『GeoGuessr(ジオゲッサー)』Steam版、“記録的な不評殺到”を受けて公式がアンサー。有料・無料ともに遊べるコンテンツ拡張へ
GeoGuessr社は5月8日、『GeoGuessr Steam Edition』をPC(Steam)向けに早期アクセス配信開始した。リリース直後から「圧倒的に不評」を受けており、開発元が海外メディアを通して今後の開発方針を明かしている。

GeoGuessr社は5月8日、『GeoGuessr Steam Edition』をPC(Steam)向けに早期アクセス配信開始した。ブラウザ版やiOS/Android版で高い人気を誇る作品だが、料金体系などを理由に不評が寄せられ、Steamユーザーレビューではリリース直後から「圧倒的に不評」ステータスとなった。これを受けて、開発元は複数の海外メディアに対して声明を発表。今後の開発方針を明らかにしつつ、料金体系への理解を求めた。
『GeoGuessr』は人気地理クイズゲームだ。Googleが提供する「Googleストリートビュー」を用いているのが特徴で、プレイヤーはランダムに選ばれた風景画像を見て、その場所が世界のどこであるかを当てる。場所を素早く正確に推測するためにはランドマークや道路標識などに加え、その土地に生える木々などの自然環境を分析する必要がある。ソロプレイのほか、正確さ・速さをほかのプレイヤーと競うデュエルモードも存在しており、日々世界中のプレイヤーがランキング上位を目指してしのぎを削っている。

5月8日、『GeoGuessr』のSteam版となる『GeoGuessr Steam Edition』が早期アクセス配信開始。ところが、配信直後からユーザーレビューでは低評価が相次ぎ、本稿執筆時点では約3300件中17%の好評率にとどまる「圧倒的に不評」ステータスとなっている。現時点で“Steam上でワースト2位”とされる、記録的な好評率の低さだ。
不評を投じるユーザーからは主に料金体系を問題視する声があがっている。本作は現時点で、ソロモードはランクマッチのみで、マルチプレイは2対2のランクなしの対戦モードであるチームデュエルのみ。基本プレイ無料ではあるが、ソロモードにおいてはプレイヤーのランクがブロンズランクに到達すると、それ以上のランクでプレイするためにはSteam版独自のサブスクリプションに加入しなければならない。このサブスクリプションの年会費は本稿執筆時点で29.99米ドル、日本では3799円(ゲーム内表記)となっている。
また、ブラウザ/iOS/Android版のアカウントを使用してSteam版をプレイすることができるものの、最上位プランであるPro Eliteの年間プラン加入者以外はSteam版のサブスクリプションにも改めて課金する必要があった。こうした“二重サブスク”状態の料金体系への不評を受けて、5月9日にはこの制限を部分的に緩和。Pro Unlimitedの年間プラン加入者にもSteam版へのフルアクセスが提供されることとなった(関連記事)。ユーザーから不評と取られた点に関してすぐさま応急措置が取られたかたちだ。
しかし、依然として多くのプレイヤーが継続してプレイするために課金が必要となり、またそもそもゲームモードも“本家”といえるブラウザ/iOS/Android版よりも少ない状況だ。なお『GeoGuessr』のブラウザ/iOS/Android版においては2024年2月に無料プレイ枠が廃止されている。今回リリースされたSteam版では基本プレイ無料が掲げられていたこともあり、本家に代わって無料で遊べる作品として期待されていた側面もあった様子。早期アクセス配信開始時点のゲームモードや、無課金で遊べる範囲はリリース前に説明されていたものの、ユーザーの落胆の一因となっているようだ。

そのような状況で本作の開発元は5月13日、IGNやTheGamerなど複数の海外メディアに対して声明を発表した。同社は、Steamのフレンドと繋がったり、追加のアンチチートを施すことができたりといったSteam版がもたらす新たな可能性に言及。またSteam版展開の背景には、どのプラットフォームでも本作をプレイできるようにするという同社の目標があるそうだ。
一方で、マーケティング責任者のTomas Jonson氏は本作は早期アクセス配信開始されたばかりであることを強調しつつ、料金体系への批判についても触れている。ユーザーのフィードバックの大部分がゲームの料金体系に関するもので、多くのユーザーは一度きりの課金であるいわゆる“買い切り型”を希望しているという。ただ同氏は現在の料金体系の理由について、『GeoGuessr』はGoogleストリートビューのデータに依存しており、プレイされる試合数に応じて継続的なコストが発生するため、Steam版でもサブスクリプション制となっていることを説明した。買い切り型を望む声はあるものの、今後もサブスクリプション制で運営されるということだろう。
とはいえTomas氏は、フィードバックをもとに最適な体験を提供していくとコメント。無料・有料のどちらの体験も今後拡張・改善していく予定だそうだ。先述したとおり基本プレイ無料で遊べる範囲の狭さも批判を受けている部分であり、そうした意見への対応も予定されているのだろう。
なお、Steamストアページでは早期アクセス期間を少なくとも3か月継続すると記されているが、今回の声明では少なくとも6か月の期間を設けるとされている。ユーザーの反応を受けてか、当初の想定よりも長めの早期アクセス配信期間がとられるようだ。新たなゲームモード・マップ・対戦機能を追加するほか、コミュニティ主導でゲームを改善していくとしており、今後のアップデートにも期待される。ただ前述した制限の一部緩和などもなされたものの、ユーザーの不評はなおも止まない状態。今後の改善によってユーザーの評価がどのように変わっていくのか注目したい。
『GeoGuessr Steam Edition』はPC(Steam)向けに基本プレイ無料で配信中だ。