが違い、草食・肉食・雑食の村人が存在している。農業だけでは肉食の村人は飢えてしまうというわけだ。ゲーム開始時にはプレイヤーの動物と以前就いていた職業を選ぶことができ、食べられるものや能力が変わってくる。

だんだんと冬が近づくにつれて、村には不安が広がっていく。村人との間には友好度が存在しており、うまくコミュニケーションを取って村の結束を強めるのも、重要な要素として存在している。また、疫病の危機も同時に迫っており、医師の研究のために標本を寄付するといった要素もある。
もしも備えが不十分ならば村人は命を落としてしまう。死ぬのは全員ではなく特定のキャラクターのみだが、小さな村で死者が出たときにどのような動揺と混乱が生じるのか、村の結束が乱れたらどうなるのか、非常に厳しい展開が待ち受けているだろう。ちなみに早期アクセス開始時点では未実装ながら、恋愛要素も実装が予定されている。開発者によれば恋愛対象となるキャラクターは10人いるとのことだが、この10人は死亡するキャラクターの候補ともなっているようだ。


そんな本作は早期アクセス開始からさっそく好評を集めており、本稿執筆時点でSteamユーザーレビューは78件と、まださほど数は多くないものの、そのうち100%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得している。本作はかわいらしい見た目に反して、死や疫病がすぐ傍にある厳しい世界観を描いた作品だ。レビューでもそうした重々しいストーリーや、個性豊かなキャラクターたちが好評である一方で、緊張感が漂う中でいかに食料を管理するかといった戦略性も高く評価されている。
本作を手がけているAcute Owl Studioは、アメリカに拠点を置くインディーデベロッパーだ。スタッフは2人の人間と1匹の犬である。犬のGimli氏は人事マネージャーとのことで、2人のスタッフはともに同氏に認められるような動物好きであるものと思われる。過去にSteamではカフェを効率的に経営する『Bone’s Cafe』をリリースしており、こちらも「非常に好評」ステータスを獲得している。かわいらしいピクセルアートや、効率を考える戦略性といった同スタジオの持ち味は、本作でも存分に発揮されているようだ。
なお、本作は現時点で日本語に対応していないが、正式リリースまでのロードマップにはローカライズが予定されており、前作にあたる『Bone’s Cafe』は日本語に対応しているため、アップデートで日本語表示が実装される可能性もありそうだ。今後の言語対応状況にも注目したい。
『Grimshire』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。現在はリリース記念セールを開催中で、7月30日までの期間限定で定価の10%オフとなる税込1530円で購入可能だ。