「ゲームの無料アセット」の大人気制作者、新作アセットの“いくらなんでも早すぎる活用”にビビる。わずか2時間強でゲーム内に実装


ゲームには3Dモデルやテクスチャ、音声などといったさまざまなデータが存在している。それらをまとめたものは主に「アセット」と呼ばれており、ゲーム開発に用いられることがある。そんなアセットをいくつも手がける制作者が新アセットを公開したところ、ものの2時間ほどでゲームへの利用報告が寄せられたようだ。GamesRadar+が報じている。

今回新アセットを驚きの速さでゲームに使われたのはオランダのゲーム開発者Kenney氏。itch.ioSteam向けにゲームを複数リリースしており、現在は部屋づくりサンドボックスゲーム『MakeRoom』をPC(Steam/itch.io)向けに開発中だ。

そしてKenney氏は数多くのアセットを10年以上にわたって手がけ、自身のサイトで公開している。サイトでは寄付を受け付けているものの、これらのアセットは無料でダウンロードすることも可能で、その数は200近くにもおよぶ。さらにゲーム開発におけるツールのほか、FPS、シティビルダーなどの「スターターキット」も公開。誰もが使えるように大量のアセットを公開していることから、「Asset Jesus」という名でも呼ばれている人物である。日本語ではアセットの神様といった意味合いになるだろう。


そんなKenney氏は、11月6日午後11時49分に新たなアセット「Minimap Pack」を公開。8×8のドットで描かれたタイルは25種類存在している。「ミニマップ」という名前、そして公開ページにつけられた「metroidvania」のタグもあり、メトロイドヴァニアなど、ダンジョンやマップを探索するゲームにおけるミニマップとしての使用を想定しているようだ。白黒の無機質なスタイルや、氷ステージ、溶岩ステージなどを思わせるようなスタイルも存在しており、状況によって使い分けることもできそうだ。

そしてこの「Minimap Pack」の公開後まもなく、日本時間11月7日午前2時36分に、あるインディーゲーム開発者が引用リプライとして同アセットを自作品に利用したことを報告している。公開からわずか2時間強でゲーム開発に活用されたのだ。


利用報告をおこなったのはニカラグアの個人ゲーム開発者、Danny Garay氏。同氏はメトロイドヴァニア『Toziuha Night』シリーズをはじめとしたさまざまなゲームをリリースしている。今回Garay氏は、『Toziuha Night』シリーズの開発にあたってKenney氏の「Minimap Pack」をさっそく利用したかたちだ。Garay氏にとってちょうど欲しかったアセットだったのかもしれない。

このことについてKenney氏が反応。あまりにも素早い実装には驚きを隠せなかったようだ。今回公開されたのはあくまでミニマップ向けのアセットであり、実装にあたっては作品ごとのマップにあわせて手を加える必要もある。人気アセット制作者のKenney氏といえども、自分のアセットが2時間強で本格的にゲーム内に実装されたのは予想外だったのだろう。


なお先述の通り、Kenney氏はアセットを基本的に無料で公開している。そのうえライセンスはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスとして「CC0」を宣言している。この「CC0」は、著作権における利益を放棄し、作品をパブリックドメインに置くもの。つまり利用者は営利目的であっても制作者Kenney氏の許可なしに自由に利用・改変などが可能となっている。利用におけるハードルの低さや自由度も、Kenney氏のアセットが人気となっている理由のひとつかもしれない。先述のKenney氏の投稿に対しては、ゲーム開発者より同氏のアセットに対する感謝が多く集まっている。

またKenney氏は先日11月11日に「Coaster Kit」なる新たなキットを水曜日にリリースすると発表。ジェットコースターなどのアトラクションをゲーム内に実装できるものとなっている。こちらも無料で提供されるとのこと。多様な種類のアセットは高い人気を集めているようで、渡りに船とばかりに“爆速”での利用報告も寄せられたかたち。「Coaster Kit」においても、そうした報告が見られるかもしれない。Kenney氏の次なるアセットなどにも注目したいところだ。