「『GTA6』に似すぎ」でPS Storeから消されたゲームが“調整”されてSteamに登場。「パクりじゃなくパロディー・風刺ゲーム」と自信つける

Steamにて、『GTA6』のパロディー・風刺ゲームが登場し、話題となっている。同作はPS Storeにも登場していたものの、削除された経緯を持っており、Steamに登場するにあたっては、あくまでパロディーであることを明確にするため、各所が“調整”されたようだ。

Steamにて、『Grand Theft Auto VI』(以下、GTA6)を「パロディー・風刺した」とするゲームが登場し、にわかに注目を集めている。同作は過去、PlayStation Store(PS Store)にもストアページを公開していたものの、ストアから削除された経緯をもつ作品だ。IGNなどが報じている。

話題となっている作品は、『Grand Taking Ages』だ。開発はインディーゲームスタジオのViolarteが手がけている。同作は一人称視点で繰り広げられる、3DアクションRPG。プレイヤーはインディーゲーム開発者として、小さなインディーゲームスタジオを運営。到底守り切れない締め切りや、ぶしつけな質問をぶつけてくる業界ジャーナリスト、未完成ビルドをリークしようとするハッカーなどと戦いつつ、スタジオを大きくすることを目指すようだ。

同作はゲーム業界におけるさまざまな問題を風刺した内容が盛り込まれており、特に『GTA』シリーズの最新作である『GTA6』の長期にわたる開発期間を取り扱っている。たとえばトレイラーやスクリーンショットではたびたび『GTA』シリーズを思わせるビジュアルスタイルのキャラクターイラストが登場。ゲームタイトルの略称も「GTA」となっており、タイトルロゴも同シリーズを意識したようなデザインとなっている。またストアページの説明でも、「永遠に近日発売(Coming Soon Since Forever)」や「“クリエイティブ”な締め切りの技術を極めよう」などと、ゲーム開発の遅延や発売の遅れを風刺する文言がいくつか見られる。

IGNなどが報じるところによれば、『Grand Taking Ages』は2024年12月頃にPS Storeにストアページを開設したものの、少なくとも1月21日頃には削除されている。この削除は『GTA』シリーズの権利を持つTake-Two Interactiveからの申し立てではなく、ソニー・インタラクティブエンタテインメント側での判断で削除がおこなわれたものと見られている。

PS Storeに登場していた際には、タイトルが『Grand Taking Ages VI』と『GTA6』を思わせるものであったり、「並行世界からのレビュー」として、ゲーム説明の欄にIGN、GameSpot、PC Gamerの名を使った架空のレビューが記載されていたりした(Internet Archive)。各種の記載を『GTA6』に似せすぎており、オマージュやパロディーのラインを超えているとして問題視されたのだろう。

新たに公開されたSteamストアページでのゲーム説明からは、PS Storeでのページ削除を踏まえたと見え、先述の紛らわしい記述などは削られている。また開発元であるViolarte は、IGN USの取材に対し回答。同作のコンセプトについて、Steamのチームと話し合ったとのこと。さらに徹底的な審査プロセスを経てSteam上での公開が承認されたとしており、盗用ではない、パロディーとしての『Grand Taking Ages』が認められたという姿勢を示した。

ちなみにPS Storeでは、過去に『GTA バイスシティ』のミッションのひとつ「Demolition Man」に酷似した作品が登場。Take-Two Interactiveからの申し立てを受けすぐさま配信が停止されるという一幕もあった(関連記事)。パロディーやオマージュと盗作は時に紙一重になることもある。今回『Grand Taking Ages』はあくまで風刺やパロディーを目的とした作品として調整がおこなわれ、プラットフォームを変え再公開されたかたちだ。なおViolarteは、Steamでのストアページが公開されたことを理由として、調整後の内容で再びPS Storeに再申請をおこなったそうだ。PS Storeへの再登場がなされるかどうかは、注目されるところだろう。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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